選特生物 授業の補足 7
ABO式血液型の遺伝について説明したので、凝集反応についても併せて説明しました。
ABO式血液型を決定する遺伝子は第9染色体に存在します。前駆体からH鎖を形成する遺伝子は第19染色体に存在し、それがそのまま修飾されなければO型になります。A遺伝子を持っている場合は、A型転換酵素が発現してH鎖がA鎖に修飾され、B遺伝子を持っている場合は、B型転換酵素が発現してH鎖がB鎖に修飾されます。
A鎖やB鎖,H鎖といった糖鎖は赤血球だけではなく、通常の体細胞にも存在します。この糖鎖が免疫における抗原(=凝集原)となり、抗体形成の原因となります。例えば、A鎖をもたない人はA鎖に対する抗体が血漿中に形成されます。これが授業中に「凝集素α」と説明した物質です。凝集原であるA鎖を持つ赤血球が、凝集素αを含む血漿に入ると、「凝集反応」と呼ばれる抗原抗体反応が起こって、赤血球は互いに接着して塊状になるのです。