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学園自然百景
2024年06月14日
118.「燈心」
~雲雀丘学園小学校教諭 天井比呂~
イネミズゾウムシの食害に苦慮しているこの頃ですが、モンシロチョウやヌマガエルなどの歓迎する生き物たちも増えてきています。中でも非常に静かに目立たない活動をしている昆虫がいます。同じ仲間の昆虫は、田んぼの上を素早い動きで行ったり来たりしているシオカラトンボやオオシオカラトンボではないトンボがいます。見えるか見えないかぐらいにからだが細く、その体型からイトトンボと名前がついています。
里では、モノサシトンボ、クロイトトンボというイトトンボがみられます。
細くて弱々しい感じがするのですが、肉食で、蚊やハエなどを捕食します。小さな池の上にいると、すぐに池と同化して見えなくなってしまいます。
イトトンボにも種類が多数ありますが、なかなか同定が私には難しいです。この写真のクロイトトンボも一度ゲストティーチャーに確認してから載せました。尾の先が青く、胸の部分も青いのですが、種類が違うのです。一方は、二節が青く、もう一方が一節だけです。前者がクロイトトンボ、後者がモノサシトンボです。メスは、体が黄色みを帯びています。交尾で繋がりながら飛んでいるところをよく見かけました。写真に撮るのもなかなか難しく、ピントが合いません。
俳句にも詠まれるイトトンボです。俳句の中では、燈心(とうしん、とうしみ)蜻蛉という名前でも登場します。イトトンボを昔の灯りの芯に見立てたようです。
細い体の先に青い穏やかな炎が灯っているようにも見えます。忙しい中、この炎を見ながらほっと一息つくような気がしました。