2007年05月31日

中学改革について~①コンセプト

 先日の理事会・評議委員会において中学改革についての承認を受け、平成20年の入試に向けて正式に動き出すことになりましたが、この概要についてこれからシリーズでお知らせしていきます。
中学改革のコンセプトは『社会で活躍するリーダーの育成』ですが、これは今回新しく打ち出したものではなく創立時より脈々と受け継がれている精神の体現です。
 本校の創立の精神は
       『孝道を人間の根本義と考え 
       社会のために尽くす精神を最も尊重し
       よりよい社会国家を生み出すべく 
       心を素直にもち 
       すべてに感謝の念を捧げ
       健康な体力とたくましい実践力をもつ
       強い人間を創ることを念願としています』   というものです。
 そして、雲雀丘学園の良さは何かということを尋ねると、誰もが「学園の持っている雰囲気や校風の良さ」をあげられると思いますが、これはどの時代にあっても変わることなく本学園に脈々と受け継がれている大きな特色です。
 初代理事長である鳥井信治郎氏は「親孝行のできる人は必ず立派になれる」と説き、初代学園長の土井信男氏は「たくましい実践力、奉仕の精神、礼儀正しさ」を説いています。また、中・高等学校の校是は、〝高志・自律・努力〟です。
 今、混迷する社会にあって従来以上に骨太のリーダーが求められています。社会で活躍するリーダーになるためには、創立時より本学園に受け継がれている精神をしっかりと修得し、人間力を高めると共にしっかりとした学力の向上をはかっていくことが何よりも大切であると考えています。

2007年05月30日

高校3年生保護者集会の開催

 5月30日(水)、〝2008年度大学入試について〟というテーマで、高校3年生の保護者に対する説明会を行ないました。早いもので高校入学後2年二ヶ月が経過し、センター入試まで8ヶ月、一部の私立大学では夏休み明けから推薦やAO入試が始まります。そのため、いつも以上に保護者の出席も多く入試概況の説明に熱心に耳を傾けておられました。
 冒頭の挨拶で、私は次のような話をしました。
「これからは、どの大学を出たかが重視される『学歴社会』から何をしてきたのかという実績や何ができるのかといった能力が重視される『学習歴社会』になる。また、情報化・グローバル化の進展、少子高齢化の進行、新技術の誕生等により社会は大きく変化し、すべてのものが二極分化する。そして、このような社会で活躍するためには高い専門能力やノウハウに加えて人間力が重要になる。
大学受験は、一人の人間にとって人生における大きな節目になるという積極的な思いで取り組むことが大切である。そのためには、まず上(将来)から物事を見て進路を決める。つまり、将来何をやりたいか、どういう分野に進みたいかということを明確にした上で学部を選び、大学を選ぶこと。また、受験が迫り成績が思うように伸びないと〝もう、○○ヶ月しかない〟という焦りが生じるが〝まだ、○○日もある〟という前向きな気持で、最後まで諦めずに粘り強く取り組むこと。そして、保護者としては〝勉強しなさい。〟また〝好きな道を選びなさい〟と言って突き放すのではなく、将来の進路について一緒に考えてあげると言う姿勢が大切である。」
 目標を掲げ、その達成に向かって努力することによって人間は成長していきます。そして、目標が高ければ高いほど達成した時の感動は大きいものです。大学受験を是非人生の大きな節づくりの機会にして欲しいと思っています。

2007年05月29日

理事会・評議委員会の開催(第2回)

 5月29日(火)、本年第2回目となる雲雀丘学園理事会・評議員会が開催されました。
冒頭鳥井理事長からご挨拶があり、続いて平成18年度の事業報告・決算案と学園創立60周年事業計画についての審議が行なわれ、両案共満場一致で議決承認されました。
 その後、私から「中学改革について」、次の内容の説明を行ないました。
最初に、近畿2府4県においては6年生在籍者の10%が私立中学に進学しているという現状や私立中学受験の大きな理由は、保護者や生徒の校風や伝統に加えて高い学力や進学実績の良い学校に入学したいという思いであること、この中で雲雀丘学園中学の現状は必ずしも生徒や保護者のニーズを満たしていないこと、この状況を踏まえ本年度の高校に続いて来年度(平成20年度)入試より中学にもコース制を導入する等の改革案を説明しました。中学改革のコンセプトは〝社会で活躍するリーダー育成を目指す〟というものであり、その骨子は中学・高校6年間の一貫選抜コース(仮称)と発展コース(仮称)の2つのコースを作り、コース別募集を行なうというものです。
 これから社会が求める人材は、〝グローバルな視野を有し、高い目標に向かって自らの道を切り拓いていく〟まさに骨太のリーダーです。また、資源のない日本が今後国際社会において認められるためには、技術立国としてのより強固な地歩を築き上げていかなければなりませんが、その成否はいかに人材を育てることができるかにかかっています。わが国にとって人材はまさに「人財」です。そして、しっかりとした自分なりの夢や目標を有する人財を育成するためには、社会で活躍している一流の人や本物に触れさせる機会を創り出すことが重要です。
 本校への志望理由の一つにあげられるのは人間教育に代表される校風の良さですが、これに加えて生徒の適性や能力に応じた確かな学力の修得が求められています。更に各校園が連携をはかることにより、幼稚園から小学校、中学・高校を通した雲雀丘学園としての一貫した育成方針が大切であると思っています。
 これから更に多くの人の力を結集して細部の詰めを行なっていきますが、高校改革に次いで是非とも中学改革を実りあるものにしていきたいものです。
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2007年05月28日

中山台幼稚園での講演

本学園は、中学・高等学校・小学校の他に2つの幼稚園がありますが、5月28日(月)、この中の一つである中山台幼稚園の『親子学級』において〝幼稚園生活を円滑に送るために〟というテーマでお話しました。
同園の保育方針は「心身共に明るく健やかで、進んで何事にも取り組み、集団の中で豊かに伸びる子どもを育てる」というもので、とりわけ子育て支援に注力されています。この中身は大きく「幼児教育相談所の開設」「預かり保育」「親子学級」の三つに分かれています。第一の教育相談所は毎週水曜日に開かれていますが、広く在園児以外の地域の方々にも開放しています。第二の預かり保育は土・日・休日・夏休み等の長期休業以外の日に、保育終了後5時まで園児をお預かりするというものです。第三の親子学級は保護者が自由に語り合える場として年間14回にわたり、健康と教養を主たるテーマとして開催されています。
本日の講演の主な内容は、〝子どもさん達は10年後には中・高校生、20年後には社会人になるが、この間に世界や日本が大きく変化していくことになる。このような変化を親としてもしっかりとつかみ、一緒に進路を考えてあげて欲しい。これまで民間企業での勤務を通じて随分多くの人に会い、さまざまな経験をしてきたが、社会で活躍している人には共通点がある。とりわけ高い志を有し、目標達成のためにたゆまぬ努力を継続しており、点数ではかれない能力の修得と凡事徹底をはかっておられる。また、社会では言われたことをやるだけではなく自分から積極的に行動していくことが必要であり、自ら創造し問題を発見していかなければならない。学校において問題行動をとる生徒を見ると、その芽は間違いなく幼児期にある。すべての動物の中で学校があるのは人間だけである。子どもにとって最初の社会である家庭において正しい生活習慣をつけると共に遊びの経験を豊かにして欲しい。〟ということを話しました。
どうか無限の可能性を有する子ども達の意欲の芽を摘むことのないよう、4歳には4歳の、5歳には5歳の時にしかできないことをしっかりと体験させていただきたいと思っています。
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2007年05月27日

