環境大使 篠山畑作体験
6月18日(日)、担当教員と環境大使で篠山辻営農組合の青野様の畑に畑作体験に行きました。丹波篠山といえば、言わずと知れたプランドの「丹波篠山黒大豆」の生産地です。例年、この時期に大切な黒豆の植え付けの体験をさせていただいていましたが、今年は苗の生育状況が思わしくなく、畑整備を中心に活動を行いました。作業前に、お世話になっている青野様からは、こんなお話をしていただきました。
温暖化の影響について
黒豆の苗を育成させるにあたって、今年は気候が涼しかったり、急に暑くなったりの繰り返しで、みなさんの体験活動に合わせて苗を育成したかったのですが、2~3日のずれが生じてしまいました。気候の変化で、苗の生育予想も難しくなっています。地球温暖化は様々な影響を及ぼしていますが、特に農業のような自然相手の職業には大変な影響があります。
畑整備に当たって・・田んぼ周りの山について
農地改革により、現代は昔のような段々畑はなくなりつつあり、篠山でも区画整備された田んぼや畑になっています。昔、畑・田んぼの持ち主=山の持ち主だった名残からか、今でも暗黙の了解で、田んぼに接する山の斜面から生える植物によって田んぼが日陰にならないように、田んぼの持ち主が山の下草刈りをすることになっています。高齢化が進んだことや、昔のように山と人が寄り添って生きていたくらしではなくなった現代では、「山の価値」そのものも変わってきています。薪をとるために自然と山が整備されていた時代は、下草刈りは持ち主の「権利」でしたが、今は「義務」となり、高齢の農業家の肩にのしかかっています。
山の価値をどう変化させるか
昔は篠山でもマツタケがそれはそれはたくさん取れました。青野さんが小学生だった時には手押し車いっぱいのマツタケを家の手伝いで毎朝とり、それが嫌でこっそり捨てて帰って大目玉をくらった!というお話までありました。
昔とれたマツタケが今とれなくなり、値段も高騰しているのにはわけがあります。これも人と自然のくらしの隔たりが大きくなったことが影響しています。薪をとり、風通しが良い場所に菌がおちるとマツタケができますが、電気やガスが普及した今では薪も必要なくなり、山に風が吹き抜けることもなくなりました。また、たくさんの降り積もった松葉は火種にしていましたが、これも今では必要なくなり、深く降り積もっています。菌が地面につくまでにたくさんの松葉が邪魔し、着いた時には季節が終わっている・・そんな状況で山の価値も変わってしまいました。
しかし、新たな取り組みも始まっています。マツタケの復元作業の試みが試験的に行われていたり、松の木をチップ状にした木炭を火力発電に利用する試みも始まりました。この「松の木のペレット」がまた新たな産業になるのです。
青野さんのお話を聞いて、自然を相手にすることの難しさや、今回行う畑整備の下草刈りの意味などについても興味を持った大使達は、早速作業に取りかかりました。
まずは道具の使い方を教えていただき、安全にケガがなく活動ができるように様々な注意を受けました。のこぎりなど、危険な道具を使うことに慣れていない大使達は緊張しながらも、「楽しい!」と積極的に活動していました。うっそうとした山の斜面がきれいになると、疲れと達成感に満ちた顔で帰校しました。大使の皆さん、お疲れ様でした。次回もがんばりましょう。ご助言・ご助力をいただきました青野様に御礼申し上げます。
道具は使いよう・・使い方を学びます ヘルメットを着用!
山に入ります 作業開始
蔦が絡まった木を引っ張ります スッキリしてきました
お昼休憩。暑いので水分補給と休憩はこまめにします。
美しい里山の風景を後にしました。
篠山で出会った、虫やカエルたち