高2学年通信(68期生)
言葉の重み
2023/03/11
3月11日、東日本大震災の日です。
連日、メディアで震災のことが報じられていますが、何年経っても過去の出来事として捉えることができない人たちがいます。行方不明者はいまだに2523人、避難者は3万人を超えます。数字にすると抽象的になってしまいますが、もちろんそこにはひとりひとりの具体的な人間が存在します。
宮城県仙台市出身のフィギュアスケーター、羽生結弦選手がこう語っていました。
「東日本大震災がきっかけとなって、言葉の重みを感じるようになりました」
羽生選手は仙台で被災した直後、コメントを求められる機会が多かったといいます。そのとき、自分は何を伝えたいのか。発した言葉が、どういう風に伝わっていくのかと思い悩んだそうです。震災から10年後に発表したコメントでも「何を言えばいいのか、伝えればいいのか、わかりません」と綴っています。
それでもコメントを求められ、何かを語らなければならない。被災者でもありアスリートでもある自分は何を言えばよいのか。羽生選手がたどりついた言葉は「頑張れ」という言葉でした。
「僕は誰よりも『頑張れ』という言葉の意味を知っているな、と。多くの方々から『頑張れ』を受け取ってきたからこそ言える言葉なのかな」
私たちひとりひとりが「自分の言葉」について考えるときだと思います。羽生選手は次のように続けます。
「自分の中から言葉を発せなかったとしても、小説の言葉に触れることによって、自分の言葉が消化されるかもしれない」
先日芥川賞を受賞した佐藤厚志さんの「荒地の家族」は震災後の宮城県を舞台とした小説です。また、新海誠監督の長編アニメ「すずめの戸締まり」も震災をテーマとした物語です。
この3月、様々な作品にふれて、自分の言葉を蓄えてください。
そしてできることなら周りの人たちに、自分の言葉で思いを伝えてみてください。
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