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常務理事便り
2023年12月19日
Vol 39 金沢にて
~雲雀丘学園常務理事 成地 勉~
先週末、学生剣道の試合のために金沢に行ってきました。加賀百万石の地、北陸における有数の文化都市、京都の雅、江戸の粋を融合させた街等々、様々に表現されますが、豊かな歴史を感じさせる街です。学生時代に何回か先輩を訪ねてきたことがありましたが、それはもう45年も前のことですので、駅や駅前の街並みは様変わりし、面影のかけらもありませんでした。ただ、天候は冬の北陸地方特有のどんよりとした雲に覆われ、時折薄日が差す気候で昔と変わらず、この地に冬の到来を告げていました。
今回は試合の視察のため、兼六園などの名所は訪れることができませんでしたが、海外から参加された外国の方々のための文化ツアーに参加しました。金沢文化スポーツコミッションのサポートにより、外国の方々に金沢の文化を知っていただき、金沢のブランド価値の向上につなげようという取り組みです。今回の大会にはUSA、カナダ、インドネシア、香港、韓国の5か国、約20名の方が参加しました。有名な妙立寺(忍者寺)見学、金沢の伝統産業の金箔を使った箸作り体験等をやっていただきました。英語をベースに何とか意思疎通ができましたが、もう少し英語が話せたら中味の濃い文化交流もできたであろうにと思いました。外国人の皆さんは初めて見るもの、体験するものばかりですから、それぞれに大変、楽しまれていたようです。
こうした国際交流をしていく中で少し考えることがありました。世界はグローバル化の一途をたどり、グローバルスタンダードという言葉が価値観の軸になり、英語が当たり前、欧米的な個人の権利尊重が標準的な考え方となってきていますが、本当にこうした価値観をそのまま受け入れてしまってよいのでしょうか。日本的なもの考え方や価値観で優れたものはたくさんあります。例えば、「和をもって貴しとなす」に代表される、和の文化、別の言い方をすれば、個人の権利を一定程度制御しつつ、妥協的な最善を求める考え方は国家国民が分断されつつある世界の中で大きな意味を持ってくるのではないかと思われます。また、2004年ノーベル平和賞を受賞されたワンガリ・マータイさんが使い世界共通語となっている「MOTTAINAI」という言葉に代表される「ものを大切にする文化」は世界がやろうとするSDGsそのものです。しかし、この言葉の発祥の地である日本ではこの言葉の精神がどれほど生活の場で生きているでしょうか。グローバル化と日本の伝統的な考え方や独自性はどこかで融合できるはずです。グローバルスタンダードがすべて善なのか、という目線が我々教育に携わる者には求められています。