年末年始の風景②
全面に天人・獅子・唐草文様などの繊細な浮き彫りを施した宇治平等院の梵鐘。
「音の三井寺」,「銘の神護寺」,「姿形の平等院」と謳われ、神護寺・園城寺(三井寺)の鐘とともに「天下の三名鐘」に数えられている。
いよいよ大晦日となりました。今年の終わりは「除夜の鐘」で締めくくります。
除夜の鐘とは12月31日の深夜0時を挟んで寺院で撞かれる鐘のことです。NHKの「ゆく年くる年」といった番組でも放送されているので、聞いたことはあるでしょう。ちなみに「除夜」は「旧年を除く夜」という意味で大晦日(おおみそか)の夜を指す言葉です。
除夜の鐘は108回撞かれます。この回数にはいろいろな考え方があるようですが、私が昔、ある奈良のお寺の管長さんに聴いたのは次のような内容でした。「人間の体全体のはたらきには、眼・耳・鼻・舌・身・意の六根があり、それぞれに好(気持ちが好い)・悪(気持ちが悪い)・平(どちらでもない)の三種ある。また、人身に入って本来は清らかな心を汚すものには、色・声・香・味・触・法の六塵があり、それぞれに苦(苦しい)・楽(楽しい)・捨(どちらでもない)の三受ある。これで 6×3+6×3=36類。この36類を前世・今世・来世の三世に配当して108となり、人間の煩悩の数を表すのである」と。「煩悩」とは愛着や執着など、自分にとって離しがたい、捨てがたい感情や感覚のことだそうです。108回のうち107回は旧年(12月31日)のうちに、残りの1回を新年(1月1日)に撞くのだとか。
除夜の鐘を聞きながら、ご家族の方たちと今年一年を振り返り、新しい年を迎えてみてはいかがでしょうか。A.M.