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2014年08月30日

ALSとアイスバケツチャレンジ

 近頃、話題になっている「アイスバケツ・チャレンジ」
スポーツ選手をはじめとした著名人が、氷の入ったバケツの水を頭からかぶる映像を目にした人もいると思います。チャレンジする様子の方が目立っていますが、本来、ALS患者と患者団体を支援するための募金イベントで、アメリカから始まり世界中に広がったものです。これまでALSを知らなかった人達も、この病気に関心をもつきっかけになっているそうです。みなさんはALSを知っていますか?

 ALS=筋萎縮性側索硬化症は、身体を動かすための神経系(運動ニューロン)が変性する病気です。変性することで体内で神経の命令が伝わらなくなって筋肉がだんだん縮み、力がなくなります。しかも進行性の病気で、今のところ原因が分かっていないため、有効な治療法がほとんどありません。(日本ALS協会HPより)
 研究機関が把握しているだけで、国内でも約9000人がこの病気を患っているそうです(H26.2)

 今日、紹介するのは、アメリカでの実話で映画にもなった
モリー先生との火曜日/ミッチ・アルボム著、別宮貞徳訳(日本放送出版会)

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 スポーツライターとして、名声も財産も手にしたけれど何か満たされないまま仕事漬けの日々を送る著者のミッチ。ある時、大学時代の恩師モリーの姿を偶然テレビで見かけます。ダンスが好きで茶目っ気たっぷりだったモリー先生。16年ぶりに目にしたのは、ものを噛むのもひと仕事、一日車椅子で過ごす、ALSという難病を患った姿でした。

 いてもたってもいられなくなったミッチは、モリーのもとへ駆けつけます。人生の意味を見いだしかねていた彼が、モリーと再会を果たし、毎週教えを聞くことで変わっていきます。

 授業は毎週火曜日。本はいらない。テーマは人生の意味。
 出来ることがどんどんなくなっていき、足先から這い上がってくる病、死を目の前にしても自分をあわれんでいないモリーに驚かされます。
 しかし、モリーも病の告知を受けた時は「深い穴の底に落ちていく思いがした」そうです。ただ、希望を捨てるか?残された時間に最善を尽くすか?と自問した時、死を人生最後のプロジェクトにしよう、ゆっくりと辛抱強く死んでいく私から何かを学んでほしいと願います。
 感情、後悔、愛、家族、・・・。モリーが亡くなるまでの14回の授業を、モリーの発案でふたりの「最終論文」としてまとめたものです。


2014年08月26日

国境なき医師団とエボラウィルス

 アフリカ西部のギニアで、今年の春に発生したエボラ出血熱、隣国のシエラレオネやリべりアにも広まり、現在も治療法がないまま流行が続いています。

 先月、国境なき医師団の看護師として日本から初めて派遣された吉田照美さんが、シエラレオネから帰国されました。医療者も感染の可能性あり、と聞いていたので覚悟を決めての渡航。現地では、体感温度50度にもなる防護服を着て活動にあたったそうです。
 吉田さんは、高校生の時にアフリカで働く保健師の番組を見て、看護師になる事を決意。普段は国内で看護師として勤務、派遣依頼があると現地へ向かいます。
 将来、看護師を目指している人も多いと思います。同じ資格をいかして就く仕事でも、働き方や働く場所は様々。視野を広げて、色々なポジションがある事をぜひ知ってください。

 国境なき医師団( Medecins Sans Frontieres = MSF )は、1971年にフランスの医師らによってつくられた中立・独立・公平な立場の医療・人道援助活動を行う民間・非営利の国際団体です。日本をはじめ世界に28の拠点を持ち、1999年にはノーベル平和賞も受賞しました。
 医師団チームには、医師や看護師、薬剤師などの医療スタッフに加え、現地で事務的な仕事をこなすアドミニストレーター、物資の手配や建物の建設などを担当するロジスティシャンなど、医療以外の専門家もいます。日本ですぐに派遣に応じられるメンバーが200名程いて、東日本大震災でも翌日には現地で活動しています

 活動の特徴は「医療活動」と「証言活動」の2つです。
 医療活動は緊急援助を専門に、世界中のどこにでも48時間以内にチームを展開させる機動力があります。 証言活動は自分たちのPRはもちろん、活動地で目撃した事態を世論に喚起するジャーナリストとしての活動です。

 そんな証言活動をまとめたものが
妹は3歳、村にお医者さんがいてくれたなら。~わたしたちが900万人の人びとに医療を届けるわけ~ /国境なき医師団日本 編・著(合同出版)
 日本MSFのスタッフが体験、派遣現場で目の当りにした現実。世界には紛争、自然災害、貧困、女性の低い地位、様々な理由で必要な医療を受けられない人々がたくさんいます。
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 MSF事務局からは、国境なき医師団ってなんだろう?も取り寄せました。10代向けのリーフレットで、MSFの活動が解りやすく説明してあります。

 参考資料: 国境なき医師団HP http://www.msf.or.jp/

2014年08月22日

もうすぐ、2学期

 週明けの月曜日から、2学期が始まります。
夏休みにやり残したことは、この週末にトライしないと!

