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常務理事便り
2017年09月21日
「先生の企業研修」
日暮れが早くなりました。下校時、正門を通るときに特に感じます。朝、登校時には道端のところどころに曼殊沙華が咲いているのを見ました。田舎育ちの私は田んぼのあぜ道に色鮮やかな曼殊沙華がいっぱいに咲き、稲穂が黄金色に波打っていた風景を思い出します。早いもので今週末には彼岸の中日を迎えます。
今朝の新聞に、夏休みを利用して、民間企業の研修を受ける教員が増えていることの記事が出ていました。教員の民間企業研修は、企業の理念や活動、人材育成などへの理解を深め、学校運営に生かしてもらおうと、経団連が始めたものです。最近では企業のノウハウを教育現場でも活用したい教育委員会も積極的なようで、今年の夏は全国で1000名あまりの教員が研修を受けたと記事では報告されていました。
さて雲雀丘学園では先生方からの要望もあり、また先生方に企業経営の心や営業マインドを持ってもらうことは大切なことであろうとの判断から、今年の夏は独自の企業研修を実施しました。中高等学校の主に新任の先生を対象にサントリーでの研修を3日間行いました。新卒4名、2年目1名、3年目1名、他校からの異動の先生1名の計7名の参加でした。
初日は現場での活動。大手スーパーの店頭で実際に商品の陳列です。売り場のどの位置にどのように並べるかがポイントです。他社ではなく自社(サントリー)の製品を手に取ってもらうには販促ツールも必要です。大量に陳列しますから何時間もかかります。ましてや真夏の暑い時期、大変な作業です。お客様の混雑の中、倉庫から売り場まで商品を運ぶだけでも一苦労です。現場作業のノウハウや知恵のようなものは、流れる汗や疲労とともに会得したようですが、正直のところ「こんなことまでするのか」の気持ちだったようです。
商談にも同席してもらいました。レストランに行ってサントリーのワインを扱ってもらう商談です。商談はうまくいかなかったようですがそれでもストレートに商品をお願いするのではなく、お店がどうすれば繁盛するかを意見交換する中から結果的に商品を売り込んでいく方法は大いに参考になったとのことでした。また話がまとまらなくてもお互い気持ちよく商談を終えられる腕前には感心したそうです。最終的には「人間的な魅力」が必要に思えたそうです。
先生と同じ社会人1年目の営業マンが車で移動の時、「サントリーを自分の手で世界一にする」と夢を語ったそうです。「雲雀丘学園を自分が日本一にする」ということは考えたこともない。しかしこれくらいの気概がないと人を動かすことができないし成長もないと、驚きと同時に納得もしたそうです。
一方今回の研修を受け入れてくれた部署の責任者は「大学を出てすぐに何人もの生徒の前で立派に話されることは我々にはできない」と雲雀丘の先生を大いに評価していただきました。
私が一番印象に残った先生の感想は、「わたくしたちが送り出す生徒が将来、働き苦労する場所を自分の目で見、体験できたことが何よりも得たもの」ということでした。
「先生に実社会を経験してもらい、そこで得たものを日ごろの授業や生徒指導に生かしてもらう」が今回の研修の狙いでした。教育が社会から遊離したものであってはいけないと思います。先生方には自信を持って、研修での「汗と疲労の現場」を生徒に語っていただきたいと思います。(2017.9.21)