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常務理事便り
2022年05月31日
Vol 10 蛍 飛ぶ!!
~雲雀丘学園常務理事 成地 勉~
中高等学校中間試験明けの5月27日の午後8時近く、ひばりの里で蛍が2匹、暗闇の中に光線を描き飛翔しました。
それを見守るのは中高等学校の理科教員と科学部の生徒たち、そしてアドバイザーとして様々指導いただいたYさんです。
「アッ、飛んだ!飛んだ!」、「どこ、どこ?!」と生徒たちの声が飛び交います。ほんの数秒でゲンジボタルは里の周りの闇に消えていきました。初の蛍飼育、産卵から始まり成虫まで飼育し、20匹を夜空に飛ばすという目標には至りませんでしたが、立派な成果、大きな一歩を踏み出してくれました。
地域の蛍を復活させようという試みは一年前から始まりました。親となる成虫の採集、産卵、幼虫の飼育、と進み、その都度個体数は減っていきます。最終成虫まで育つ可能性がある個体は20匹となり、ここ数日は固唾をのんで土の中から出てくるのを待っていたのです。出てきた成虫は雄2匹、雌1匹でしたが、この個体がひばりの里に初めて飛翔したのです。
K先生やYさん、そして科学部の部員の皆さんのトライアルに心から拍手を送りたいと思います。今まで学園の中では誰もやってこなかったことへの挑戦です。初めから、うまくいく確率はほとんどありませんでした。しかし、少しでも可能性があれば挑戦し、曲がりなりにも2匹の蛍が飛んだわけですから蛍復活へ向けて大いなる第一歩だと私は思っています。これを足掛かりに更に工夫を凝らし、改善し、成虫化率を上げていく取り組みが進んでいくことを期待しています。
最終目標はこの地区にあるひばり滝付近の蛍復活ですが、そこへ至るまでにはまだまだ克服すべき課題は横たわっています。しかし、科学部の生徒たちが諦めることなく、挑戦し続ければ可能性は大いにあるはずです。誰もこの取り組みが不可能であるということは証明できないのですから。初代理事長の鳥井信治郎先生は社業において、100人中100人がやめておけといったウイスキー造りに敢然と挑戦しました。ウイスキーの未来、消費者にきっと受け入れられるという可能性を信じて邁進したのです。
来年は30匹の飛翔をめざそう!!という目標を関係する皆さんと共有化しました。科学部の挑戦を応援したいと思います。