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2024年03月08日
106.「春のうた」
~雲雀丘学園小学校教諭 天井比呂~
草野心平の「春のうた」という詩があります。小学校4年生の光村図書に最初の導入として載っています。冬眠から醒めたカエルがはじめて外へ出たときの様子を描いています。「ケルルンクック」は、彼の独特なカエルの鳴き声の表現です。まだカエルの姿は見当たりませんが、その詩の中に出てくるイヌノフグリという植物があります。ピンク色の小さな花です。外に出てきたときに最初に目にする春の花です。イヌノフグリと言う名前。実が犬の陰囊に似ているからだそうです。その仲間のオオイヌノフグリがあちこちで花をつけています。私が見に行くのが早朝なので、まだ花はつぼんでいます。逆に朝でしか見られない光景かもしれません。この花も小さく青い4枚の花びらを持つとても可愛らしい春告草です。オオイヌノフグリは、どちらかといえばハート型の実です。イヌノフグリよりも花が少し大きく、花びらが青い色をしています。
黄色や白、ピンクなどの色の花が多い季節の中で、青い花びらを慎ましくのぞかせているこの花は、一面に広がると「春ですよ~」と呼びかけているようにも思えます。この花ではないにしろ、もし、こちらの青い花を目にしたとしても、うれしいなと感じたと思います。冬眠から醒めたカエルの気持ちがわかるように思いました。来週は、小学生の卒業式です。春を楽しむカエルのように、彼らが中学の門をくぐったときに、また、小学校・高校の新入生たちが正門をくぐったときに「ほ、うれしいな」と感じてくれることを願っています。