大学進学の意義

 本校の生徒はほとんど全員が大学に進学していますが、昨日の慶応義塾大学SFCとの連携講座において阿川教授が質問された「何のために大学に行くのか」という質問に対して、全員が明確に答えられるかどうかは疑問です。これは本校に限ったことではなく、日本の多くの高校生に共通しているように感じます。また、保護者の皆さんの中にも大学進学が最終目標のように考えておられる方が多いようです。昨今、大学への進学相談を受けることが増えてきましたが、生徒も保護者もあまりにも大学のブランドにこだわっているように思えてなりません。大切なのは将来何をやりたいのかということが明確になっており、そのためにはどういう力をつけるのか、その力をつけるためにはどの大学のどの学部を選ぶのかということです。「できれば国公立へ」とか「有名難関私大へ」という思いだけが優先されると、入学後に「こんなはずではなかったのに」ということになりがちです。大学進学することだけが目標で受験勉強している生徒によく見られるのが〝燃えつき症候群〟という現象です。
 大学への進学は最終目的ではなく、将来の夢を実現するための手段です。
今、本校においては生徒達に対して個々の進路実現をはかるべく、指導を始めていますが、必ず将来の夢や目標を確認していくことが大切であると思っています。

2007年05月26日

慶應義塾大学SFС高大連携講座の開催

 5月26日(土)、慶応義塾大学総合政策学部・環境情報学部との本年度第1回高大連携講座を開催しました。この講座は2004年から開設され、今年で4年目となりますが、学部長をはじめ教授が本学園の高校生に直接講義をしていただき、両学部で学ぶ「学問の概要」と「学ぶことの意義」を伝え、学問に対する関心や探究心の高揚をはかることを目指しています。両学部と高大連携公開講座を行なっている学校は全国(附属高校は除く)でも本校のみです。また、両学部は日本で初めてAO入試を導入したことで知られていますが、この講座は受講生の中から両学部が実施している一般AO入試に候補者をエントリーすることになっています。これまで7名の生徒(昨年度は3名)がこれにより両学部に入学しました。SFCは湘南藤沢キャンパスの略称であり、1990年に新しい時代を見据えて総合政策学部と環境情報学部が設置され今日に至っています。
 今回は総合政策学部長代行の阿川尚之教授と同学部の河添健教授にお越しいただき、『両学部の概要・理念と入試について』お話いただきました。冒頭阿川教授からは、生徒達に「何故大学に行くのか」「何故SFCなのか」という質問の後、慶應義塾大学は1858年の創設であるが、卒業生が懐かしく思う一番の大学であることや福沢諭吉先生の『学問のすすめ』の内容等についての紹介がありました。次いで「単に大学に入って勉強し会社に就職するといった消極的な姿勢ではなく、自分なりの夢を実現するという強い思いで進学して欲しい。またその夢が夢物語に終わらないことが大切である。SFCは誕生してまだ20年も経っていないため、この評価はこれから卒業生が社会でどのような活躍をしていくのかにかかっている。つまり皆さんがSFCを創っていくということである。」という話がありました。河添教授からはAO入試における論文や面接に臨む際の心構えについて詳しく説明していただきました。受講した約50名の生徒や保護者は両教授の話に熱心に耳を傾け、講演後も数多くの質問が出されたため、時間は大幅に延長するということになりました。
 この講座はこれから7月までに更に2回開催されますが、自分なりのしっかりとした思いを持って、積極的に受講して欲しいと思っています。
ご多用中にもかかわらず、本連携講座のために遠路お越しいただきました阿川、河添両教授に心より感謝申し上げます。
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2007年05月25日

鯉のぼりの由来

 現在、本校校舎は、中学棟、高校棟、中央棟の三つに分かれており、校長室は生徒達の教室と離れた中央棟の一階に位置しています。そのため通常生徒達が部屋の前を頻繁に往き来することはあまりありませんが、在室時にはドアを開けっ放しにしているため、昼休みや放課後には時々生徒達がやってきます。クラブや授業についての話題が多いのですが、最近は校長通信を読んでいる生徒も徐々に増えてきているようです。ある生徒から先日掲載していた「鯉のぼりの由来」について質問されましたが、「何故鯉が選ばれたのかを考えておいてください」ということを言っておきながら、その後回答していないことに気がつきました。
 中国の後漢書にしたためられている故事によると、黄河上流にある竜門山を切り開いてできた大変な激流≪竜門≫を上りきった鯉は天に昇り、立身出世や商売繁盛、家内安全を司る「龍になる事ができる」と伝えられています。このことから困難ではあるが、そこを突破すれば道が開けていく関門という意味で登竜門という言葉が生まれたのです。よく〝作家への登竜門〟とか〝文壇への登竜門〟といったように使われています。また「竜門」とは、中国の官吏登用試験の事をも指し、この試験に合格した者だけがくぐることを許される門でもあり、これがいわゆる「登竜門」のいわれであるとも言われています。
 古来より日本人に親しまれてきた鯉は、こうしたところから大変に縁起が良い出世魚とされ、端午の節句には男の子の健やかな成長と立身出世を願って鯉のぼりを飾るようになったのです。また、常に緑を保つ縁起の良い樹である松と共にすることで、「大松鯉=大勝利」ともいわれ、万難を排除し、成功をもたらすとされ、日本画の伝統的画題となっています。
 私達は普段何の疑問も感じずに生活していますが、〝なぜ〟という気持を持つことが大切なのではないでしょうか。

