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学園自然百景
2023年04月28日
64.「真実の愛・小さな親切」
~雲雀丘学園小学校教諭 天井比呂~
この2枚の植物の写真を比べると、とてもよく似ていますね。
子どもたちを観察に連れて行った時、葉をもんで匂いを嗅いでもらいます。例えば、クスノキやドクダミなどです。においは、人によって感じ方が違うのですが、独特の匂いは感じ取ってくれます。
昨年、卒業生の若い先生にもその独特な匂いを感じてもらおうと、ある花の葉をもんでかいでもらったときのことです。
私が期待していた反応とは違い、特に特別な匂いはしないとの返答がありました。当人は、気を遣ってか、鼻がつまっているからと言ってくれましたが、自分も嗅いでみると、確かに自分の期待していた匂いはしませんでした。はじめは自分も匂いの感覚がおかしいのかと思っていたのですが、そういえば、葉の形も少し違うように思ってきました。
小学校花壇のキュウリグサの花
ひばりの里のハナイバナの花
そこで、よく観察すると、2枚の、写真の植物の種類が違うことがわかりました。とても小さな花ですが、花びらが青く、中心が黄色いほうが、私が若い先生に知ってもらいたかったキュウリグサです。名前の通り、葉を揉むとキュウリの匂いがします。花が茎の先に咲き、どんどんその茎をのばしていきます。
花びらがキュウリグサに比べて白っぽく、中心も白いのがハナイバナです。「葉内花」と書くようにキュウリグサとは違い、葉と葉の間から花を咲かせます。
花が似ているのは、同じムラサキ科の花でワスレナグサと同じ種類にあたるからです。
キュウリグサは、そこからワスレナグサと同じ花言葉「真実の愛」がついています。恋人同士で川に遊びに行ったとき、その男性が足を滑らせ川に落ち、その際につかんだ花を女性に投げ、自分を忘れないでほしいという思いを込めたという話から、忘れないでという花言葉がついたようです。
一方、ハナイバナは、小さく目立たない花であることから、主役ではなく引き立てる脇役として例えられ、「小さな親切」という花言葉がついたと言われます。
似ている花ではあるものの、観察とは、そのものをいろんな角度からよく見て、比較し、違いや変化を見いだすことが大切なんですね。花言葉をつけた方々は、漠然とみているだけでなく、その花をよく観察した上でつけていることが分かります。
まだまだ気づかないことがたくさんあることを改めて気づかされました。