学園ブログ

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常務理事便り

2023年06月27日

Vol 16 イネの病気と爆縮

~雲雀丘学園常務理事 成地 勉~

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 先日、ひばりの里田んぼのイネの成長を妨げる雑草アメリカコナギを踏みつけたり、抜いたりする作業を行いました。昨年は雑草が繁茂し、苦労したので繁茂する前段階で採ってしまおうというわけです。その時に気づいたのですが、小学校の田んぼのイネの生育が中高田んぼのそれと比べると明らかに遅く、よく見るとほとんどの穂に褐変している部分がありました。また、穂の一部が欠損しているものも多くありました。アドバイザーのYさんによるとイネミズゾウムシよる被害、バッタの幼体による食害ではないかとのこと。完全無農薬で稲作に挑戦していますからやむをえないのですが、本当に頭が痛いことです。一方でこの無農薬のおかげでしょう、池や田んぼにはヌマガエル、モリアオガエル、そしてそれぞれのオタマジャクシや卵塊、多種類のトンボ、サワガニ、水生昆虫などが観察できます。無農薬の非効率性とそれによる生物多様性確保の両立は本当に難しいものです。これと同じようなことが今地球的レベル、全人類的レベルで起きているように思います。

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 SDGsはまさに環境保全と人類の共存がテーマです。AIの飛躍的進展についても同様のことが言えます。即ち、効率化と先にある漠然としたAIと人類の共存に対する不安などがそれにあたります。

 先日、世界が注目した深海潜水艇による事故は象徴的なように思いました。現代の高度な技術を使っての深海潜航は「爆縮」という今まで聞いたこともない悲劇で終焉を迎えようとしています。深海3800メーター迄潜ることが可能な設計のはずでした。事前に危険性を指摘する情報があったと報道されていますが、少なくとも運行した会社は安全性に自信を持っていたことでしょう。しかし、巨大な深海の圧力によって一瞬にして破滅的破壊に至ってしまったのです。我々人類は進歩や発展に向かうように設計されています。しかし、進歩の先、発展の先には破滅も必ず身構えているのです。道を誤れば間違いなく破滅に向かいます。我々は時を争うように未来に向かって突き進むのではなく、自然世界に敬意を払い、人類の能力に謙虚になり、正しき道を時間をかけて探していく時期に来ているのではないでしょうか。