2007年05月24日

「大学入試の行方に迫る! AO入試」

 いよいよ今週末の土曜日に慶應義塾大学との連携講座を開催します。この講座は慶応義塾大学の教授の方に本校で講義をしていただき、この講義の受講者中から選ばれた生徒が同大学のAO入試を受験することになっています。
 大学受験生をもつ保護者の方であれば、AO入試については、ご存じの方も多いと思いますが、一般的には、まだよく知られていないのも事実です。
AOとは、Admissions Office(入試事務室)の略で、学力試験では評価することのできない受験生の人物像を、大学側の求める学生像(アドミッション・ポリシー)と照らし合わせて合否を決める入試方法です。入試事務室主導で行われるため、この名称になりました。
アメリカの大学では通常行われている入試方法なのですが、日本では1990年(平成2年)に慶應義塾大学が導入したことで全国的に有名になりました。それが2006年度には、国公立49大学(120学部)を含め、約600大学が導入しています。そして昨年11月、AO入試を含めた推薦入試の定員枠の拡大を、2008年度入試から5割まで認めると国立大学協会が決定しました。推薦の定員が一気に増加するとは、考えにくいのですが、徐々に増加することは間違いありません。しかし、AO入試というと小論文と面接が主体であり、学力が伴っていなくても合格できるといった安易な考え方をする生徒や保護者がいることも否定できません。これでは本来のAO入試の趣旨からは乖離したものになってしまいます。
 学生が入学後に目的を見失ったり、大学生活に失望したりして退学することが社会問題になっている今、人物重視で、学生と大学のミスマッチを防ぐ目的をもつこの入試方法は、大学側だけでなく、受験者にとっても大変有益であると言えるでしょう。これから本校においても推薦入試やAO入試に対して、具体的な対策を立て個別指導をしていきたいと思っています。

2007年05月23日

環境の大切さ

 5月23日(水)、全校朝礼で、狼に育てられた少女の実話を取り上げ、人間が成長するためには、遺伝的な要素よりも環境が非常に大切であるということを話しました。
 1920年、インドのミドナプールのジャングルで狼に育てられた少女2人が偶然に発見されました。推定1歳半の年少の少女はアマラ、推定8歳の年長の少女はカマラと名付けられ、発見者であるシング牧師の孤児院で育てられることになりました。この2人は姉妹ではなく、おそらく乳幼児期に別々に捨てられ、別々に狼に連れてこられ、育てられたと推測されました。この子達の身体は人間でしたが、行動はまさしく「狼」でした。四つ足で走り、地面に置かれた皿から手を使わずに飲み食いし、臭覚が鋭く、死んだ鳥の肉をむさぼり食い、喉が渇くとブーブーと音を出し、夜には遠吠えしました。また、冬の寒い日でも裸は平気で、暗闇を恐れず、暗闇で物を見ることができたそうです。そして、年少のアマラは発見されてから1年足らずで死亡してしまいましたが、年長のカマラは約9年間生き続けました。カマラは成長の過程で少しずつ人間らしさを取り戻しましたが、推定17歳で亡くなるまでに3~4歳の知能までしか発達すことができず、30語ほどしか話すことができませんでした。
 前回の朝礼では、脳にさまざまな刺激を与え続けることにより、脳を鍛え活性化をはかることが大切であるという話をしましたが、いくらノーベル賞を受賞するような優秀な両親から生まれても、この狼に育てられた少女の実話からも解るように、その子どもが育つ環境が悪ければ立派な人には成長しません。
人間は生まれつき人間ではなく、人間として躾けられ、さまざまな学習を積み重ねることにより、人間になっていくのです。このことからも環境、とりわけ乳幼児期の環境が極めて大切です。赤ちゃんは狼に育てられれば狼にでもなり得る、それだけ環境に左右されるということを認識しておかなければならないのではないでしょうか。
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2007年05月22日

本校におけるボランティア活動

 本校の食堂にはジュース等の自動販売機が数台設置されていますが、このうちの1台はチャリティー自販機です。これは、他の自動販売機と同じ価格で飲料を販売する普通のジュース自動販売機ですが、その売り上げの一部がボランティア活動に充てられています。この活動を行なっているのはNPO団体AWPS(Association of World Peace Support)ですが、これは、本校の慶應義塾大学との高大連携講座の第1回入学生である松尾さんが慶應義塾大総合政策学部に在学しながらAWPSの活動に参加し、本校にチャリティー自販機を紹介してくれたことがきっかけで昨年度設置することとなったものです。今日本全国には飲料の自動販売機が250万台あると言われていますが、AWPSでは、飲料を買うだけでフィリピンのストリートチルドレンやストリートチルドレンの保護施設で暮らす子どもたちに学費を支援することができるチャリティー自動販売機を日本各地の教育機関を中心に普及させています。そして、現在、この自動販売機は「愛を知っている自販機」として全国200ヶ所で稼動しています。
 また、本校にはインターアクトクラブがあり、これまで毎年、街頭募金に参加していましたが、今年度は初めての試みとして校内でのあしなが学生募金を行なうことになりました。この募金は、病死や災害、事故、自死などで親を亡くした遺児に対しての奨学基金のための募金活動で、昨今は、世界の遺児に対する心のケアのためのサマーキャンプなども行われるようになってきました。サマーキャンプでは、アメリカとイラクとの戦いのために親を亡くしたイラク人の子どもとアメリカ人の子どもがともにキャンプに参加し、敵国の子同士であるが、互いに友人になろうとするシーンなどが紹介されています。今回の取り組みでは、募金の額もさることながら、あしなが学生募金のことを本校生に知ってほしいという意図もあります。
 ボランティア活動というのは、一人でやるには困難な面があり、通常何かの機会がなければ縁のないものです。しかし、普段、当たり前に過ごしている自分達の生活が、実は恵まれているということに気づかなければなりません。また、この活動を通じて自分の環境と違う社会の中に生きる人の姿を知り、自分自身をみつめる機会となるものです。このような経験を通じて生徒達が今までにない新しい自分を開発するようになって欲しいものです。
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2007年05月21日

伝統の漢字100問テスト

 5月21日(月)、早朝の登校指導に行くといつもの場所に先生や生徒会の生徒の姿が見えません。一瞬、時間を間違えたのかなと思いましたが、すぐに今日は1時限目から漢字テストが実施されるということを思い出しました。
 そのため、登校指導は最後まで生徒指導部長と私の2人で行ないましたが、漢字の本を見たり、自分自身で作ったメモを片手に確認したり、お互いに質問したりしながら、登校してくる生徒が数多くいました。明らかに通常の小テストとは違う生徒達の姿に接し、漢字テストに臨む並々ならぬ意気込みが感じられました。
 本校では、国語科が中心となって、この時期に漢字能力の向上のために全校一斉の漢字100問テストを実施してきていますが、いつから続けているのかを確認したところ、恐らく学校創設以来続いている伝統の取り組みであるという答えが返ってきました。このテストの内容は、各学年に配付されている漢字のテキストから、あらかじめ範囲が提示され、100問100点のテストを実施するというものです。以前は、学期に1度で、年間3回実施していましたが、日本漢字能力検定協会による「漢字検定」が実施されることに伴い、本校でもこれを受検するようになって、学校でのテストは年1回になりました。
しかし、このテストは単に1回受ければ良いということではなくて、各学年で合格点が明示され、不合格者は追試験となります。学年によっては合格するまで、10回以上の追試験が実施されることもあり、生徒達は真面目に取り組まざるを得ない状況です。そして、テスト点は、成績表に記入され保護者にも連絡されることになっています。
 漢字の総数は厳密に数えておよそ5万字だそうです。現在日本では、旧字体を新字体に改め、その中でも日常使う「常用漢字」が一般的な漢字として扱われています。昭和56年に政府が定めた常用漢字は1945字、このうち小学校1年生から6年生までの間に学習すべき学習漢字(教育漢字)は1006字です。
学習指導要領では、中学校3年までに小学校での学習漢字1006字を含む常用漢字1945字のすべてを習得し、中学校を卒業した段階で常用漢字の読み書きができるようにするということが示されています。
近年、いたるところで国語力の低下が叫ばれていますが、これを防ぐにはまず基本的な読み書きの力をつけることが大切です。
今回の漢字100問テストや漢字検定を生徒達が前向きにとらえることにより、国語力の基礎となる漢字をしっかりと覚えて欲しいと思っています。

