学園ブログ

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学園自然百景

2022年09月09日

34.「月とすっぽん」

~雲雀丘学園小学校教諭 天井比呂~

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 「月とすっぽん」は、大きな違いを表すことわざです。私がちゃんと理解していなかったのですが、水の中のすっぽんが、月を見上げている様子が、月には全く届かぬものとしてこのことわざかなと思っていました。実際は、同じ丸いものでも全く違うものだからだそうです。月はきれいで、すっぽんは醜いたとえになっています

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トチカガミの花
このすっぽんの漢字「鼈」が当てはめられた花がこの写真です。醜い花とはほど遠いですね。正に「月とすっぽん」????









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スイレンとトチカガミの葉
 トチカガミという植物で、「鼈鏡」と書きます。スイレンの葉に似て、丸く切れ目があります。その大きな違いは大きさです。スイレンと比べると小さいのが特徴です。

では、どこからこの名前が付いたのでしょう。それは、葉の形状と艶から来ています。

丸みを帯びて、すっぽんの甲羅ににていることから鼈の字が付き、葉の艶から鏡の字が付いています。鼈の鏡で、トチカガミと名付いたそうです。



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里池のトチカガミ

 葉は、裏を見ると空気嚢があり、浮きにしているようです。

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葉の裏

 日本では、弥生時代には、すでに西日本ですっぽんは食用にされていたと言われています。身近な存在だったのでしょう。

 トチカガミは、準絶滅危惧種に指定されています。このひばりの里においては、池全体に繁殖していて、良い状態と言えます。

 すっぽんに例えられたこの植物は、決して月に劣ることのない美しさを持ち合わせています。