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親孝行・やってみなはれ

2024年07月26日

母とのハグ

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 皆さんは親に抱きしめられた日のことを覚えていますか?

 私には、今でもはっきりと覚えている日があります。それは大学1回生の1月でした。

私は神戸にいて、阪神淡路大震災に遭いました。何日も避難をして、つながっていた山陰周りの電車で愛媛の実家に何時間もかけて帰りました。玄関を開けると母が立っていました。母は、私を見て「おかえり」と言った後、ぎゅっと抱きしめました。何秒も、何秒も。私は少し照れくさい気もしましたが、「お母さんに抱きしめられるのは何年振りだろう。お母さんってこんなに大きかったっけ。」と母の腕の中で考えていました。

 これが母と私の最後のハグです。母はその数年後亡くなりました。でも「生きて帰った」ことで親孝行ができたのです。

 もちろん、当時の私が親孝行をしたなんて考えもしませんでしたが、3人の子どもの親となった今、「生きること」が最大の親孝行だと確信しています。

 幼い頃には「お母さん」と抱きついてきてくれた我が子も、中学生や高校生になり、なかなかハグさせてくれませんが、今日はこの原稿を見せながらハグしようと思っています。



(雲雀丘学園小学校 人権教育主担、3年主任 勝山 茂代)