学園ブログ
- ホーム
- 常務理事便り
常務理事便り
2023年12月25日
Vol 41 「MOTTAINAI」について
~雲雀丘学園常務理事 成地 勉~
先週末ですべての校種において、一部を除き、保育や授業・補講は終了し、今週の学園はがらんとした長期休業モードに入りました。学園のそこかしこでは長期休業中にしかできない電気工事や建物の補修工事などが朝から始まっています。
前々回のブログで日本人が持つ伝統的な考え方や、からだにしみついた道徳観の大事さを見直すべきと書きました。特に「いただきます」「もったいない」といった言葉に秘められた私たちの考え方は極めて重要ではないかと述べました。
小学校では先週、この「もったいない」を実行する取り組みが行われました。リユースフェスタと題して、子どもたちの制服、セーター、体操服、靴など、子どもたちが使用したもので、まだ十分に使えるものを安価に在校生保護者に提供する取り組みです。PTAの役員さんが中心となって、もう何十年も続いている取り組みです。兄弟関係が多い本校の児童はこうした「おさがり」も立派な商品同様に活用してくれています。保護者の皆さんもお子様の成長により、着られなくなった衣類や履けなくなった靴下や靴を捨ててしまうのではなく、後に必要とする児童のためにとっておいてくださり、提供してくれています。たくさんのリユースの品々が集まり、たくさんの品々が再活用されます。ここで得た収益は様々な形で学校に還元していただきます。
「MOTTAINAI」は国際語になり、SGDsのキーワードの一つになっています。本来の意味は仏教のいう「勿体」「物体」に由来するとのことです。「勿体」とはものの本質、本体、あるべき姿を意味する仏教用語とのことです。「無い」で「勿体」を否定するわけですので、ものに本体など無いという「空」の思想にもつながっているとのことです。転じて、この世に独立して存在しているのものなど無い、すべてはつながっており、それによりすべては生かされていると思念し、そのことに対する感謝の気持ちを表すようになったようです。「MOTTAINAI」はどちらかというとリユースや資源再活用等、環境保護を促す象徴的な言葉と思われがちですが、この言葉を広めたマータイ氏は他国にはない「ものを尊敬し感謝する精神」に感動したともおっしゃっています。「もったいない」の本質は我々を生かしてくれている多くのものへの懺悔と感謝の念なのです。ですから「もったいない」から大切に使おう、ものにも命が宿っているか如くに扱い、大切にしよう、となるわけです。我々大人には日本のこの豊かな精神を子どもたちに伝えていく責任があります。
まもなく令和5年も終わろうとしています。新年は甲辰(きのえたつ)の年となります。学園にかかわる皆様に幸多き年となることをお祈り申し上げます。