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IT時代を生き抜く
2018年09月05日
AI×赤ちゃん
近年、学校教育におけるICT(Information and Communication Technology:情報技術)の活用が進められており、本校でも早い段階から導入し、「21世紀にふさわしい学びの環境」整備に取り組んでいます。デジタルネイティブである生徒にとっては、道具としての情報技術には抵抗がなく、使いこなすことができる反面、それを社会問題の解決の道具として活用するということはなかなかイメージできないようです。そのため、情報科の授業ではどうしても教科書の演習問題を解くような感覚で捉えがちで、社会とのつながりを実感してもらうには限界がありました。
そこで、今回、多くの社会問題を扱う家庭科と情報科のコラボレーションの取り組みの中で、学生が大きな成長を見せてくれた事例をご報告したいと思います。
以前から、家庭科の授業の中で、地域と協同して、「赤ちゃん学校へ行こう!」という活動を取り入れて来ました。地域の子育て中の母親と子どもが学校に来て、高校生たちに、普段の子育ての様子や、困っていることを話、さらに出産の時の話をしてくれ、あかちゃんにも実際にふれるという体験をしてもらっています。新しい生命が誕生する神秘的な話しなど、生の声を父親・母親から聞くことで、自分たちも同じように、両親が待ち望み、喜びの中で誕生したのだということを再認識できる時間にもなっています。
こうした体験を通して、生徒達は、日常生活に潜む保育所問題・子育ての母親への偏り・児童虐待などなど様々な問題を自分で見つけだし,解決策をAIを使って検討してもらいました。そして、自分で考えた問題解決策を,参加してくださった保護者の方に向けてプレゼンテーションを行いました。
今回は、解決方法の一つにAIをとりいれることも考えようという授業を試みました。
いつもは、生徒の頭の中でシミレーションされた空想の解決方法を発表するだけにとどまっていました。
しかし、今回はプレゼンテーション後に、ある男子生徒が、保護者の方に自ら質問を始めました。
「ぼくは、工学部に進学しロボットを開発することを志望しています。
将来は今よりも、より便利なものが誕生する
女性の方が主に悩まれている主な家事である食事、洗い物、洗濯はロボットに取って代わられるかもしれません
いや、そういったロボットを今後僕自身も作りたいと考えております。
現在よりは家の中での負担は軽減するでしょう。でも子育てという大きな難しさは残ります
いくら最新とは言え、さすがに小さな赤ちゃんをロボットに任せるのは怖いですよね
赤ちゃんは「ヒト」の手の中で可愛がられ、「ヒト」のもとで成長してこそ人間なのですから・・・
それはどんなに技術が発展しても機械ができることとは到底思えません
逆転発想でむしろ親は子どもの育児には親密に関わるべきなのです
つまり育児以外の先ほど言った家事にこそ焦点を当てて負担を減らしていくのが人間本来の生活に少しでも近づけるのではないか
赤ちゃんの直接任せられなくてもその言動の注意を知らせるシステム
僕はただ単にロボットを作り満足するのではなく、それを実際に人間生活の中で活用され満足してもらえる、いわゆる人に役立つ仕事をしたいと考えています。愛情が僕たち子供にとって一番嬉しいです
世界の技術も取り入れて世界の男女差をなくしたいと思います。」
自分から問題を見つけ出し、解決策を模索し、実際に行動へ移すという私が予想もしなかった問題解決能力この授業を通して見させていただきました。
困っている人々に何で困っているのか耳を傾け、AIを使ってその問題を解決する。
彼のような存在が人と人をつなぐAIへと進化させていくと確信しております。
(中高等学校 家庭科教諭 和田 由起子)