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常務理事便り
2020年09月18日
「ますます面白くなってきたアート名誉会長のお話」
雲雀丘学園が創立70周年記念事業でおこなっている「家族の作文コンクール」は応募が9月4日で締め切られました。コロナの時期でしたので学校からの応募が懸念されましたが2500通を超える応募が全国からあり大変うれしく思っています。10月5日の本選考を前にすでに選考作業は進められていますが「ぐいぐい読ませる作品」(産経新聞記者談)が多く集まっているとのことで入選発表が楽しみです。
大銀杏と人口芝になった校庭 新文化館の建設工事現場にそびえるクレーン 募集のチラシ
さて9月3日の学園長便りで「寺田名誉会長の話が楽しみ」として日経新聞で連載の「私の履歴書」をお知らせしたところその後「楽しい、面白い」「ためになる、参考になる」「正直な告白」「学園の理事とは知らなかった」などの感想をいただきました。その通りだと思います。私も長い営業マン人生を送ってきたのでうなずくことが多いのですが、その中でも興味を持ったところを紹介します。
一つは「作業時は靴下を履き替え」です。これは現場を知っている人だけの発案だと思います。まさに現場発想。サントリーでも昔はお得意先との会組織が数多くあり、畳の部屋での宴会がたくさんありました。営業マンは昼間、駆けずり回っていますから靴下が匂うことはしょっちゅうです。夏ともなればなおさら。この匂い、本人は気にならなくても周りの人は本当に迷惑で気持ちが悪くなります。そこで出た命令が「宴席に出るときは靴下を履き替えろ」でした。当然といえば当然ですが。
電話代なども大変勉強になります。サントリーの営業マンはお酒屋さん回りが主な仕事です。携帯電話のない時代、会社に連絡を取りたい時など、お酒屋さんの電話を借りることになります。その時の電話代ですが、お酒屋さんは10円のことなので「いいよいいよ」と言われますが、そこはきっちりとしなければならないので少し多めに、無理にでも置いて帰ることになります。ここまでは当たり前のことですが、ここからが寺田さんのすごいところです。アート引越センターは「小袋」を用意し「10円2枚」を「新硬貨」で入れ「そっと」「おいてくる」なのです。
この対応は、高邁な経済書よりはるかに優れたマーケティング理論であり、まさに営業の本質・顧客の心理をついていると言えます。この事例は当時、すでに業界では有名な話で、多くの企業が取り入れました。寺田さんのお話は、「0123」の電話番号にしろ、社名の「アート」にしろすべて生の現場からくみ上げられたものであり、知識でなく知恵、理論でなく実践なのです。私たちの学園経営でも教育活動においても参考にすべきところが実に多いのです。
(2020.9.17)