 図書室は夏休み中に届いた本の登録もほぼ完了。「新着図書」の新しいサインも作りました。さあ、元気に2学期をスタートさせましょう。

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    こちらのイラスト、前に卒業生が描いてくれたものです。  

2014年08月20日

2014年上半期ベストセラー(ノンフィクション)

 ノンフィクション部門のベストセラーの中で所蔵しているものを紹介します。

単行本2位のこちらは、リクエストがあって購入しました。

学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話 /坪田信貴 (KADOKAWA)
 ネット掲載されていた実話をもとに小説化されたもの。名古屋の中高一貫校に通うさやかさんは、中学3年の時に周りに感化され金髪ギャルデビュー。勉強からもどんどん遠のいていきます(聖徳太子を「せいとくたこ」と読んでしまうくらい) そんなさやかさんが高2の時、著者である塾講師の坪田さんと出会い転機を迎えます。
 「君みたいな子が慶応とか行ったら、おもしろくない?」「おお、確かに。超ウケる」から始まった、さやかちゃんと坪田さんの奮闘記。

 ある紹介文では「この作品の人気の秘密は勉強法や教育論でなく、さやかさんの魅力あるキャラクターにある」と評します。
 よく売れる闘病記と同じで、読者は病気(勉強法)について知りたいのではなく、危機的な状況(偏差値30で学年ビリ)にある時、その人がどう考え選択し行動するか、に惹かれるのではないかと言いい、人間的な魅力のある人は周囲から支援されるのだという事に注目していました。

 新書部門の10位  母という病/岡田尊司 (ポプラ社)
 近頃、母親との関係に苦しんでいる人が増えているそうです。最初は何か違和感があっても「ウチはこういうものだから・・・」と思ってしまい、自覚症状がない事が多いのだそうです。
 精神科医・岡田さんは、それは単に母親だけとの関係に終わらず、 他のすべての対人関係や恋愛、子育て、うつや依存症などの精神的な問題の要因ともなる。 「母という病」を知って、それに向き合い、克服することが大事だといいます。

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 他にも、単行本10位 原発ホワイトアウト/若杉冽 (講談社) 新書2位   人間にとって成熟とは何か/曽野綾子 (幻冬舎) など所蔵しています。
 * 「学年ビリのギャルが・・・」は、予約待ちです。

                     (集計期間:2013.12.01~2014.5.28 日販調べ )

2014年08月18日

2014年上半期ベストセラー(フィクション)

2014年上半期ベストセラーが先日発表されました。単行本フィクション部門。

  ① 村上海賊の娘(上・下)/和田竜 (新潮社)
  ② 女のいない男たち/村上春樹 (文藝春秋)
  ③ 終物語 中/西尾維新 (講談社)
  ④ 終物語 下/西尾維新 (講談社)
  ⑤ ロスジェネの逆襲/池井戸潤 (ダイヤモンド社)
  ⑥ インフェルノ 上・下 /ダン・ブラウン (KADOKAWA)
  ⑦ 海賊と呼ばれた男 上・下/百田尚樹 (講談社)
  ⑧ それでも僕は夢を見る/水野敬也、鉄拳 (文響社)
  ⑨ 約束の海/山崎豊子 (新潮社)
  ⑩ ペテロの葬列 /宮部みゆき (集英社)

 1位は以前にも紹介した本屋大賞作品です。昨年の本屋大賞(7位)もロングセラー作品となっています。 2位は村上さんの9年ぶりの短編小説集。

 5位は人気ドラマ・半沢直樹シリーズ第3作目。ビッグチャンスをつかんだと思ったところに、訪れたピンチ。今回も知恵と勇気で倍返しなるか?巨大銀行やIT企業を舞台にしたエンタテイメント小説。

 6位は『ダヴィンチ・コード』で活躍したハーヴァード大学宗教象徴学教授・ラングドンを主人公にしたシリーズ新作。舞台は伊・フィレンツェ、キーワードはダンテ「神曲」を描いたボッティチェルリの絵画。一体誰が敵で、誰が味方?追手が迫る中、ラングドン教授は暗号解読なるか。もちろん今回もガイドブックのような街の描写や、美術・歴史の解説なども盛りだくさん。

