校長通信
こんな本読んだ 第53号
2023/09/25
前に「こんな本読んだ」で紹介しましたら保護者の方から「読んでみました」とお声をいただきました。この夏以降、子どもたちの育ちや学びについて、講演や入試説明会で話すことがあったので、夏は子育て系の本を多く手に取っていました。今の中高生を見ていると、幼児期や小学校での育ち学びはとても重要で、情報過多の部分で悩まれている保護者も多いように感じます。
自身の読書については、いろいろなものを同時並行で読んでもいますが、本のジャンルや内容によって購入方法が違っています。ハードカバーのものは、中身を見る前にネットが買っていることが多いです。最近は長く本屋にいることもできなくなりましたが、大阪や神戸の会合の前に時間つぶし的に本屋で題名と目次・中身を見て、衝動的に買ってしまうのは、様々なジャンルの新書が多いです。
書店では目立つところに置いているせいか、話題になっている本も多いです。説明会などで紹介したものと他から薦められた3冊を紹介いたします。
『高学歴親という病』成田奈緒子著(講談社+α新書)
上の写真には山中教授がいますが書いているわけではありません。著者と神戸大学医学部で同級だったということで推薦されています。前作は共著だったようです。医学博士で大学教授、子育て支援業「子育て科学アクシス」の代表でもあります。「子育ては心配を信頼に変える旅」「リベンジ型の子育て」「子どもには成功談よりも失敗談を」と納得のできる言葉が数々出てきました。
『小児科医のぼくが伝えたい最高の子育て』髙橋孝雄著(マガジンハウス新書)
これも著者はお医者さんで、慶應義塾大学医学部の小児科教授です。病気や困難を抱えている子どもたちやおかあさんだけでなく ご自身の生育、経験、子育てにも触れられています。
「生まれてきてくれたわが子の底力を信じて、成長していく姿を楽しみに見守ること。たったそれだけでいいのです。とはいえ、なにを根拠に信じればいいのか。その答えを見つけていただくために、ぼくはこの本を書くことにしました。」(まえがきより)
「共感力」「意思決定力」「自己肯定感」の3つが幸せに満ちびくと書かれています。これまた本校でも重視しているところです。
『10代の脳とうまくつきあう 非認知能力の大事な役割』森口佑介著(ちくまプリマー新書)
著者は、発達心理学、発達認知神経科学が専門の京都大学大学院文学研究科の准教授です。どんどん解明が進んでいる分野だと思います。10代の身体と心の特徴として、自分のことを考える(アイデンティティの形成時期)、衝動的になりやすい、他者に対して強く反応しやすいの3つをあげています。2学期始業式の講話で紹介しました。
将来幸せな人生を送るために役立つ能力である「非認知能力」の3つの力を示し、10代の皆さんが抱える悩み(疑問)に答える形で、解説しています。「勉強は粘り強くできないけど、部活なら粘り強くできるのはなぜですか?」「自己効力感はスポーツの成績とも関係がありますか?」「友達がめんどくさくなるときがある。どうしたらいいですか?」などです。この本は中高生に手に取ってもらえればと思います。専門用語を排してわかりやすく書かれていますが、正直、わかった!となるのか不安です。しかし、非認知能力のことを考えることができ、進路、大学での研究分野にも参考になるのでは。