卒業生~母校は母港になる
No.11(28期)選択の連続で創る人生
2021/06/18
幸運なことに私は楽しく好きな仕事に就いています。大学教員の仕事は3つあります。教育、研究、大学経営です。大学経営にはあまり向いていませんが、授業で学生と議論するのは好きですし、研究でイタリアや日本の農産物の畑を訪ねるのは刺激的です。理想の職業を手に入れましたが雲雀丘学園在学中から経営学者になろうと思って邁進してたどり着いたわけではありません。キャリアチェンジを繰り返し、現在の法政大学経営学部は5つ目の勤め先です。
英語が好きで、小学校では英語部に所属し中学で弁論大会に出たこともありました。進路は当然のように文学部英文学科。神戸女学院大学に進学しました。新卒ではホテルに就職。気に入って働いていたものの「やっぱり留学をしたい」といって退職しアメリカの大学院へ。帰国後、特許事務所秘書を経て広告会社の営業職に転職。「営業の仕事にはマーケティングの知識が必要だ」と思い神戸大学大学院に進学します。修士課程を2年で終えるつもりが、研究が面白くなって博士課程に進み、修了と同時に会社を辞めて大学に就職しました。
一見すると主体性のない生き方のように見えますが、1つ大切な点があります。「たった今、自分が一番やりたいことをそのつど選び取ってきた」「その積み重ねで気がつけば自分が一番気に入って幸せになれる場所に到達した」これです。小中高を通して英語が好きだった私には英文学科が最も関心がある進学先でしたし、就職したけど留学したいという気持ちがおさまらず日本を飛び出しました。人はできない理由をいくらでも考え出しますが、やらない言い訳を考える前に動いてしまえば新しい世界が広がっていきます。2016年には世界をさらに押し広げ、社会貢献活動として妹の木村知可子(1989年卒業 31回生)と共に箕面で保護猫カフェCaraCat Cafeを開業しました。
情操教育によって生徒の感性を伸ばしてくれる雲雀丘学園が、私たち姉妹の思い切りの良い性格を作り、今の姿にすべてつながっていると思っています。小学校の授業科目にあったクラシックバレエは、中高の硬式テニスに始まり大学の体育会ゴルフ、社会人になって始めたフィットネスやヨガの基礎になっています。同じように雲雀丘は音楽、スポーツ、芸術の授業が充実し、大人になった今は若い時にそれらに触れることがどれほど贅沢なことだったかが分かります。
勉強に熱心な進学校は他にもあるでしょうが、豊かな感性を育ててくれる雲雀丘学園は賢い人間を作るだけではなく、人へのリスペクトと感謝の気持ちを持てる感性と、自分で選択する力を身につけた若者を育てます。ますます生きづらい世の中になっていますが、後輩の皆さんにも「今のこの自分がやりたいこと」を選択し続けることで、振り返ればすべてが繋がっているような人生を創っていっていただきたく、先輩として応援しています。
法政大学経営学部教授 木村純子(1986年卒業 28期生)
木村先生は、6月26日に校内で高校生対象として開催するOne Day Collegeで「マーケテイングって何だろう」というタイトルで講義をしてくださいます。
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