高3学年通信(64期生)
ひたむきな思い
2020/09/12
本日は本校の恒例行事となっている「One Day College」でした。
今年度も30人近くの先生方に講義をしていただきました。
甲南大学文学部教授 廣川晶輝先生の授業の様子をお伝えします。
「現代アーティストの歌詞と『万葉集』の歌」というテーマでしたが、事前の希望調査で第1希望の生徒が多くて、受講できなかった生徒もたくさんいたそうです。
今回の授業では
露霜に 衣手濡れて 今だにも妹がり行かな 夜は更けぬとも
万葉集 巻10・2257番歌
こちらの和歌を丁寧に読み、味わいました。
万葉時代の人にとって「夜」という時間の持つ意味を理解すると、その時間が残り少なくなっている状況の切なさを感じ取ることができます。
「露霜に 衣手濡れて」という場面を言葉正しくイメージすることで、草木をかき分けながらそれでも会いに行こうとしている、ひたむきな男の姿が見えてきました。
「がり」「だに」といった重要古語もしっかり頭に入ります。
1300年前の「男」の思いを感じ取り、和歌を味わったところで、高校生もよく知っている現代アーティスト 秦基博さんの『鱗』を聴きました。
いつもと違って、歌詞をしっかり見ながら音楽を聴いていると、会いたい人に「今会いたいんだ」というひたむきな思いが伝わってきます。
人の心は変わらない。
ひたむきな心は人の心を動かす。
1300年前の和歌と現代アーティストの歌詞を繋げてることで、昔も今も変わらない大切なものが見えて来ました。
大学で「文学」を学ぶというのは、このような切り口を手に入れ、新鮮な発想を生み出す土壌を作ることでもあります。
授業後の皆さんの嬉しそうな顔は、廣川先生が冒頭に仰った「お土産」を持ち帰ることができた何よりの証だと思いました。
廣川先生、本日はありがとうございました。
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