学園ブログ

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学園自然百景

2022年02月25日

7.「寄らば大樹の陰」(クスノキ➁)

~雲雀丘学園小学校教諭 天井比呂~

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 クスノキは、前回防虫効果があると述べましたが、すべての虫に効くわけではありません。そこには、さまざまな生き物が、住み着いています。

 ひとつは、アオスジアゲハの幼虫の食草になっており、春若い芽を食べて育ちます。なかなか見つけにくく、一度たまごを見たことがあります。他の虫が寄りつかないので安全な場所といえます。

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 鳥の巣もこの木に作ることが多いようです。なにせ大木ですし、たくさんの葉を茂らせていますから、外敵からは見つけにくいでしょう。体育の時間に少し協力してもらって、6年生の子どもに抱きついてもらいました。6年生ですから、背も高く、手も長いのですが、それでも半分ぐらいしか届かないぐらいで、幹の円周が約3m以上あります。環境省の巨木の定義にあたります。



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 鳥はこのクスノキの実を食べ、種を散らせているようです。その跡が今も木に残っているのが面白いのです。





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 クスノキにはもう一つ大切な生き物がいます。それは、葉に住み着いている二種類のダニです。人には害を及ぼしません。不思議なことにこのダニを葉に住まわせているのですから驚きです。まだこれについては研究中だそうです。ただ、実際に葉に害を与えるダニと肉食性のダニが共存していること、落葉する春にはダニが減ること、秋にはダニ室が閉じられることもわかっているらしいのです。クスノキは、春に大量に落葉するのですが、秋にも少し落ちるようで、校務の方や子どもたちも掃除が大変です。しかし、葉を落とすことで、葉を食草としているダニが増えるのを防ぐこともあるようです。また、肉食のダニがいることで、葉を食べるダニの繁殖を抑えるらしいのですが、なかなか謎は深まるばかりです。

 様々な生き物たちが、この大樹で生命を育んでいます。人間もこの木の恩恵を受けています。この頼りがいのあるクスノキのように私たち学園が、大樹となりえるように努力していかなくてはならないことを痛感します。