2007年05月20日

「いしの会」の皆さんと

 5月19日(土)、大阪府の教頭先生の自主研修会で『学校経営について』というテーマで講演しました。この研修会は平成14年に教頭に任命された人達が自主的に勉強していこうという思いで結成され、メンバーは38名です。任命された年の14をもじって「いしの会」と命名されたようですが、教頭としての極めて多忙な職務をこなしながら、結成後5年間も続いているということを聞いて、メンバーの志の高さに感動しました。
 私は学校づくりにあたっては、〝いかに生徒の育成をはかるか〟という視点が不可欠であり、そのためのステップとしては①どのような学校をつくるのかというビジョンづくり②あるべき姿の設定③戦略の構築④中期の視点に立った学校経営計画の策定⑤当該年度学校経営計画の策定⑥具体的な行動プログラムへの落とし込み⑦月間・学期・年度単位のPDCAが大切であることを話しました。講演の後、食事をしながら現在の教育における色々な課題についてディスカッションを行ないました。現在大阪府には170を超える公立高校がありますが、出席メンバーが所属している学校は普通科、専門学科、総合学科、養護学校等さまざまです。それぞれ異なる立場の者が一堂に会して、意見交換している姿を見て素晴らしいと思いました。私も議論の場に加わり大いに勉強させていただきましたが、とりわけ公教育についてのやり取りは出席メンバーの思いが、激しく交錯して興味深いものでした。
 自分自身を高めるためには、自己啓発が基本です。上司や周りから言われて仕方なしにやっているようでは、効果は上がらないと思います。聞くところによると平成15年に教頭に任命された人達の「いちご会」という会もあるようです。教育に携わるすべての人が、自分を磨くという強い思いで取り組んでいくことが大切であると感じました。
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2007年05月19日

10代の子どもが育つ魔法の言葉

 少し前に、ドロシー・ロー・ノルト博士の著書である『子どもが育つ魔法の言葉』を紹介しましたが、この本は世界10ヶ国で愛読され、数百万人が共感するという大ベストセラーになりました。彼女は2000年6月に来日しましたが、当時日本では10代の子どもによるさまざまな事件が起きていました。彼女は〝大人への過渡期にあり難しい年頃の子ども達を親がしっかりと見守ってやらなければならない。その上で親子の絆を大切にしながら、バランスよく手を離すことができれば 子どもは着実に自立していくことができる。〟という思いで、続編として『10代の子どもが育つ魔法の言葉』という本を書きました。この中には「危機から子どもを守る法」「注意するならそれとなく」「信頼される親になるには」「ルールは親子で納得してつくる」「子どものコンプレックスを取り除いてやる言葉」等が記されています。そして、次のような詩が紹介されています。
 こどもの声に耳を澄ましてください。
  プレッシャーをかけすぎると、 子どもは疲れてしまう 
  厳しいルールを押しつければ、 子どもはルールを破る方法を探す
  好き勝手にさせると、 子どもは人の気持ちに鈍感になる
  失敗を繰り返すと、 子どもは自信を失う
  約束を破られると、 子どもは失望を味わう
  否定されると、 子どもは苦しむ
  ひとりの人間として大切にされれば、 子どもは思いやりのある人間になる
  親を信頼できる子どもは、 本当のことを話してくれる
  大らかな家庭に育てば、 子どもは考える力をはぐくむ
  先のことを考えて行動できれば、 自分の行くべき道が見える
  責任感を育てれば、 子どもは自分で考えて行動できるようになる
  親が身体にいい習慣をもっていれば、 子どもも自分の身体を大切にする
  支えてあげれば、 子どもは自分に自信をもつようになる
  表現できる場をもてば、 子どもは本当の自分を出せる
  愛してあげれば、 子どもは、人を愛することを学ぶ
  子どもを信じて見守れば、 子どもはよりよい世界を目指して歩いてゆける
 保護者の皆さん、機会があれば、是非ご一読ください。
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2007年05月18日

視聴覚部会総会・研究大会の開催

 5月18日(金)、本校において『兵庫県高等学校教育研究会視聴覚部会並びに研究大会』が開催され、県下の公立・私立を含めた多くの高等学校から約20名の先生方が出席されました。
 最初に、本校の教員による書道と地理の公開授業があり、参加された先生方に参観していただきました。社会科の授業は『身近な地域の地図』というテーマで、各生徒に自宅から雲雀丘学園までの略図を発表させた後、雲雀丘周辺が時代と共にどう変わってきたかを説明し、更にパソコンのパワーポイントやGIS・Google Earthを使って衛星から見た地形や新しい地図についての理解を深めさせるという内容です。
 また、書道の授業は行書の『座右の銘』を取り上げ、最初に黒板にお手本を掲示した後、OHCを使って一文字ずつ説明し、練習させ自己添削させるというものです。私も両方の授業を見学しましたが、さまざまな機器を駆使することによって工夫を凝らした跡が随所に出ていたように感じました。
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 公開授業の後、開催校の校長として、来校いただいたお礼を述べ本校の歴史や創立の基本の精神を紹介しました。そして、これから情報化やグローバル化が進展する中で、世界に通用するグローバル人材の育成が急務であること、経営資源である情報と時間を有効活用すること、情報の特徴である双方向性、多重使用性(何回使っても劣化しない性質)、簡易検索、部分修正等を生かして是非生徒にとって解りやすい授業を展開すると共に教材作成の効率化をはかって欲しいということを話しました。
 続いて、研究実践発表と講演があり、研究大会は無事終了しましたが、これを機に各校において新しい視聴覚・放送・情報教育等の取り組みが始まることを期待しています。
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2007年05月17日