 10位は現在放映中の同名ドラマの原作。『誰か』『名もなき毒』に続く杉村三郎シリーズ。

*③④⑧以外は所蔵あり。 『村上海賊の娘』は予約待ちが続いています。

 文庫本のベスト5は、①永遠の0/百田尚樹(講談社) ②白ゆき姫殺人事件/湊かなえ(集英社) ③幸福な生活/百田尚樹(祥伝社) ④下町ロケット/池井戸潤(小学館) ⑤ビブリア古書堂の事件手帖5/三上延(KADOKAWA)
 こちらはすべて所蔵しています。
   
                 (集計期間:2013.12.01~2014.5.28 日販調べ )

2014年08月06日

今日は 広島 原爆の日

 昭和20年8月6日、広島に原爆が落とされてから69回目の夏。雨の中、広島市の平和祈念公園で今朝、平和記念式典がひらかれました。
 式典では大勢の参列者を前に、被爆3世にあたる二人の小学生が「語り合いましょう、たくさんの違う考えが平和への大きな力となることを信じて」と『平和の誓い』を読みあげていました。
 現在の日本は平和です。けれど世界のいくつかの国では、こうしている今も争い事がおこっています。平和の大切さをはやく世界中の人がわかってくれればいいのに。『平和の誓い』は広島市のホームページで全文読むことが出来ます。
 
 当時の広島でごく普通に暮らしていた若い女性が主人公の作品を紹介します。

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 父と暮せば/井上ひさし (新潮社)

 父・竹造と娘・美津江の二人の会話で綴られた戯曲。広島に原爆が落とされてから3回目の夏を迎える、7月最後の火曜日から金曜日までの4日間の物語です。

 大切な人たちを原爆で失った美津江は、一人だけ生き残ってしまったことで「うしろめとうて申し訳ない病」を患っています。自分だけが生き残って申し訳ない、幸せになったりしてはますます申し訳ない。そう思っていたのに、ある時ふっと恋におちてしまう美津江。娘の様子を見かねた竹造が「恋の応援団長」として現れ、美津江の心を再生させていきます。

 『むずかしいことをやさしく、やしいことをふかく、ふかいことをおもしろく、おもしろいことをまじめに、まじめなことをゆかいに、ゆかいなことをいっそうゆかいに』

 4年前に亡くなった井上さんが生前に繰り返していた言葉。その言葉のすべてがつまっている100ページほどの短い作品です。ぜひ、手に取ってほしいです。

2014年08月04日

人生80年

 先日のニュースによると、日本人男性の平均寿命が初めて80歳を越え、80.21歳(2013年)になったそうです。女性は過去最高86.61歳、こちらは2年連続世界一です。男性の方は、香港、アイスランド、スイスに続き世界第4位。
 平均寿命というのは、厚生省が毎年1回、各年齢の人が平均してあと何年生きられるかを表す「平均余命」の見込みを計算、そのうち0歳の平均余命を平均寿命として発表します。

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 「寿命」のしくみに関して、生物学的な視点から解説した1冊。
寿命はどこまで延ばせるか?/池田清彦 (PHP研究所)
 細胞分裂を繰り返し誕生する私達、高等生物の体の中には、必要ならば分裂できる細胞と分裂が不可能な細胞の両方を持ち合わせています。その細胞の限界が120年。それがヒトの寿命というわけ。だから、どんなに頑張っても医学が進歩しても人間はそれ以上は生きられない。では、遺伝子組み換えやクローン技術によって、ヒトの寿命を延ばすことが出来るのか?
 ちなみに、分裂できるの細胞だけで作られるヒトデやイソギンチャクはとても長生きで、非分裂性の細胞だけで作られている昆虫はリニューアルすることが出来ないので短命になる。

 池田さんは、もし平均寿命が20歳上がって不老社会になったらと想像します(「ガリヴァ―旅行記」に出てくる不老の人々『ストラルソブルグ』のごとく) 
 戦後間もない頃の日本人の平均寿命はだいたい、男性:50歳、女性:54歳でしたから、70年足らずのうちに30歳ものびました。今後も医療技術の進展により平均寿命はまだ延びるだろう、でも現行の老人医療を見る限りQOL(quality of life:充実した豊かな人生)を保つ技術より、延命技術の方が早く進み社会的な負担が増える一方ではないか?と池田さんは案じています。

 おまけに、元気なおばあちゃんが主人公のエッセイ。
モモヨ、まだ九十歳/群ようこ(筑摩書房)
 著者の群さんのおばあちゃん・モモヨさんは1900年生まれ御年90歳(執筆当時) ディズニーランドに行きたい。パンダが見たい。6時間の新幹線の旅をものともせず、一人で東京にいる群さんのところに遊びに来た時の珍道中や、子ども時代、女学生時代など好奇心旺盛でおしゃれなモモヨさんの物語。