図書室での貸し出し冊数は326冊ですから、月末に定期考査があった割には影響が小さかったように思います。昨年同月に55期生が借りた冊数は245冊でしたから、この点だけをみると昨年度よりも本を読むようになったいうことになりそうです。本当にそうでしょうか。
詳細を分析していくと、問題点が2つ浮かび上がってきます。一つは図書室を利用したり、本を借りている生徒が限られているということ,もう一つは借りられている本の傾向に大きな片寄りが見られるということです。たくさん借りているお子さまにとくに顕著です。
前者については、2005年度に文部科学省がおこなった調査でも、中学2年生535名のうち、一ヶ月の間に図書室へ行ったことがない 50.3%,一冊も本を借りていない 75.0%という結果でしたから、1/3の生徒が本を借りて読んでいる学年の状況はそれよりはましではありました。しかし、お子さまたちの中には「図書室へ行ったり,本を借りる生徒はごく一部で特別だ」という意識があるのではないでしょうか。情報の重要性は認識しているようですが、「情報はネットとケイタイの中にしかない」と思っているとしたら、それは誤解だと教えてあげる必要がありそうです。
後者については、図書室の本は日本十進分類法で分類されているのですが、借りている本の内訳ではNDC913(日本文学 小説・物語)と914(日本文学 評論・随筆・小品)がかなりの割合を占めます。著者別にみると、佐藤ケイ24,谷川流16,はやみねかおる14,香月日輪14,Darren Shan 14,令丈ヒロ子12,楠木誠一郎12,さくらももこ12,石崎洋司11と続きます。同じ作者の作品をまとめて読むことは悪いことではありません。問題は「自分の好きな世界にだけ触れて、ほかは拒絶する」姿勢をもっていないかということです。まだ14歳のお子さまたちが視野を狭めることにつながっているとしたらとても心配なことです。A.M.