学園ブログ

学園ブログ

学園自然百景

2024年04月08日

110.「幸せと別離」

~雲雀丘学園小学校教諭 天井比呂~

20211228-0.jpg


早く咲くと思っていたサクラは、花冷えや雨などで開花がずれ、入学式でも咲いている可能性が出てきました。

正門の書面に見えるしだれ桜は3月末には花盛りでした。

20240408-1s.jpg
3月30日にほぼ満開状態だった 
シダレザクラ
 そんな中、順調に花を咲かせているのがタンポポです。ロゼット状の葉で冬を越し、黄色い花を咲かせています。タンポポも食用や薬にも利用される重宝な植物です。非常に身近な植物で、光村図書の小学2年生国語の教材で「たんほぽのちえ」があります。そこでは、枯れて綿毛ができた花が天候により開いたりすぼんだりすること、枯れたあとは、軸を倒して種に栄養を送ること、その後軸を伸ばして種が風に当たるようにすることなどかなり詳しく書かれています。2年生にわかりやすくなっているのですが、4、5年生に聞くと、何となく覚えている程度なので、少し残念な感じはします。

タンポポは、キク科で、花びら一枚の花が、いくつも集まっている集合花です。また、1枚に見える花びらは、5枚の花びらがくっついてできています。

20240408-2s.jpg
ひばりの里のタンポポ
 
20240408-3s.jpg
総苞が、そりかえっているセイヨウタンポポ
 
20240408-4s.jpg
しっかり開いたタンポポとすぼん
で綿毛になろうとするタンポポ

 タンポポの花軸を切り取って、両端に切れ込みをいくつかいれると反り返り、水車のようにして遊ぶことができます。茎と言われる部分は非常に短く根と花の軸の間のほんの少ししかありません。根は地中に長く伸び、根を輪切りして水につけると、地上の部分からは茎と葉が、地中の部分からは根が伸びていきます。この茎は乾燥させて砕いてタンポポコーヒーや利尿剤などにも利用されます。

 よく見られるタンポポは、セイヨウタンポポでがくのように見える総苞といわれるものが外に反り返っています。一方、カンサイタンポポやカントウタンポポなどの在来種は、総苞が閉じています。外来種が大変多くなってきているわけです。

一方、その間に当たる交雑種も増えているようで、総苞も半分が反り返り、半分は閉じているそうです。 

 花言葉は幸「幸せ」反対に「別離」という言葉もあります。この違いは、あのタンポポの綿毛が飛ぶことをどう取るかによって違います。「幸せ」のときは、あの綿毛を一度に吹いて飛ばすことができれば幸せが叶うというヨーロッパでの言い伝えから来ています。「別離」は、一度飛んでいった種のついた綿毛は、再び合うことがないというところからついているようです。綿毛を飛ばすことで生活範囲を広げていきます。

 昨年度卒業した園児、児童、生徒たちは、別離を経験しました。中には一生会うこともあるかもしれません。しかし、新たな場所で新たな友人を作り、「幸せ」を得ることもあるでしょう。また、素敵な出会いがあり幸せな家庭を作ることもあるでしょう。雲雀の綿毛が幸せな土地に根づき幸せをつかめることを心より祈ります。