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常務理事便り
2023年11月06日
Vol 33 「勢い」 とは
~雲雀丘学園常務理事 成地 勉~
昨日、団体戦で大学剣道の日本一を決める全日本学生剣道優勝大会が大阪で開催されました。並みいる強豪を退け、30年ぶりに復活優勝を遂げたのは法政大学でした。上位四校はすべて層の厚い関東勢で占められましたが、勝ち残った4校の中では大本命は武道を学べる学科を要する筑波大学、日本体育大学でした。法政大学はダークホースでしたが、この日の勢いは止められず、本命筆頭の筑波大学を僅差で破り、自力に勝ると思われた日体大には6対1の圧勝劇を演じました。
もちろん、法政大学も優れた選手が多く、関東でも名門の一角を占めています。しかし、今回次々と優勝候補を打ち破ったのにはそれなりに理由があります。
まずは自分たちのやり方、進め方を焦らずに実行できたことです。力があるチームや優勝候補と目されているチームは思うような展開にならないと、こんなはずではないと強引に攻めたり、焦って攻めたりして、気持ちが先走るばかりでかえって、良い機会に良い打突をすることができなくなってしまいます。そうした強引さや焦りを誘いだし、空回りする気持ちと動きを見逃さずに一撃で仕留めることができたのでした。特に、決勝戦では有利と思われた日体大が思ったような展開にならないことから、強引に出ようとするところを逃さずにとらえた技が冴えわたりました。その結果、6:1という実力差以上の内容での圧勝となったのです。
次に勢いです。団体戦ですので一人の粘り、一人の活躍が次々に伝播します。これは良いほうに伝播すれば、「私もやれる」、「私ものっていける」とチームがポジティブになり、悪いほうに伝播すると「まずい、何とかしなければ」という焦りや「迂闊に打てない」という慎重さが勝って、ネガティブになります。上下の差は試合が進めば進むほど、どんどんと広がっていくわけです。優勝候補の筆頭の筑波大学戦は全員が粘りに粘った勝利でした。「俺も粘っていこう、粘れる!」です。決勝戦は筑波大に勝って「やれるぞ」というポジティブパターンの法政大がちょっとした試合展開の悪さで焦りが前面に出て、それが伝播してネガティブパターンに陥った日体大との差が顕著に出てしまったように思えました。
「勢い」というものは時に神懸かっており中々、止めることはできません。それゆえ「勢い」は大切です。学校などの運営においても同じでしょう。ポジティブパターンの勢いを生み出し、浸透させていくことも我々の仕事です。