学園ブログ

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常務理事便り

2023年05月22日

Vol 9 八段挑戦記

~雲雀丘学園常務理事 成地 勉~

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 過日、剣道八段位の審査が京都でありました。今回も挑戦いたしました。もう20回くらいは受審している勘定です。今回は2日間で七段位の先生方1665名が受審、合格者は14名でした。合格率は0.8%であり、極めて難易度の高い試験であることには変わりはありませんでした。私はと言えば、今回もまた、不合格でした。しかしながら、今回の審査はいくつかの気づきもありました。

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 「攻め」と相手との「間合い」の関係、あるいは打つべき機会での対処について深く感じるところがありました。攻めることと相手との間合いは相対的であるがゆえに、自分勝手な「攻め」では立派な打突は実現できません。つまり、攻める気が勝って、間合いが詰まっていないのに打ちを出すとその打突が相手に届かなかったり、間合いを簡単に切られたりして、決して有効打突とはなりません。即ち「攻め」にはなっていないのです。このあたりを審査員の先生方は観ておられます。その意味では相手と相対的な関係の中で、「攻め」を効かせて打突できたシーンがいくつかありました。

 一方、打つべき機会での対処についてはまだまだ学ぶべき点が多いと感じました。即ち、相手と間合いが詰まって、打てる間合いになったときにどう打ちを出すかということです。間合いが詰まるとは、「攻め」を効かせながら打てる間合いまで相手との距離が詰まった状態になることです。逆に言えば、これは相手にとっても打突できる間合いになったということです。私は今回、ここで迷いが生じました。思い切って面に出るべきか、相手の面を引き出して胴を打つべきか、その刹那、相手の面が飛び込んできました。この一瞬の迷いのためにその面を受け止めきれず、私にとっての今回の審査は終わったのでした。

 そして、迷いの出たこの瞬間こそが審査にとって最も重要視されるポイントです。打つべき機会が来たら、驚懼疑惑を越えて、思い切って打ち切る心の強さを審査員の先生方は観ておられるのです。まだまだ修行は足りませんが、収穫多き審査会でした。捲土重来を期し、高い目標をもって稽古に励みたいと思います。人生や仕事もまた同じでしょう。しっかり考えて決断したら、反対や批判があっても信念をもってやり抜く覚悟がなければ事は成就しません。

 「文武不岐」という言葉があります。造語を許していただけるのであれば「事武不岐」ともいえるのではないでしょうか。引き続き精進したいと思う日々です。