第4回目は、理科の大森茂樹先生です。
専門が生物の大森先生は、理科室でカブトムシ飼育中。もう今年で3代目だそうで、文化祭では遊びに来てくれた人に毎年プレゼントされているそうです。 また進路の担当でもあるので、高3生には強い味方。
そんな大森先生が選んだのは、ウナギを取り上げた1冊。おりしも先月、世界の科学者らで組織する国際自然保護連合が、絶滅の恐れがある野生生物を指定する最新版の「レッドリスト」にニホンウナギを加えたと発表しました。
こんな本を読んだ。
世界で一番詳しいウナギの話/塚本勝己 (飛鳥新社)
この本の著者、塚本勝己氏は、現在東京大学海洋研究所の教授です。
40年に及ぶ歳月を費やしてウナギの研究をし、ついに、2009年初めて産みたてのウナギの卵を発見、2012年にはニホンウナギの産卵場所がグアム島に西南西にあるパスファインダー海山、アラカネ海山、スルガ海山であることを発見しました
この本は、その発見にいたるまでの過程が失敗談も含めてユニークに書かれています。世界的ウナギ博士と呼ばれている同氏の情熱と洞察力は生物を研究する者にとても参考になります。
ウナギの赤ちゃん(レプトセファルス)は外敵に襲われないためスコールでできた塩分濃度の薄い塩分フロントの下を、海流に乗って移動しながら、マリンスノー(微生物が分解された栄養分たっぷりの半液状体。ウナギの離乳食と思ってください)を食べて成長して、シラスウナギになります。
そして、偶然たどり着いた河口や川で大人になります。親となって産卵期を迎えると、生まれ故郷の海へと長い旅に出ます。故郷に戻ってくるときは、小さいときに食べたマリンスノーの臭いで故郷を認識するそうです。
絶滅危惧種になりつつあるウナギ、塚本氏の研究で復活してほしいですね。
この本は、塚本先生の元でウナギの研究をしてきた僕の教え子である(現在は出版社で執筆もしている)O君が塚本先生に御願いしてできあがったものです。
是非、一読してみてください。
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もうすぐ夏の土用の丑の日(今年は7/29)
昔から、この日にウナギを食べると夏負けしない
と言われています。
世界生産量の70%以上を消費しているという
日本人が大好きなウナギ。復活を願いましょう。