学校ブログ

校長通信

三瓶山 第19号

2021/05/20

進路

勝海舟の残した言葉に
「その人がどれだけの人かは、人生に日が当たってないときに、どのように過ごしているかで図れる。日が当たっているときは、何をやってもうまくいく」があります。勝海舟は広い視野を持った幕臣として活躍しましたが、一時期は罷免され謹慎を余儀なくされることもありました。だから、うまく行かない時期こそ自分を磨くチャンスととらえたのでしょう。
人生には頑張ってもうまく行かない時期や事柄があるものです。そんな時は、あきらめて無気力になりがちですが、そこを前向きに誠実に乗り切ろうとする同僚がいます。私より若いのですが、これまで彼の笑顔に励まされ、助けられ、一緒にピンチを乗り越えてきました。

彼の母校は島根県で4番目の旧制中学校として開校し、今年創立100年を迎えた名門校です。その校歌をひもとくと「大地に根を据え三千四尺、三瓶の名山虚空を凌ぐ、見よ見よ向上理想の陰を、健児よ 自然の教えに学べ」と謳ってあります。これは「雄大な三瓶山のように、大きな理想を求めて、自然の中で、自然とともに大いに学ぼう」という精神です。彼の前向きな姿勢、いつも自然体の柔軟さ、時に厳しく、包み込むような優しさは、この雄大な自然の中で育まれたものでしょう。田舎自慢話として「すぐ目の前に山と海がありましたから」「野球漬け」と話してくれていました。まさしくのびのびと自然とともに大いに学び、人間力を育まれたのだと思います。
彼と一緒に仕事をすると、理想に向かい、おおらかな気持ちで前向きに立ち向かうことに気づかされます。彼からたくさん教えられ、導かれたた卒業生も多いことでしょう。

ちなみに、ふるさとの山、三瓶山は中国地方の2つの活火山の一つで、島根県のほぼ中央部にあります。直径5kmのカルデラの中に、6つの峯が配列し主峰は1126mです。8世紀の出雲国風土記には、あまりにも自分の国が小さいと考えた国造りの神が海の向こうから引き寄せた土地を1つにまとめるのに三瓶山と大山を杭として使ったという国引き神話が記されています。登山道が整備されているようですのでいつか登ってみようと思います。


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