生物界の共通原理

 今週の総合朝礼では、「頭を良くする」というテーマで話をしましたが、生物界には「使わないものは衰える、使いすぎても衰える、適度に使えば発達する」という共通の原理があります。
まさに人間の脳もこれにあてはまります。人間の脳細胞は生まれた時から140億個ありますが、その時にはまだ眠ったままの状態です。この脳細胞が生後さまざまな刺激を受けながら急速に発達し、脳細胞間に網の目のような神経回路が出来上がっていきます。人間の頭脳が飛躍的に発達する最初の時期は3~5歳の頃です。それからも年々活動する数を増やしていきますが、多くの脳細胞が一度も活動することもなく死滅してしまいますし、いったん活動していたものも長い間使われないと役に立たなくなってきます。脳細胞は歳をとると毎日1万個くらい消滅すると言われていますが、極端に頭が悪くなるかというと、そうではなく思考力や判断力は衰えることはないようです。なぜなら頭が良い、悪いというのは実際に活動している脳細胞の数で決まるからです。
 スポーツ選手は、シーズン・オフになっても一定のトレーニングを欠かしません。その理由は、運動の技術力というのは、その動きに参加する運動神経の数と神経回路の発達具合で決まり、長期間休んでしまうと急速に衰えてしまうからです。脳の神経回路も同じで使うとなめらかに活動し、使わないと錆(さび)ついてしまうのです。
 そして、興味深いことに、十代に第二の頭脳発達のチャンスが巡ってきます。中学・高校では今まで知らなかった新しい知識が続々と登場してきます。これらが脳細胞に大きな刺激を与えることになり、急速に神経回路のネットワークができあがっていきます。不得意なことや嫌いなことから距離をおいている姿勢では脳細胞は活性化しません。頭をよくするためには、常に脳細胞を使うことが大切です。中学・高校時代にしっかりと脳を鍛え将来の基礎をつくって欲しいと思っています。

2007年05月16日

高校2年生保護者集会

 5月16日(水)、各学年のトップを切って高校2年生の保護者集会が開催されました。この学年は
1カ月後の6月17日から北海道に修学旅行に行くことになっています。また、そろそろ大学受験の準備にとりかからなければなりません。このため、今回のテーマは非常に多岐にわたっており、各担任から順次説明させていただきましたが、一方的なお話になって申し訳なく思っています。
 冒頭、私は、保護者の皆さんに次の三つのことを話しました。
一つ目は『社会の状況変化について』ということです。これからはどの大学を出たという学歴よりも何をしてきたのかという実績、何ができるのかという能力が重視されるようになる。また、国や企業や個人などで二極分化が起こり、懸命に努力していかなければ取り残されてしまう。更に急速な情報化やグローバル化の進展に伴い、グローバル人材が必要になる。一方で日本においては労働力の減少と団塊世代の持つノウハウの伝承への対応が不可欠となってくる。
二つ目は『これからの社会で生き抜くには』ということです。そのためには、いずれの時代にも共通していることですが、高い志と自立する気持と努力する習慣が何よりも大切である。また、プラス思考で前向きにチャレンジし、くじけないこと、凡事徹底すること、感謝や思いやりの気持を持つことも必要です。こういった人間力の上に、高い専門能力の習得をはかっていかなければならない。
三つ目は『進路実現に向けて』ということです。大学の進学にあたっては、まず将来どういう分野に進みたいのかを考える。そのためにはどの学部が良いのか、次いでどの大学を受験したいのかを決める。
少なくとも、この夏休みまでに志望校を決めて欲しい。本気になって勉強すればできると過信して、なかなか取りかかれないということでは駄目だ。自分の現実を見つめようとしない態度は、勉強する時期を大幅に遅らせることになる。
 最後に、保護者の皆さんにお願いしたいのは、「〝勉強しなさい。勉強しないと良い大学に行けないよ。〟反対に〝あなたの好きな道を選びなさい。〟という言葉は避けること、そして〝大切な将来の進路について一緒に考えよう。〟という姿勢を示すことである。」ということを話しました。
 これからも学校と保護者が連携して、生徒の育成をはかり、進路の実現をはかっていきたいと考えています。
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2007年05月15日

風紀の向上に取り組む

 本日(5月15日)より、風紀委員の生徒が通学路に立ち爽やかな挨拶・キッチリとした服装を推進する自主的な活動を開始しました。先日、生徒会役員の代表者と会った時に、〝自分達の学校は自分達でつくるという気持が何よりも大切である。人に言われて仕方なしにやるのではなく、自主的に行動して欲しい。生徒会役員として大いにリーダーシップを発揮して思い切って学校全体を動かしていって欲しい。〟ということを話しました。
 これに応えて早速行動に移してくれたことに対して、心より嬉しく思いました。各クラスの風紀委員は毎日交替で、登校時だけではなく、昼食時に食堂を巡回してしっかりと食事の後片付けができているかを点検する、昼休み終了時に生徒達の校庭から教室への迅速な移動を促す等の活動を行なってくれることになっています。
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現在、挨拶や服装、ルール・マナー等については、教職員が常に指導を行なっていますが、十分に徹底できているかどうかは疑問です。また、注意されなければできないということであれば、学校ではある程度のことはできていても、教職員の目が届かない校外では、風紀の乱れに歯止めがかからないということにもなりかねません。生徒達が自らを律すると共にお互いに注意しあうという運動を是非広げていってくれることを願っています。
 今回の生徒達の活動が雲雀丘学園中・高等学校の風紀の向上に繋がるのは間違いありません。これからもこのような生徒による自主活動の輪を広げていきたいと思っています。

2007年05月14日

子は親の鏡

 先日、保護者の方から『子は親の鏡』という詩を送っていただきました。どこかで見たことがあると思って書名を確認すると、PHP研究所から発行されているドロシー・ロー・ノルトとレイチャル・ハリスの共著『子どもが育つ魔法の言葉』の中に紹介されているということが判りました。早速本棚から探し出し読み返してみました。ドロシー・ロー・ノルト博士は40年以上にわたって家族関係についての授業や講演を行ない、家庭教育の子育てコンサルタントの第一人者であり、著書『子どもが育つ魔法の言葉』は世界各国で多くの共感を呼び、特に日本では120万部を超す大ベストセラーになりました。
また、レイチャル・ハリス博士は精神科医、臨床ソーシャルワーカーでノルトの永年の友人です。
 
以下、子は親の鏡という詩を紹介します。
   けなされて育つと、子どもは、人をけなすようになる
  とげとげした家庭で育つと、子どもは、乱暴になる
  不安な気持ちで育てると、子どもも不安になる
  「かわいそうな子だ」と言って育てると、子どもは、みじめな気持ちになる
  子どもを馬鹿にすると、引っ込みじあんな子になる
  親が他人を羨んでばかりいると、子どもも人を羨むようになる
  叱りつけてばかりいると、子どもは「自分は悪い子なんだ」と思ってしまう
  励ましてあげれば、子どもは、自信を持つようになる
  広い心で接すれば、キレる子にはならない
  誉めてあげれば、子どもは、明るい子に育つ
  愛してあげれば、子どもは、人を愛することを学ぶ
  認めてあげれば、子どもは、自分が好きになる
  見つめてあげれば、子どもは、頑張り屋になる
  分かち合うことを教えれば、子どもは、思いやりを学ぶ
  親が正直であれば、子どもは、正直であることの大切さを知る
  子どもに公平であれば、子どもは、正義感のある子に育つ
  やさしく、思いやりを持って育てれば、子どもは、やさしい子に育つ
  守ってあげれば、子どもは、強い子に育つ
  和気あいあいとした家庭で育てば、
  子どもは、この世の中はいいところだと思えるようになる
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 また、ノルト氏は、2000年に来日され、10代の子どもによる多くの事件を目の当たりにし、10代の旅路を乗り切るヒントとなる著書を出されていますので、後日紹介します。

