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親孝行・やってみなはれ
2021年02月26日
慣れても「初心」
立春が過ぎ,ようやく春の足音も少しずつ聞こえてくる2月中旬,そろそろ学校では最も重要な儀式である卒業式の準備が着々と進みます。
私が,初めて壇上で卒業生の点呼をとる経験をしたのは,27歳の時で,とても緊張して臨んだものです。家で何度も練習し,最後のスピーチも何日もかけて考えました。
30歳半ばの頃,4回目の卒業式を控えたちょうど今頃,母に言われた一言があります。
「あんたは,何度も(卒業式を)経験してるけど,子ども達はみんな初めてや。親御さんも初めての方も多いやろ。何回もやっているからと言って油断はあかんよ。しっかり準備して,失敗せんようにしなさい。」
生意気盛りの頃の私でも反発もせずに素直に聞いたのでしょう,よく覚えています。
思い起こせば,その後も,数回,同じようなことを言われました。教頭として入学式や卒業式の司会進行をするときも,たびたび言われました。
母の一言を思い出すたびに,親というものは,年老いても,いい大人になった我が子を幼子と同じように気にかけるものだなと,ありがたく,でも恥ずかしい複雑な心持ちがしています。この学園に長く勤めて,いくら慣れた仕事であっても初めての時の気持ちを忘れないで臨むことは,大事なことだと伝えたかったのだなと思います。
今年も3月10日の夕刻には「無事にみんな卒業していきましたか。お疲れさまでした。」のメールが届くことでしょう。今年も母の愛情が感じられる短いメールを楽しみにしている自分があります。
(小学校副校長 井口 光児)