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常務理事便り
2023年07月05日
Vol 17 イネの中干し
~雲雀丘学園常務理事 成地 勉~
イネの育成において必要不可欠な作業があります。「中干し」という作業です。強いイネを作っていく上で大変、重要な作業です。苗を植えてから3か月程度経つと文字通り、成長途中で水を切り、土を干し、乾かすのです。この作業には様々な効果が考えられますが、最大の効果は根を強くすることです。表面にひび割れが起きるくらいに乾かすのですが、これにより、根に酸素がいきわたり、根腐れを防ぎ、根の活力を高め、根が強く張るようにするのです。しっかり強く根を張ることで土中の養分を十分に吸い上げます。また、夏秋の大雨や暴風にも倒れずに耐えられるのです。
子どもたちの成長も同じです。よい環境を与えることは成長には必要です。しかし、よい環境だけでは強さは生まれないでしょう。成長の過程は様々ありますが、それぞれの過程において、かまいすぎない、教えすぎないということが必要ではないでしょうか。不明な事、疑問な事は尋ねればわかるのではなく、自分で探っていく、自分で考えるという作業があってこそ、根が張った本物の知識になり、知恵になるのです。そして、その過程で積極性や自主性、自立性が育まれていきます。優れた教師は子どもの持つ好奇心という芯に火をつけます。その火を大きな炎にしていこうと過剰な油を投入すると炎上し、燃え尽きます。小さな炎でもいいので燃やし続けることが大切なのです。教育にも「中干し」は必要不可欠ではないでしょうか。心にとどめ置きたい言葉です。