学園ブログ

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IT時代を生き抜く

2018年07月25日

不便益

20180724-0.jpg 「不便益」という言葉を聞いたことがありますか?「不便の益」(benefit of inconvenience)を指す言葉です。不便がもたらす効用(利益)がある。例えば、車につけるカーナビ。便利ではありますが、カーナビが無い方が地図を読む力がつくと思います。技術が発達し、プログラミング教育が注目されている今、私たちの身の回りにある「不便益」を考えてみても良いかもしれません。

20180725-1.jpg 私は中高で数学の授業を担当しています。平方根(ブログをご覧になられている大人の方々には懐かしい言葉かもしれません。√です。)の導入でこのような授業を行いました。

 「2乗して25になる数は?」

 「5」 「-5」!

 「2乗して36になる数は?」

 「6」 「-6」!

 「じゃあ2乗して30になる数は?」

 「そんなの無い!」

 「いやいや、5.5を2乗してみよう。5.5×5.5=30.25 ちょっと惜しいやん。5.4×5.4=29.16 …このように小数も考えると2乗して30になる数あるかも?今から班で協力して探してみよう!」

 「先生、電卓はありますか?」

 「無い!自分の手で計算!」

 「えー!」

どこが「不便益」かおわかりだと思います。班で協力して5.45の2乗、5.47の2乗、強者は5.475の2乗など小数第3位以下まで頑張って探していました。ただ、最後にはプロジェクターに電卓を映し、全員で各班の意見を検証。電卓を使ったら「5.47723の2乗やってみてください!」など、さらに細かい近似を提案する生徒もいました。

 タブレット等を使う授業が注目されていますが、自分の手で計算するから実感がわいてより頭に残ることもあります。ただ、タブレットを使わないというわけではなく(今回の授業でも最後は電卓です!)、自分の手で計算することと視覚を重視することを組み合わせることで、より効果的な授業ができるのではと考えています。



(中学校高等学校 教諭 三村麻梨乃)