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親孝行・やってみなはれ
2022年02月04日
父の思い
小学生の頃から絵を描くことが大好きで、「将来は絵を描く仕事がしたい」と思うほどでした。その後、中学、高校では『教師』という仕事に憧れを持つようになりましたが、「絵やデザインに関する仕事を‥」という思いは棄てることができず、大学進学の直前まで進路について悩みました。教職をすすめる父と意地を張ろうとする私が、険悪な雰囲気になることもありましたが、結局、私は教職の道を選びました。
その後、学園に着任し、教師という仕事に慣れてきた頃のことです。実家で母親と二人きりになったときに聞きました。
「お父さんは、ずっと言うてるよ。あなたの好きな道を閉ざすようなことを言うて、ほんまに良かったんかなぁ‥って。」
進路を決めるとき、私は父からの助言に納得をして、自らの判断で教職の道を選んだのです。進路を決めたときに自分の中では完結していたことが、父親にそんなに負担をかけていたとは思いもしませんでした。
それからは、実家へ行く度に、父に仕事の話をしました。食卓をはさんで、行事やクラスの子どものこと、楽しい話も、時々はそうでない話も。そして、あるとき、「いろいろあるけど、この仕事をしてて良かった」と伝えることができました。父は「そうかぁ‥」と頷いて、目の前のビールを飲み干しました。
親の子に対する思い。母の思いは我が子の日常に向けられますが、父の思いはもっと長いスパンの、我が子の生き様に向けられているように感じます。これからも、自分の生き様を父に伝えていくことが親孝行なのだろうと思います。
(小学校教頭 神吉 清視)