2007年05月13日

300回掲載にあたって

 昨年より掲載を始めた校長通信も今日で300回になりました。
最近、各界の意外な方から〝校長通信を読ませていただいています。学校や教育の実態がよく解るようになってきました。〟と言われることが増えてきました。昨年7月からアクセス数をカウントし始めましたが、徐々に増え続け平均すると一日140件となっています。
 当初は本校の保護者や生徒、またこれから本校への入学を希望されている皆さんに読んでいただきたいという思いで書いてきましたが、直接本校に関係がなくても教育について強い関心を持ち、何とかしなければと考えておられる方が数多くおられるようです。
また、〝是非教育活動の参考にして欲しい〟ということで、「幼児教育」「食育」「人間教育」「学習法」「脳の働き」「環境」「日本の伝統や文化」「新技術」「世界の動き」等に関するさまざまな資料を送っていただくようになってきました。これらの中には役立つものが数多くありますので、今後、適宜皆さんにお伝えしていきたいと考えています。
 昨今、ITの進展に伴い情報がますます重要になってきていますが、情報には双方向性(発信すればするほど反対に集まり、情報量が飛躍的に増大する)と多重性(一つの情報を何度も使える)という特徴があります。
 本校では、ホームページの充実をはかり、きめ細かい学校情報を公開しています。是非皆さんからの積極的なご意見、ご要望をお寄せいただきますようお願いします。

2007年05月12日

体育大会を終えて

 5月12日(土)、澄み切った素晴らしい青空の下、中学・高校合同の体育大会を開催しました。
8時30分丁度に、1200名を超える生徒達が31のクラス別にそれぞれ工夫を凝らして制作した旗を先頭に元気よく行進を開始し、グランド一杯に整列しました。嬉しかったのは、クラス毎に改善がなされ、一昨日の予行時とは見違えるばかりの出来映えになっていたということです。
 開会の挨拶では、〝これまでクラス全員が力を合わせて取り組んできた練習の成果を思う存分発揮すると共に強固なチームワークを築き上げて欲しい。そして、青春の素晴らしい思い出をつくって欲しい〟ということを話しました。力強い選手宣誓に続いて準備体操を行なった後、いよいよ競技が始まりました。
 最初は、まだ初初しさが残る中学一年生全員によるフレッシュマンレースです。その後、高校男女によるスプリンターレースの予選、大玉はこび、大縄跳び、スウェーデンリレー、大玉流し、小玉転がし、1500m走、400mリレー、二人三脚リレー、キャタピラーレース、クラス対抗リレー予選、昼食を挟んで、クラブ対抗リレー、スプリンターレース決勝、綱引き、玉入れ、棒倒し、棒引き、騎馬戦、等それぞれに熱戦が繰り広げられ、最後にクラス対抗リレー決勝が行なわれ大歓声の中で無事に大会の幕を閉じました。
 また、午前の最後には、高校3年生によるエンカレッジメントパフォーマンスが行なわれました。彼らにとっては最後の体育大会になりますが、すべてのクラスがいつ準備したのかと思うほど、衣装や振り付けに創意工夫を凝らしたパフォーマンスを披露しました。中には、担任も一緒になって演技したり、生徒が担任を胴上げするといったクラスもあって、和やかな雰囲気が醸し出されました。高校3年生にとってはきっと思い出に残る体育大会になったことでしょう。
 大会終了にあたって話したことですが、「感動は努力の結晶」という言葉があるように、努力が大きければ大きいほど深い感動が得られるものです。生徒達がこれからの人生においても大いに努力を傾注して感動溢れる充実した人生を送って欲しいと思っています。
 また、この大会を機にクラスとしての団結力やお互いの友情を深めてくれることを願っています。
 最後に、この大会開催にあたっては、実に多くの方々にお世話をいただきました。また、本日は、早朝より多くの保護者の皆さんにお越しいただきました。心より感謝とお礼を申し上げます。
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2007年05月11日

苦労のあとの喜び

 ゴールデンウィークの期間、久しぶりに多くの友人に会いました。中学・高校時代の同級生、大学時代のバレーボール部の仲間、会社時代の先輩や後輩です。まだ、現役でバリバリ仕事をしている人、定年退職して悠々自適の生活を送っている人等さまざまでしたが、本当に懐かしく実に楽しいひと時を過ごすことができました。年月が経過しても会ってみたいと思う人に共通しているのは、ある時期に苦労や困難を共にし、これらを乗り越えて喜びを分かち合ってきた人達です。その中でも中学や高校の同級生は単なる友人というより、同じ家庭で育った兄弟のような特別な思いがあるように感じました。
また、不思議なことに単なる遊び仲間であった人とは会ってみたいという気持があまり湧いてこないようです。よく昔から〝苦楽を共にする〟とか〝同じ釜の飯を食う〟といった表現が使われますが、まさにそのとおりだと思います。
 今日も校長室から外を見ると、生徒達が校庭で懸命に明日の体育大会の行進やリレーの練習をしていました。最近の生徒達の様子を見ていると、本番が近づくにつれてクラスが団結し、一人ひとりが強い絆で結ばれていくようです。恐らく生徒達は何年か後に、お互いに会ってみたいという気持になるのは間違いないでしょう。
 明日は、これまでの努力や苦労の成果を大いに発揮し、喜びを分かち合って欲しいと思っています。

2007年05月10日

体育大会予行

 5月10日(木)、今週末に開催される体育大会に備えて予行を実施しました。生徒達は8時に運動靴に履き替え、体操服姿でグラウンドに集合しました。
そして、8時20分より中学3年~中学1年、次いで高校1年~高校3年の順に、クラス別の入場行進を行ないました。行進のスタイルはそれぞれのクラスの特色が出て興味深く感じましたが、全般的に整然とした印象を受けました。行進後は1200名を超える生徒がグランドに整列することになりましたが、さすがにこれだけの人数の規模になると勇壮そのものです。私は〝予行演習をするという意味は、本番に向けて課題を見つけ出して改良することであり、クラス全員が力を合わせて素晴らしい体育大会にして欲しい。〟という話をしました。その後、全員で準備体操、クラブ対抗リレーの予選、各種競技のリハーサルを行ないましたが、生憎雨が強くなり出したため、やむを得ず中止することにしました。
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 午後からは天候も回復し、学年によっては引き続き校庭で練習する姿が見られました。生徒達の気持も日毎に高まってきているようです。きっと素晴らしい大会になるのではないかと思っています。
体育大会は文化祭と共に学校における大きな行事です。この大会を通じて、生徒達がクラスの絆を強めると共に一人ひとりが大きな感動を味わって欲しいと思っています。
 保護者の皆様におかれましても、ご来場いただき逞しく成長した子どもさんの姿を是非見てあげてください。

