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親孝行・やってみなはれ

2021年11月05日

失敗

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皆さんは『失敗』と見てどのようなイメージを抱きますか?
ほとんどの方はネガティブな印象を受け、できるならば避けたいと考えるのではないでしょうか。
私もかつてはそうでした。しかし、今は『失敗』=『必要経費』と捉えています。
これは私が以前いた業界全体にある考え方です。
私は以前ものづくりの業界で、海外サプライヤーと部材制作をし、仕入れをする仕事をしておりました。所謂バイヤーです。
工場にとって必要な部材を必要な数量、納期と予算内で買ってくる仕事です。

少し想像してください。
ある時、ある厳しい環境下で使用する製品の新規部材を、半年後までに納入するよう依頼されました。
苦労の末、予算と納期に見合うサプライヤーを2社見つけました。
A社:通常予算内では買えないようなハイスペックな材質を使用するが、ギリギリ予算内で半年後に納めるよう約束してくれた。
B社:予算の1/3程度の金額で2ヶ月後には納入できるが、材質が許容ギリギリである。

さて、皆さんならどちらのサプライヤーを選択しますか?

・・・私のいたものづくり業界の人間は、ほとんどがB社を選択すると考えます。
理由は2つ。
① B社材質は必要な仕様に対し、ギリギリではあるが許容範囲内であること。
② 何より、納期価格に『失敗』の余地があること。

ものづくりにおいて失敗は当たり前です。特に新規部材作成においては初回ロットの歩留まり率が50%を割ることもあります。
失敗して当たり前なのです。よって、発注段階から失敗を見込んで、歩留まり率が上がるまで発注し続けサプライヤーを育てるのです。どれだけ失敗しても、最終的に必要な品質の部材を、納期と予算内で入荷できればいいのです。
一方A社の場合、ハイスペックで高級な材質を使えるので失敗の可能性は低そうですが、
もし失敗したら...おしまいです。失敗したら納期も間に合わず、予算も使い切ります。これでは製品が作れません。

このように、ものづくり業界には『失敗』は当たり前の『必要経費』であるという考え方があります。どうでしょうか。皆さんも少しは『失敗』のイメージが変わりましたか?
『失敗』のない『挑戦』はありません。はりきって『失敗』していきましょう!ご安全に!

(雲雀丘学園中学校・高等学校 高1学年担任 英語科 高木 良憲)