学園ブログ

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学園自然百景

2024年05月24日

115.「探究心」

~雲雀丘学園小学校教諭 天井比呂~

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 小学校、中学校、高校では、探究活動を重視しています。テーマから自分の課題を持ち、疑問に対して、自ら考え、調べて、行動し、自分たちなりの手段を見つけて問題を解決していくという活動です。その「探究心」の鳥言葉を持つのが、このムクドリです。

 ムクドリというと、都会では、その群れのフン害や鳴き声の騒音などが話題となり、害鳥といわれるようになって久しくありません。大群であらわれるのは、都会が多いようで、郊外ではあまりみられないようです。ビル群があれば、ハヤブサなどの天敵に襲われにくく、雨風をしのぐことができるためではないかといわれています。雲雀丘には大群で現れるのを見たことはありませんでした。自宅の最寄駅では、すごい数が木にとまって鳴いているのを見ますが、姿をまじまじと見た事がありませんでした。

 そんなわたしがついこのあいだ、ひばりの里で遭遇しました。

 遠くから携帯での撮影でしたので、くっきりした写真が撮れませんでしたが、黄色いくちばしとあし、目のあたりが白い特徴はみてとれました。

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目の周りの白い模様、くちばし、
あしのオレンジがわかるでしょうか。
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中央のムクドリが保護色になったように見えます。

 
 

 もともとは、渡り鳥または、漂鳥だったらしく、田畑の虫を食べてくれる益鳥だったといいます。

 それが、最近では留鳥となり、一カ所に巣を作っている場合が多くなったそうです。それが、ビル群であったりするのかもしれません。彼らにとっては、安全な場所なのでしょう。

 椋の実を好んで食べたとか声が大きいことからむくつけき鳥から名前がついたとかいくつかの名前の由来があるようです。

「椋鳥と人に呼ばるる寒さかな」小林一茶

 この句は、都に出てくるときに、ムクドリのように野暮ったいお上りさんと呼ばれることを嘆いた句です。

「椋鳥には千羽に一羽の毒がある」野中兼山

 この句は、田んぼの虫を食べてくれる益鳥だから、食べないようにするための呼びかけだったようです。

 いずれも人の生活に身近な存在だったことが伺われます。

 人間が住処を奪ってしまった結果、彼らは、きっと探究心を持って次の生き延びる方法を考えたのでしょう。探究心は、生きるための大切なものだと考えます。与えられるだけでなく探求する心を持ち続けていかなくてはいけないですね。