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常務理事便り
2018年03月06日
「小さな人間力を積み重ねて」
3月1日に春一番が近畿地方に吹き、学園正門を入ったところの白い梅の木も咲き出しました。ようやく春が訪れたこの日、学園高等学校では第60回の卒業式が挙行され、学園長として私は卒業生に次のような激励の言葉を贈りました。
(挨拶の一部)
さて、ピョンチャン五輪が終わりました。日本選手団は大活躍し、過去最高の13個のメダルを獲得しました。私はハラハラ、ドキドキ、時にはこぶしを振り上げ、涙を流し、感動をいっぱいにしました。
多くのメダルに共通していたものは何でしょうか。それは逆境を乗り越えてのメダルであったということです。特に羽生結弦選手は3か月前の大けがを克服しての、また小平奈緒選手は、前回ソチ五輪の屈辱を跳ね返しての金メダルでした。
「艱難汝を玉にす」という言葉があります。逆境を乗り越えた選手たちには人間的にも立派なものがありました。私が素晴らしいと思ったのはメダルを獲得したときの態度や発言です。喜びや涙の中で、多くの選手はお世話になった同僚や先生、両親など周りの方々への感謝の言葉を一番に挙げました。
小平奈緒選手は、3連覇を逃して涙を流す、韓国のイソンファ選手に歩み寄ってだきかかえ、耳元で「リスペクトしている」とまで語りかけました。素晴らしいではありませんか。「日本人ってすばらしいなあ」と世界の人が感じてくれたと思います。小平選手はこの行為で、もう一つの金メダルを取ったと思います。
今日卒業する皆さんも、ぜひこの行為に学んでほしいと思います。勝っておごらず敗者をいたわる心。周りに感謝する謙虚な心、弱い立場の人には寄り添えるやさしい心、これこそ「人間力」です。そしてこれからの時代に最も大切なものは、「人間力」です。私たちは小平選手と同じような行動はとれませんが、それぞれの置かれた立場や状況の中で、「小さな人間力」を積みあげて行くことはできます。
皆さんは雲雀丘学園という「いい校風」の中で育ってきました。「いい校風」は「人間力」を育てる力があります。雲雀丘学園は「いい校風」のもと、「人間力」ある生徒を育てていきたいと思います。皆さんは卒業しても、さらに研鑽を重ね、人間力ある行動・生き方をしてほしいと思います。そして周りの人からは「雲雀丘学園の卒業生は違う」と思っていただける人間になってほしいと思います。
その第一歩は「挨拶」。挨拶の重要性については、皆さんに何度も何度も言ってまいりました。
学校であれ、社会であれ、コミニュケーションの第一歩は挨拶です。挨拶のできない人が、人の中に入っていけるわけがありません。学園の創立者であり初代理事長の鳥井信治郎は、「親孝行な人は、どんなことでも立派にできる」といいました。
僭越ながら私は「挨拶ができる人は、立派な人間になれる」と申し上げたいと思います。
(2018.3.6)