学校だより
図書館 あの日から30年
2025/01/17
図書室から
今日1月17日、阪神・淡路大震災から30年となりました。現在、阪神淡路大震災関連の本を展示中です。時間が解決してくれることもあれば、時間では解決出来ないこともあります。みなさんの暮らす場所で起こった事を知っておいてほしいです。いろいろな災害の記録、防災、減災に関する本は、2階・分類番号369付近にあります。
昨年1月からこの1年間、日本各地で大きな地震が起きています。そのたびに「当たり前だと思っていた」ことは「当たり前じゃない」ことを思い知らされます。展示しているなかから小説を紹介します。
翔ぶ少女/原田マハ
1995年1月17日、小学1年生の丹華(ニケ)は早朝、自宅のパン屋から漂ってくるいい匂いで目を覚まし、働く両親の姿や焼き上がったパンのことを思い浮かべ幸せな気持ちになります。そんな毎日の当たり前の情景をその日の朝、大きな揺れがおそいます。神戸市長田区、震災で両親を失ったニケ達3人兄妹は、同じく震災で妻を失った医師の佐元良(さもとら)先生に助けられます。けがをした足の傷以上に心に負った傷に苦しむニケに「前を向いて、歩いていこう。ゆっくりでいいから」と佐元良先生は声をかけます。ニケは強くなりたいと誓います。心は強く愛すると翼に、苦しむと毒薬に変わるのだそうです。そして復興へと歩む町で少しずつ絆を育んでいく4人に起こる思いがけない出来事。やさしい奇跡と再生の物語です。
サモトラ、ニケと言えば、フランス・ルーブル美術館にある有名な羽根のはえた勝利の女神像「サモトラケのニケ」を思い浮かべます。翼を広げた巨大な女性大理石像はルーブルの至宝。美術をテーマにした作品を多く手がける原田マハさんらしい登場人物の名前も物語のエッセンスになっています。