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親孝行・やってみなはれ
2018年05月11日
本当の親孝行は「命を大切にする」こと
今から8年前、私はケガをして2か月間入院をしました。警察のヘリと救急車で搬送され、入院したのは長野県の病院です。診断の結果、頚椎骨折、腰椎破裂骨折という重傷でした。意識もとぎれとぎれで、家族には「覚悟をしておくように」と医師から伝えられたようです。
無事に手術を終え、意識が戻った時、まず「手足を動かすことができるか」ということが一番気がかりでした。幸い、背骨や首の骨が折れているにもかかわらず、無事に動かすことができました。それから、完全に首を固定された状態での入院生活が始まりました。
家族は遠いところ足繁く長野県まで通ってくれました。また、当時の校長先生だった岩﨑優先生も、遠い長野まで足を運んでくださいました。この時ほどうれしかったことはありません。突然、新学期から音楽の先生が休むことになったのですから、学校の方は大変だったと思います。それにもかかわらず、かけていただいた「学校の方は心配しなくてもいいから…」という優しい言葉に涙が出てしまいました。大変迷惑をかけてしまったこと、今でも申し訳なく思っています。それから、上を向いたままで食事もうまく取れない私を、毎日献身的に介護してくれた看護師さん。いくら仕事であるからと言っても、これほどまでに患者さんに誠心誠意尽くしてくれるその姿に感動しました。小学校の先生も、連休を利用して、飛行機で来てくださいました。これも大変うれしかったです。本当にたくさんの方にお世話になりました。毎日、感謝!感謝!の入院生活でした。しかし、このケガで、一番心配してくれていたのは、私の両親でした。高齢である両親は、長野県までは来ることができなかったので、6月に退院するまでは顔を合わすことはできませんでした。しかし、何歳になっても、一番心配なのは、やはり子どものことのようで、母は今でも「あの時は生きた心地がしなかった」といいます。その後他界した父も、心配で夜も眠れなかったと言っていました。この時、本当の親孝行は「命を大切にする」ことだということに気づかされました。
たくさんの人にお世話になったことで、「人はたくさんの人に生かされている」ということ、「自分だけで生きているのではない」ということを実感しました。また、「命というのは、一瞬で消えてしまうこともある」ということ。生と死の境目を見たことによって、その後の自分の人生を変える貴重な体験でした。
「このいのちにありがとう」(「いのちの歌」Miyabi作詞より)
(小学校教諭 岡村圭一郎)