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親孝行・やってみなはれ
2023年05月12日
浪人の時
福岡市にある『親不孝通り』をご存じですか。私が言葉として,『孝行・不孝』を意識したのは,自分が大学浪人でここを通るようになったからです。7歳上の兄からその存在を知りました。今はそんな面影もないにぎやかな通りですが,当時は真正面に水城学園,左に私が通っていた英数学館という予備校が2校ありました。近くに公園もあり,中心街から少し離れたビル街の通りでした。この名前は俗称でその由来は,予備校に通う浪人生たちが通ることからでした。
初めは悲壮感漂う雰囲気かなと思っていましたが,予備校内はみな垢抜けた明るさで和気あいあいとした様子でした。講師は,名だたる大学の教授たちでもあり,新しい感覚の授業に溶け込んだ覚えがあります。鹿児島や長崎,熊本からなど九州各地から寮や一人暮らししながら通っている友だちもいました。私は,A新聞奨学生制度を使い新聞販売店に住み込みで朝夕の新聞を配達しながら通っていました。販売店の同じ2階の個室に住んでいたのは,熊本からの浪人生と,現役の大学生ながら医学部を目指す方でした。
浪人と言う言葉が死語になるそうです。大学入試の改革(AO入試や推薦など)や少子化の影響で大学全入時代に入ってきたからだそうです。飛び級ができたり,社会人が大学に入り直したりするチャンスも増えてきていることもあるそうです。浪人=親不孝という連想はなくなるでしょう。
当時の自分を思い返しても決して親不孝だと思ったことはなく,大学に向かおうと必死の時だったと思います。金銭的時間的に親に負担をかけることは事実ですが,目標に向かっていた姿勢は評価されていい一年だったと感じるからです。親不孝通りという呼び名が広がった理由も説明できなくなる時代が来ることでしょう。
(雲雀丘学園小学校 2年担任)