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常務理事便り
2018年05月24日
「グローバル時代の教育の課題」
過日、新聞社主催の学校説明会で灘高校の和田校長と東京・開成高校の柳沢校長のお話を聞く機会がありました。ご承知のように両校とも日本を代表する中高一貫の名門校です。テーマは「AI/グローバル時代の子育て」でした。お二人は事前の打ち合わせはなかったのですが、講演に使われた最初のシートは偶然にも30年後の世界がどう変わっていくかの未来像でした。
中庭の池で泳ぐ金魚
「競い合いから助け合いの世界」「内需が落ち込み目は海外に行く」「ICを駆使できるグローバリスト」「インターナショナルではなくグローバル」「多様な人との協働」「自分の考えに対してクリティカルシンキング」「在留外国人、在海外日本人の増加」などこれからの30年を占うキイワードがたくさん出ました。しかしこれらは30年を待たずともすでに始まっていることであり、10年内の変化だと思います。そしてそこにはこれからの日本が背負うべき多くの課題があります。
自分の子供は、人工知能やICT時代に生きていけるのかの心配もあります。しかし、新しい時代を我々の世代こそ心配しているが、今の子供たちはITネイティブと言われ、新しい時代を乗り越える力を持っているとの期待の話も聞かれました。
確かに大人自身がITについていけないので「大変だ、大変だ」と大騒ぎや過度の心配をしていることはあると思います。しかし、当学園のプログラミング教室を見ても小さな園児や児童が喜々としてロボットを組み立て動かしています。楽観はできませんがしっかり準備していくことで新しい時代に備えたいと思います。
むしろ心配なのは、これからの子供たちは、日本や海外で外国人に交じって仕事をしていくわけですが、対抗していくだけの気構えがあるかということです。開成の柳沢校長は日本の子供たちの自己肯定感や自信は欧米や中国、韓国の子供たちと比べて極めて低い。これを正さないと伍して戦うことはできない。そしてその原因は大人たちの自信のなさにある、まさに「子は親の鏡」と話しました。私は親にすべて責任があると思っていません。戦後の教育が大きく影響を及ぼしたと考えています。
子どもたちの人間的な成長には中等教育(中学・高校)が極めて需要との指摘もありました。
大学に行くと専門性が高まり人間教育が相対的に難しいとの声もあるようです。雲雀丘学園も中等教育を預かる学園として「心の教育」をしっかりやっていかねばと思います。また上述の自己肯定感ですが年齢別の変化をみると、13才から29歳まで4歳ごとに数値が出ていますが、20才から24才の期間が一番低くなっています。実はこの年代で大学を出て就職します。自己肯定感の最も低い時に社会にでていくことは誠に残念と言わざるを得ません。
(2018.5.24)