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常務理事便り
2024年01月09日
Vol 42 あけましておめでとうございます。
あけましておめでとうございます。
甲辰(きのえたつ)という年は十干十二支の意味合いからすれば、成長や伸長を意味する希望の持てるはずの年ですが、年頭より能登地方を襲った大地震、また、日航機の衝突炎上事故という、めったに起こらない災難が重なって起こりました。被害にあわれた方に心よりお見舞いを申しあげますとともに残念ながらお亡くなりになられた方に謹んで哀悼の意を表します。
まさに出鼻をくじかれ、前途に不安や混迷を予想させる年の幕開けとなりました。ロシア・ウクライナ戦争やイスラエルとパレスチナの対立などを含めて、これから先の未来への不安が募る一方ですが、不安がるだけでは解決にはなりません。何が起こってもおかしくない、災いや不幸は必ず起こるものとして、そうなったときの準備やそうならいような準備や手立てをしっかりと実行する一年にせよ、との天の声なのかもしれません。心の中の兜の緒をしっかりと締めて臨まねばならない一年になりそうです。
我々が携わっている教育界に限っても将来に大きな影響を及ぼす問題や課題が目白押しです。一つはチャットGPTに代表される生成AIに対して我々はどのように対応していくのかということです。すでにご存じのように知識という点において生成AIはすでに人を超えています。生身の人間では不可能な数量の文献や資料をインプットされています。医師の診断や弁護士の論述を超えるものがすでに出てきているとの報告もあると聞きます。こんなことが当たり前になる時代が数年先にはやってきます。知的職業といわれる医師や弁護士やコンサル業などでさえ、AIにとって変わられてしまう可能性があるのです。このような時代に子どもたちは何を身につければよいのか、そんな時代でもしっかりと生きていくためには何が必要なのか?こんなことを急ぎながら、じっくりと考える年になりそうです。
もう一つは最近、顕著になってきた不登校に関する問題です。この問題が難しいのは不登校となってしまった真の原因がなかなかつかみきれない、漠とした緊張や不安から教室へ入れない生徒、児童が増えています。我々がイメージする「学校」というシステムそのものが制度疲労を起こしているのかもしれません。「学校」というところは何をするところなのか、何を学ぶべきところなのかということを根源から問い直し、再構築する必要があるのかもしれません。東京大学を頂点とした現在の教育制度やその仕組みを一概には否定できませんが、「進学、偏差値、受験」といった言葉から離れた別の道程に探すべきところはあるのではないかと思えてなりません。また、そうした道程も正当に評価される社会でなければなりません。しかし、この課題は国家としての大きな課題です。子どもたちと直接接する我々は今も生み出されている個々の不登校という問題に対してどのように対応し、子どもたちをサポートすることができるか、具体的な方策を真剣に考えていかねばなりません。
少し暗い年頭の挨拶となってしまいましたが、夢や希望を持ち続けることはAIにはできないこと、と何かの本で読んだことがあります。どんな時代になろうとも、子どもたちに大きな夢や希望を与え続けられる学校でありたいと思います。