12月8日(日)、環境大使と担当教員とで篠山の辻生産組合青野さんの畑へ畑作体験へ伺いました。毎年この時期は寒さに震える作業となることが多いので、大使達も防寒対策をしっかりとって体験に臨みます。青野さんが、お話をする前に「まず火をおこしましょう」と、たき火をおこしてくださいました。大きな枝に火を移らせるまで大使達も小枝や草を集めて頑張りました。これで、暖かな火の近くでしっかり作業ができます!早速たき火で暖まりながら青野さんのお話を聞きました。
篠山の黒豆の話
今の時期は、お正月用の黒豆の乾燥作業をしています。収穫した黒豆は立てかけて事前乾燥させ、その後乾燥機に入れ、S~2Lまで粒ごとに仕分けをします。丹波篠山の黒大豆は、大粒で大きく美味しいブランド豆のため、一番大きい2Lのものなら1kgで5~6千円の値がつくそうです。黒豆は、血管補正をしたり、血液をサラサラにするアントシアニンを含むことから、健康効果でも注目されてより人気が上がっているそうで、青野さんたち篠山の農家の皆さんがいかに大切に思っておられるかが大使達にも伝わってきました。
獣害の話
「増える鹿、減る猟師」という新聞特集記事を踏まえながら、篠山の農家の獣害被害についてお話をしていただきました。「猟師が減っている」というのは、「猟師が高齢化している」ということなのだそうで、平均年齢が70歳以上、体力的にも猪を追えない、そしてパートナーの猟犬の教育も十分できないため猟犬が猪をみて逃げてしまう・・などという珍現象も起きているそうです。そもそも、昭和の初めに乱獲によって減った鹿は、保護政策で守られていたそうです。それが、この20年で9倍にも膨らんでしまいました。2013年には獣害による被害は83億円にものぼっています。交通事故にも鹿や猪が絡んでいるものが多くあるそうです。青野さんは、「鹿が保護されていた時代から、今はハンターが絶滅危惧種になっています。」と言っておられました。
温暖化について
米作りは今まで、東北が北限といわれていて、北海道ではとれないというのが常識だったが、温暖化で北海道で米が多くとれるようになった。逆に九州では米が作りにくくなり、現在暖かい場所でも美味しい米が作れるよう品種改良に懸命だという。農業も温暖化やTPP、高齢化など、分岐点にきている。
TPPについて
例えば、アメリカでは日本の20倍の土地で、日本の10分の一の農家が作物を生産している。つまり単価が安いという事。それが入ってくると日本の農家は減る。今でも、日本の食品自給率は49%で、半分以上は自国で作らなくてはいけないという方針とは逆の流れが来ている。
青野さんは今年で79歳、戦争が始まったのは小学校1年生の時だったそうです。お父様は戦争に出て、小学生だった青野さんは「自分が家を守らなければ」と、毎日牛にスキグワをつけて畑を守っていたそうです。戦時中には多くの町の住民が袋をもって買い出しに来ていました。青野さんは、「自国の食べ物は自国で維持しなければ。日本の自給率は低すぎる」とおっしゃっていましたが、もし、温暖化や気候変動で自国民を養うだけの食料しかなくなった時、輸出は維持されないだろう。その時、日本の農家が残っていなければ、戦中のような飢えがやってくる。ということを実感として感じておられるのだと大使達も感じたようです。最後に青野さんは「農家を守るために、農業を法人化したり、株式会社にしたり、小さな土地を集めて総合的に農業を発展させていくことが必要」と力強くおっしゃっていました。
青野さんのお話を聞いて、農家や私たちのくらしが抱える問題や、すべきことなどを深く考えさせられました。こうした背景を聞いてから、作業をすることで、より問題を自分に引き寄せて考えることが出来るかもしれません。さて、作業の開始です。まずは栗の木の整備から。木の周りの土をぐるりと掘って、そこに堆肥と肥料を蒔きました。また、栗の木の枯れている部分を切り、残したい枝を生かすように剪定を行いました。剪定は大使の目にはとても難しく、青野さんにご助言いただきながら、残す枝ぶりを確認して丁寧に切っていきました。昼食をとり、たき火で焼き芋をいただいて休憩してから、今度は黒豆の畑に移動し、黒豆の支柱と支柱を支えるロープの回収をしました。次に使うときにきちんと使いやすく片付けておくことがとても大切ということで、「このロープ、誰がまいたん!?」と言われない様、みんなで丁寧に作業をしました。これで来年は作業がスムーズに進むはずです。「最後まで終えたい」という大使の希望で、時間は少し押しましたが、全ての片づけを終えることが出来ました。大使の皆さん、お疲れ様でした。
青野さんに黒豆とだいこん、椎茸などをいただきました。いつも大使達に優しく丁寧に教えていただき、ありがとうございます。次回も頑張りましょう!
以下、大使感想
・鹿の被害について教えてもらった。実際、作業中に犬が鹿を追い込む鳴き声が聞こえた。
・栗の整備には意外と力がいることが分かった。
・のこぎりの使い方が青野さんのようにうまくできなかった。
・普段できない事が出来て、とても新鮮で楽しかった!次もまた来たい。
・焼き芋を作る時は芋の上に灰をのせると早く温まる!
・芋は焼き芋に限る!
・TPPは新聞上では良いように書いているものもあったが、やはり農家では大変な思いをされていることがよくわかった。
・さつま芋がおいしかった!
・栗の木に肥料をやる時に周りの土を掘る作業は、土が固くてとても掘りにくかった。
・トラックに乗せてもらったのが、とってもたのしかった!
・イノシシが犬に追いかけられていてびっくりした。
・TPPについてのお話が興味深かった。
・篠山は土地がとても大きくて、びっくりした。
・ロープがからまってしまったり、農作業はとても大変だった。でもまたトラックに乗っていきたい。
・農具の後片づけは、次に使うときに使いやすいように工夫して片づけていることがわかった。
・栗の木の肥料を蒔く場所は、葉の茂っている枝の真下(そこに根っこの先がある)と教えてもらった。
・青野さんのご厚意で原木になっている椎茸をいただいた。寒いと思っていたが、意外と暖かく、焼き芋も作ってとてもおいしかったです。
・土を掘っている時にカエルを起こしてしまった。カエルの生命力に驚いた。