学園ブログ

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学園自然百景

2022年08月05日

30.「あめいせんそう」

~雲雀丘学園小学校教諭 天井比呂~

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 夏真っ盛りで、異常とも言えそうな暑さが続きます。その暑さに輪をかけているのが、セミの鳴き声。現在この学園辺りで、鳴いているのが、アブラゼミとクマゼミです。

 私が、子どもの頃には、アブラゼミが主流を占めていました。セミ捕りでは、クマゼミを捕るとプレミア扱いでした。ミンミンゼミも超プレミアでした。



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アブラゼミ
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クマゼミ

 ところが、数年前までは、クマゼミがこの辺りでは、主流を占めていたきがします。最近また、アブラゼミが増えてきた気がします。その原因は、研究者によって様々なことが述べられていますが、決定的な原因は、つかめていないようです。地区によってそれはさまざまであり、一概にこれと言うことが言えないようなのです。温暖化や都市化、天敵の鳥による捕食などがそれにあたります。

 アブラゼミは油を熱したときの音が、鳴き声に似ているとか、羽が油紙に似ているなどが言われています。クマゼミは、熊のように大きく黒いことから付いたようです。

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ニイニイゼミ
 この辺りで、最初に鳴き始めたのが、ニイニイゼミでした。木にとまっているときは、本当に見分けにくく、慣れないと分かりません。たまたまデッキにいるところを捕らえることができました。

 「あめいせんそう」の「せん」は、「蝉」の音読みになります。一説によるとクマゼミの鳴き声がセンセンと聞こえることからその読みがついたとか・・・。



 これらの蝉の鳴き声とともに大合唱に加わるのが、(クリックすると音声が再生されます)

カエルたちです。ここには、ヌマガエルシュレーゲルアオガエルが現在生息しています。

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ヌマカエル
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シュレーゲルアオガエルの卵塊 satosato 代表 米本桂子 氏 撮影

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オタマジャクシ
 特にヌマガエルは、非常にたくさんいます。ヌマガエルは里田んぼでよく鳴いています。シュレーゲルアオガエルを私は、実際には見たことはなく、卵塊の状態とオタマジャクシは見ました。今年は、卵塊も見ることはなかったのですが、4年生の観察会では、子どもがオタマジャクシを捕まえたことから存在が明らかになりました。シュレーゲルアオガエルは、兵庫県の準絶滅危惧種、東京都では絶滅一歩手前の最高危険レベル絶滅危惧ⅠA類(CR)に分類されているそうです。貴重な生き物がいるところなのです。

 このカエルたちとセミたちが合唱すると、(クリックすると音声が再生されます)

正に「蛙鳴蝉噪(あめいせんそう)」です。

とはいえ、この鳴き声は、決して役に立たない物ではありません。自分をより主張し、存在をアピールするためのものなのです。

 そして、この中から、ベストカップルを見つける大切な鳴き声なのです。しかも生存をかけて命がけと言っても過言ではないでしょう。