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進路の部屋

東京大学金曜講座 腸脳力~最強の体内物質がヒトを変える~

2020/05/17

高大連携講座

 515日夕刻より、東京大学金曜講座が行われ、有志生徒が出席しました。今回は、東京大学教養学部統合自然科学科教授の坪井貴司先生に「腸脳力~最強の体内物質がヒトを変える」をテーマにオンラインでご講義頂きました。

 今回の講義では、体内に存在する様々な細胞の機能を束ねるホルモンや神経伝達物質について、インスリンの機能と糖尿病、人工甘味料によるインスリン分泌や腸内細菌への影響、消化管ホルモンへの関係、その精神や行動への影響など、普段気になる身近な事象がどのようにして生じているのかを興味深く伺いました。また、研究に使われるカメラ等の研究機材のご紹介もあり、インスリン分泌のリアルタイム可視可の映像を見せて頂くなど、光で細胞を見る面白さも味わいながら、研究室や研究手法を教えて頂きました。

 神経細胞や内分泌細胞は、体内外の様々な刺激を感受して、神経伝達物資やホルモンを分泌します。分泌された神経伝達物資やホルモンは、記憶学習、愛着、食欲といった活動に関与したり、体温や血糖など生体恒常性維持にも関与したりして、生命現象に影響を与えます。そのため、分泌を制御するタンパク質に変異が起こると、精神疾患や摂食障害、糖尿病などが起こります。また、分泌反応を調節する化学物質は、よく耳にする病気の発症機構の解明にも、分泌不全によっておこる疾患の治療薬ともなりうるものです。進路選択においては、医学部だけではなく、このような道筋から医療へアプローチできるということを知ることができた点で、参考になるのではないかと思います。先生がホルモンを研究することになったきっかけを講義の中で伺いましたが、研究者になるための道筋のイメージがわいた受講生も多かったのではないかと思います。進路選択の助けになればと思います。全ての質問答えて頂いて、今回も夜8時半、事務局の方にも先生方にも大変お世話になりました。ちなみに、特に質問が多かったのは、人工甘味料の摂取によるインスリンの分泌でした。

 坪井先生が執筆なさっている書籍がありますので、紹介します。ブログを読んでくださっている皆さんも手に取ってみてください。花粉症、インフルエンザ、がん、糖尿病、認知症など現代に生きる私達の誰もがかかりうる病気を題材に講義が展開されています。ヒトの体にまつわる身近な疑問から最新治療まで知ることができ、生命科学と医療の最新知識を学ぶことができます。読者特典の動画付きだそうです。

 坪井 貴司著 『そうだったのか!ヒトの生物学』(丸善出版、2019年)


 


 


 



 


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