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親孝行・やってみなはれ

2023年12月01日

つないでいきたい「暖かい関係」

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20年ほど前,祖父が亡くなった時のこと。親戚みんなで棺を囲み,最後の別れを告げていました。そばにいた母親は,自身の父親の死を前に,私の手を強く握りました。そして,「あなたがいれば,大丈夫」-。気丈な母親に初めて頼られた気がしました。

産休や育休の制度が十分でなかった時代に,母親は私たち姉弟を育てるのにかなり苦労したようです。私たちが小学生のころは,祖父母に養育を任せ,私たちは祖父母宅から学校に通っていました。そこまでして両親は懸命に働いていました。その後ろ姿からいろいろと学ぶことはありましたが,どうしても寂しさが心に残っていました。しかし,その寂しさを補ってくれたのが祖父母でした。

毎日の夕食での何気ない会話,音読の宿題へのサイン,休日になれば車に乗り温泉へ。祖父母はまさに「親代わり」でした。握った母の手からは,祖父母に対する深い感謝が伝わってきました。

私が現在,毎日元気に仕事をしているのも,家族と楽しく過ごしているのも,すべて祖父母と両親の間にあった強烈な「子をおもう親の気持ち」と「親に感謝する子の気持ち」のおかげと感謝しています。そして,次の世代へこのような「暖かい関係」をつないでいきたいと強く思います。

(雲雀丘学園中学校・高等学校 教頭 道北 秀寿)