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学園自然百景
2022年07月01日
25.「月草」
~雲雀丘学園小学校教諭 天井比呂~
「月草之 借有命 在人乎 何知而鹿 後毛将相云」
この詩は、万葉集で詠まれた詩です。「月草の借れる命にある人をいかに知りてか後も逢わむと言う」
私は、万葉集の詩については、ほとんど知識がなく、難しい限りなのですが、その内容は女性の読んだ何とも切ない内容です。
「月草のようにはかない命の私になぜ、後で逢おうというの。」というような内容のようです。
「ひばりの里」のツユクサ
この詩の月草とは、ツユクサのことだそうです。ツユクサは、朝咲くと、アサガオのように昼頃には、枯れてしまいます。その様子を人生のはかなさと重ね合わせて詩に詠んだようです。
6年生では、このツユクサを利用して、気孔の観察をします。かなりはっきりと見えるので毎年利用しています。
ツユクサの葉には、平行に葉脈があるので、イネのように、双葉ではなく、はじめに種から出る葉が一本の単子葉植物にあたります。シバやユリなどと同じです。
ツユクサという名前は、諸説ありますが、ツキクサ(月草)から転じてきたという説や先に述べてように、花が、朝咲いて昼かれるところが、朝露を思わせるからついたとも言われます。わたしは、つい、梅雨の時期に咲くからと思いこんでいました。
このツユクサの花は、ネムノキ同様、独特な形をしているのと、鮮やかな青い花が特徴です。そのため、アオバナとも呼ばれます。花の形から、ボウシグサやそのおしべの黄色い色からホタルグサとも呼ばれるそうです。
花をよく見ると、2枚の鮮やかな青い2枚の花びらと下の奥に見える薄い白い花びらがあります。おしべは6本ありますが、3種類あるそうです。虫を呼び寄せるおしべ、花粉を出すおしべ、虫の離着陸を助けるおしべと効率的にできています。
この花の青色は、色はつくもののすぐに消えてしまうそうです。そういう面のはかなさも万葉集では、詠んでいるようです。いわゆる雑草として取り扱われる植物ですが、人間とのかかわりは、深いものがあるようです。
地球規模でみれば、人間の命は、大変はかないものです。それだけに罪もない、ウクライナの人々が、亡くなられていく話を聞くたびに本当に心が痛みます。
できるだけ早い解決を望むばかりです。