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【One Day College①】講座レポート「犯罪統計が作る“神話”」

2026/07/16

1 Day College

講座レポート:「犯罪統計が作る“神話”」(大阪公立大学 工藤宏司先生)

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社会学という学問の面白さを鮮やかに感じさせてくれたのが、大阪公立大学・工藤宏司先生による「犯罪統計が作る『神話』~数字が語る『もうひとつの事実』」です。

講座はまず、1950年代のアメリカで「犯罪学」という学問が向き合った大きな問い――「人はなぜ犯罪を犯すのか?」――から始まります。

当時のアメリカ社会では、白人に比べて黒人の犯罪率が高いという統計が問題視され、生物学や心理学、あるいは「社会的に望む目標と、それを達成する手段の格差が犯罪への動機になる」とする緊張理論など、さまざまな説明が試みられてきました。

ここで工藤先生が紹介したのが、「逸脱のラベリング論」という視点です。

これらの理論はいずれも「黒人の犯罪率が高い」という統計データそのものを前提にしていますが、ラベリング論はまさにその前提を疑います。

ある行為が「犯罪」として記録されるまでには、通報、出動、事件性の判定、検挙、起訴、裁判といった、人による判断のプロセスが幾重にも存在します。つまり、「犯罪率の高さ」に見えるものが、実は「通報されやすさ」や「検挙されやすさ」の高さを映し出しているだけかもしれない、という驚きの視点です。

そして講座の結びで語られたのが、心理学と社会学という学問の違いです。

心理学が「行為者」個人の内面に迫る学問だとすれば、社会学は、その行為に対して周囲がどう「反応」するかという相互作用にも目を向ける学問である、と。「犯罪を“犯罪者”の問題としてのみ考えるのでは、実際の半分しか理解したことにならないかもしれない」――このメッセージは、統計というものを鵜呑みにせず、その数字がどのように「作られた」のかを問い直す姿勢の大切さを、生徒たちに強く印象づけたのではないでしょうか。

「数字」というだけで疑いようのない事実に見えてしまうものを、一歩引いて捉え直す。まさに社会学ならではの視点に触れ、多くの生徒が普段のニュースの見方が変わるような感覚を味わったことと思います。

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