学園ブログ

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常務理事便り

2024年06月13日

Vol 12 久しぶりの演劇鑑賞

~雲雀丘学園常務理事 成地 勉~

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 先日、本校の中高国語科が主導し、中学2年生、3年生を対象とした演劇鑑賞会に同行しました。ミュージカルではなく、演劇を鑑賞するのは15年ぶりくらいです。北海道で倉本總氏が率いていた富良野塾の舞台を観て以来です。

 場所は尼崎のピッコロシアターです。演目は「あしあとのおと、ものがたり」、柳田國男の「遠野物語」からヒントを得て、脚本がつくられたそうです。

 生と死の境、此岸と彼岸を意識させる演出で、死の世界があることを前提に作られた神秘的な、あるいは少し怖気づくような伝承がうまく伝えられていました。古来、日本人には死が生に隣接し、彼岸にいる亡き人がいつもそばにいて、寂しくなったら此岸に渡り、呼びに来るから、その声に乗ってはいけないと言い伝えることで生きることを峻別したのでしょう。

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 亡き人に会いたい、亡くなった父や母に会いたい、と思う心は誰にでも生じます。追慕の情として、懐かしく思い出すことにとどめ、それ以上に亡き人に振り回されてはいけないという教えだと思います。故人との思い出を温かく心のうちにしまい、自らの生を立派に生き抜くというメッセージだと感じました。演劇を鑑賞して、感じる内容は人それぞれです。経験や立場や心境によって同じ演劇でも捉え方は違うはずです。想像力を大いに働かせ、何かを感じることができればよいのです。

 中学2、3年生は何を感じたでしょうか。何かよくわからないが、生と死について、あるいはその境について、モヤっと何かを感じた生徒が多かったのではないかと思います。演劇そのものの面白さを体験したり、想像力を掻き立てる舞台観賞は、やがて生徒たちの成長の糧になるに違いないと思います。300名を超える生徒を引率された先生方、ご苦労様でした。