2007年05月09日

生徒会役員の皆さんと

 本校の生徒会の組織は会長のもとに副会長、書記、会計が各2名、この他に自治、風紀、美化、厚生、体育、文化の委員が各3名、更にクラス毎に役割毎に12名のホームルーム委員という構成になっており、それぞれ前期と後期に役員改選が行なわれています。
先日、本年度前期の生徒会役員の選挙が行なわれ、新しいメンバーが選出されました。新役員達と一度ゆっくり話し合いたいと思いつつ、なかなか時間の都合がつかず延び延びになっていましたが、やっと主要メンバーと懇談の機会を持つことができました。
 生徒達の口からは〝どのような中学・高校時代を送っていたのか〟〝会社ではどういう仕事をしてきたのか〟〝どうして校長先生になったのか〟〝どうしたらコミュニケーション能力を身につけることができる のか〟といったことから、〝本校では何が問題だと思うか、本校の弱点は何か〟といったことまで実に数多くの質問が出され、和気藹々(わきあいあい)のうちに約1時間にわたる話し合いは終了しました。
私は〝全生徒が人から言われてやるのではなく、自分達の学校は自分達でつくるという思いで自主的に行動して欲しい。今はリーダーが非常に大切である。皆さんは生徒の代表として、こうすれば学校が良くなると思うことに積極的に取り組んで欲しい。そして、〝簡単なこと、あたりまえのことを徹底してやり続けるという「凡事徹底の姿勢」を貫いて欲しい。〟ということを伝え、『溢れる熱誠』という色紙を渡しました。
これから生徒達の自主的な行動によって、学校が大きく変わっていくことを期待しています。
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2007年05月08日

学校組織マネジメント研究会 津田昌宏氏にお会いして

 5月8日(火)、学校組織マネジメント研究会 常務理事の津田昌宏氏が来校され、意見交換させていただきました。同研究会は前、京都教育大学学長の村田隆紀氏が理事長をつとめられるNPO法人ですが、活動の狙いは〝現在学校が直面する複雑多岐にわたる課題解決のためには、従来の「学校運営」という枠組みを越えて、社会の中での価値を追求するという「学校経営」という視点が大切になってくる。このための手法を研究すると共に学校経営にとって必要とされる資質を探り、学校トップのあるべき姿の具体像を描く〟というものです。
 そのため年間を通じて数多くの活動を推進されていますが、その中の一つに京都市教育委員会と連携した「管理職研修」があります。この対象は京都市の高校、中学校、小学校、幼稚園の校園長ですが、マネジメント能力の向上をはかることを目的として、各界から講師を招いて研修を行なっているようです。私の民間時代の元同僚もこの研修で何回か講演しており、京都市の教育改革についての有益な情報を伝えてくれています。
現在、日本各地で教育改革が行なわれており、公教育についても各都道府県や市町村の教育委員会を中心に公教育についての数々の改革が推進されていますが、とりわけ京都市の教育委員会においては、西京、堀川、搭南高校における取り組みをはじめ、非常に参考になる内容が数多くあるように思います。
 今回、管理職研修での講演をお引き受けすることにしましたが、反対に多くのことを教えていただく機会にしていきたいと考えています。
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2007年05月07日

連休を終えて

 昨日で大型連休が終わり、今日から学校が始まりました。この期間中、幸い事故やトラブルもなく全生徒が無事であったということを聞き、本当に嬉しく思いました。
いつものように学校に着くと、既に多くの生徒達が登校してきており、大きな声が飛びかっています。昨日から降り続いていた雨もすっかり上がり、校庭には今週末に開催される体育大会の応援や入場行進の練習をしている者、ボール遊びをしている者、友人と談笑している者等さまざまな生徒の元気な姿が見られましたが、この一方でいくつか気になることもありました
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 本日も何人かの先生と朝の登校指導を行ないましたが、見るからに連休疲れという姿の生徒や爽やかな挨拶が返ってこない生徒が多いように感じました。また、校舎内も巡回しましたが、授業に集中できている生徒、眠いのを我慢しながら授業を受けている生徒、注意散漫になっている生徒等色々な情景が散見されました。人間にとって、適度な休養は身体も心もリフレッシュさせるのは間違いありませんが、休み過ぎるとかえって良くない結果を招くようです。スポーツ選手の場合には、よく一日練習を休むと元の調子を取り戻すのに倍の二日がかかると言われていますし、脳も心も刺激を与えないと働きが鈍ってしまうのも事実です。
 私は職員朝礼で先生方に生徒達の小さな変化を見逃さないように、また欠席している生徒をしっかりフォローするようにお願いしました。一般社会においてもよく「五月病」という言葉を聞きますが、連休明けから急にやる気がなくなったり、身体の変調を訴える人が増えるのもこの時期です。
この連休の期間中、通常では味わえない有意義な時間を過ごしてきた生徒も多いと思います。これらの貴重な体験を今後の学校生活の中に大いに生かすと共にすべての生徒が元のペースを取り戻して、充実した毎日を贈ってくれることを願っています。

2007年05月05日

こどもの日の由来

 5月5日は『こどもの日』でゴールデンウィークの最後の祝日になっています。この祝日は1948年に〝こどもの人格を重んじこどもの幸福をはかるとともに母に感謝する日〟ということで定められましたが、もともとは中国の暦法で定められていた五節句の一つです。五節句というのは暦の中で奇数の重なる日を取り出し、邪気を祓うという目的で設けられており、人日(じんじつ・1月7日)、上巳(じょうし・3月3日)、端午(たんご・5月5日)、七夕(たなばた・7月7日)、重陽(ちょうよう・9月9日)です。この中で、1月1日だけは別格ということで1月は7日になっていますが、陽である奇数が重なると陰になるため、五節句が定められたようです。
 端午の節句には強い香気を持つ菖蒲(しょうぶ)や蓬(よもぎ)を軒に吊るしたり、菖蒲湯に入ることで無病息災を祈るという風習があります。また、男の子の健全な成長を祝うという趣旨で五月人形を飾ったり、鯉のぼりを上げますが、これにも歴史があるようです。江戸時代に菖蒲は「尚武」に通じるということで、この日は大名や旗本が将軍に式服で江戸城に参じ、お祝いを申し上げるという風習になっていました。そして、内飾りである鎧(よろい)や兜(かぶと)と外飾りである鯉のぼりを立てて男の子のお祝いをする風習が根付いていったと言われています。内飾りは無事な成長、外飾りは立身出世を願っていますが、何故鯉なのかを考えてみてください。

