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親孝行・やってみなはれ
2021年03月05日
自分の言葉を省みる
学級担任1年目の,初めての参観日のことです。緊張の連続であった授業の終わりに,私は子どもたちに次のような指示を出しました。
「はい、教科書を机の中になおしましょう!」
その後の個人懇談の際に,あるお母さんがおっしゃいました。
「先生,『教科書をなおす』というのは,『教科書を片付ける』という意味だったのですね。『教科書を修繕する』という意味かと思いました。」
そのお母さんは東京のご出身で,お子さんの小学校入学を機に雲雀丘に引っ越して来られました。そして,初めての参観日で先述の出来事があったのです。大阪周辺の地域では「なおす=片づける」という意味がありますが,関東では「なおす=修繕する」なのですね。言われてみれば,「なおしなさい」と言ったとき,そのお子さんがキョトンとしていたようにも思います。
「土地によって言葉はいろいろなんだなぁと可笑しくて…」と笑って済ませてくださいましたが,この出来事を思い出すことが,「自分が日々遣っている言葉が,自分よがりになっていないか」と反省する良い機会になりました。それは方言に限りません。言葉ひとつで子どもの理解がぐんと深まることもあれば,悩ませてしまうこともあります。
「『なおす』は関東では『修繕する』の意味」,大阪で生まれ育った両親からは,さすがに教えてもらえなかったことです。教えてくださった,また,自分の言葉を省みる機会をくださった保護者に感謝です。
(小学校教頭 神吉 清視)