学園ブログ

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学園自然百景

2022年10月07日

37.「あなたの役に立ちたい」

~雲雀丘学園小学校教諭 天井比呂~

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 今年の夏は、若鮎を食べる機会がありませんでした。骨まで食べられる柔らかさが、なんとも言えません。その鮎をいただくときにつける、緑色の調味料「蓼酢」をご存知でしょうか?「たで食う虫も好き好き」といわれるタデが使われます。そこに利用されるのは、ヤナギタデという種類の雑草です。葉に刺激的な辛みがあり、虫も食べないと言われています。この葉をすりつぶして米粒を混ぜ、酢を混ぜて作った物が蓼酢になります。虫も食べないものを人が食するのですから面白い物です。
 そのヤナギタデに似ているのが、この植物です。

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イヌタデの群生
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イヌタデの葉の拡大

 イヌタデのイヌは、否(いな)から来ているそうで、タデではないということらしいです。とはいえ、種類としては、れっきとしたタデの仲間になります。葉には、ちゃんとタデの特徴である黒い模様が付いています。
 では、なぜイヌなのでしょう。葉は、ヤナギタデに似ているのですが、葉には、辛みがありません。つまり薬味などに役に立たないということから、イヌが付いたと言われています。
 しかしながら、人間との関わりは、むかしからあり、その特徴的な花が、利用されていました。利用されていたのは、別名のアカマンマからわかるように、ままごとに利用されていました。
 また、「赤のまんま」として、俳句の初秋の季語としても使われています。
 この花は、花びらがなく、「がく」の先がピンク色になっています。その中で黒い種が実ります。この部分は、軸からぽろぽろと取れるため、赤飯に見立ててままごとに使われたようです。
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花の拡大
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中からのぞく種

 この花言葉は、食用に使われなかったことから付いたようです。
 私たちは、人の役に立ちたい、立ってほしいとう思いがあるからこそ、はりのある暮らしがあるのではないかと思う今日この頃です。