2007年05月04日

みどりの日と国民の休日

 5月4日は今年から『みどりの日』ということになりましたが、この日とみどりの日の取り扱いについては、これまで多くの変遷があります。みどりの日が最初に制定されたのは、1989年に昭和天皇が崩御されたことによる天皇誕生日からの変更でした。その後4月29日を「昭和の日」として制定しようという動きになりました。そして、2005年に正式決定になりましたが、同時にみどりの日を5月4日に移行させることになり、今年から施行されることになりました。
 一方、5月4日はこれまで『国民の休日』ということになっていましたが、
これは、〝日本は働きすぎであり、もっと休みを増やすべきである〟という海外からの要請に応える形で、1985年に祝日法が改正され、祝日にはさまれた平日を『国民の休日』としたことによって生じたものです。
 今回の改正で、「憲法記念日」「みどりの日」「こどもの日」と祝日が3日続くことになりますし、4月29日は「昭和の日」にあたっています。
また、祝日が日曜日と重なった場合には、その週の月曜日を休みにするという「振替休日」の制度も設けられているため、大型連休になる可能性が非常に高くなるのです。
 なお、2009年になると、「敬老の日」が9月21日(月)、「秋分の日」が23日(水)になるため、新たに22日が国民の休日ということになります。
 いずれにしても、それぞれの祝日の意義をしっかりと確認すると共に、これらのまとまった時間を有効に使い、普段できないことをやるという姿勢が大切だと思っています。

2007年05月03日

生徒会役員の承認式

 5月2日(水)、全校朝礼と前期生徒会役員の承認式を行ない、次のような話をしました。
『イギリスで生活している友人から、〝先日の女性英語教師の殺人事件の後、「日本という国は」とか「日本人は」という悪い風評のため、非常に肩身の狭い思いをしている〟ということを聞きました。実に残念なことですが、一人の恥ずべき行為によって、あたかも日本人全員がそういう人間であると思われがちです。新学期になって一ヶ月が経ちましたが、外部の方から皆さんの善行に対して、さすがは雲雀丘学園ですね、とお褒めの言葉をいただくこともあれば、逆にお叱りの言葉をいただくこともあります。皆さん一人ひとりが雲雀丘学園の生徒であるという自覚と誇りを持ち、常に雲雀丘学園を代表しているということを常に胸に刻み込んで行動してください。爽やかな挨拶やきっちりした服装ということについても言われたからやるというのではなく、自ら心がけてやることが大切です。また、お互いに気づいたことは、指摘しあうようにして欲しいと思っています。今日は生徒会役員の承認式を行ないますが、役員だけに任せるのではなく、皆さん一人ひとりが素晴らしい学校をつくっていくという気持で行動して欲しい。』
承認式の後、新たに役員になった生徒達に、〝今はリーダーの役割は非常に大切であり、熱い思いで取り組んで欲しい〟ということを伝えました。
 連休明けにも生徒会役員とじっくり話し合い、生徒達の自主性を育てていきたいと思っています。

2007年05月02日

学園小学校保護者に対する進学説明

 5月2日(火)、学園小学校のPTA総会後の時間をいただき、6年生~4年生の保護者を対象に、中高における教育活動と学校改革の取り組みについてお話させていただきました。
その内容は以下の通りです。
①子どもさん達は11年(~13年)後には社会人になっているが、その時の世の中は、情報化やグローバル化が進展し、人口が増加に伴う水・食糧・エネルギー・資源・環境等の課題が出てくる。
②その時に社会で役立つ力は、「点数ではかれる高い学力」と志を持つ、感謝する、忍耐する、相手の立場に立つといった「点数ではかれない人間力」である。
③受験者数の減少、全入時代、難関大学への人気集中等大学進学をめぐる状況は大きく変わっている。
④この中で、中・高校としては、「学校は将来社会で役立つ力を育てるトレーニングの場」と位置づけ、雲雀丘学園の特色である校風の良さを生かしつつ人間教育の充実と学力の向上を目指す。    
人間教育については特効薬はないという考えに立って、「凡事徹底」を基本に取り組んでいく。
⑤学力の向上をはかり、大学進学への実績向上を高めるために、昨年度高校改革に着手した。     この内容は、国際科の募集停止と「選抜特進」「特進Ⅱ」「特進Ⅰ」の3コース制の導入である。    
並行してカリキュラムの見直し、授業時間数の増大をはかると共に広報活動を強化し、大学進学について実績のある先生を公立高校から4人スカウト人事として採用した。
⑥来年度については、中学改革に着手し、中学・高校6年間の取り組みを強化していく。これにより合格基準点が相当上がることが予想されるため、将来的には合格基準を見直すと共に中学入学後の教科指導の面において、授業についていけない生徒をつくらないという考えで、小学校と連携して学力アップに繋げていく。
⑦最後に、学力不振の生徒の共通点は、基本的な生活習慣、学習習慣が身に付いていないということである。そして学習についていけないことが原因で、問題行動に繋がるケースも散見される。   
是非家庭と学校が連携して、将来の日本を背負って立つ人材を育てていきたい。
短時間であり、十分な説明ができなかったため、保護者の皆さんにとっては理解しにくいところがあったかも知れません。子どもさんの大切な進路を検討されるにあたって、疑問な点があれば遠慮なく相談してください。また、極力ホームページにより、学校の状況をお伝えしていきたいと思っていますので、何卒宜しくお願いします。
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2007年05月01日

連休の過ごし方

 四月も終了し、今日から五月になりました。生徒にとっても先生にとってもこれまでのひと月間は緊張の連続であったのではないかと思います。
現時点では力強くスタートダッシュできた人、やっと新しい生活に慣れつつある人、まだ波に乗り切れていない人等さまざまだと思います。そして、いよいよ五月の連休を迎えることになりますが、実はこの連休の過ごし方が大切なのです。よくターニングポイントということが言われますが、これをうまく乗り切ることによってこれからの一年が決まることになります。
これまで順調に過ごしてきた人もほっとして気が緩み、不規則な生活をすると折角のペースを乱してしまい、一からやり直しということになってしまいます。また、この連休は余裕がなく疲れがたまっている人やストレスを感じている人にとっては絶好の休養の期間になります。
 いずれにしても、この連休中にこれまで築きあげてきた生活のリズムを崩さないようにして欲しいものです。その上で、スポーツをする、音楽を聴く、読書する等自分に合ったストレス解消をはかると共にこのひと月を振り返ってじっくりと自分と対話する機会にしてください。そうすれば新しい自分を発見することができ、また新たな目標に向かって踏み出せるようになると思っています。