« 2006年09月 | メイン | 2006年11月 »

2006年10月30日

今月の合格体験記

20061031.jpgtitle20061031.jpg

 受験を成功させられるかどうかは第一志望の大学への思いの強さによると思います。

 私が志望校の大学を決めたのは高三の五月でした。それまではいったい自分は何がしたいのか曖昧で、クラブに必至だったこともあり、全く受験勉強らしい勉強はしていませんでした。ただ、当たり前のことかもしれませんが、学校の授業やテスト、宿題など、普段の勉強はしっかりやるようにしていました。そのおかげで、目標が決まってからは、焦ることなくスムーズに勉強を進めることができました。特に、私の場合は目標とする分野が絞られており、その方面の大学も少なかったために比較的明確な目標を持つことができたことも良かったのかもしれません。

 夏休みは高二のうちは色々なことに挑戦し、視野を広げるために部活などに全力で取り組むのがよいと思います。高三では部活も引退していたので受験勉強一本で過ごしましたが、自分の方法に不安をもちつつ、もがきながら勉強しました。目標ができれば自然とするべきことがわかってくるものですが、思うようにいかないスランプも必ずやってくるのです。よく、しんどいときには休むことも大切といいますが、逆にそこでどれだけ踏ん張ってやれるかで力のつき方も違ってくると思います。とにかく第一志望校を決めたなら絶対に最後までレベルダウンさせることなく強い意志で思いを貫いてほしいです。

 中学、高校のこの時期は長い人生へのたった一歩目、二歩目にすぎません。けれどもその一歩目がなければ永遠に目標には辿り着けません。だから、今の高校生活で新しい自分を発見し、無限の可能性を期待し、その芽をいっぱいに伸ばせる毎日を過ごして欲しいです。私にとっては、この雲雀丘学園が大きな一歩目でした。

T.Eさん 筑波大学・体育学群

2006年10月28日

ちょっとぶらぶら古都の秋(2)

maple.jpgtitle20061027.jpg

tabacco2.jpg  さて,衣笠キャンパスを出て,線路沿いに嵐山線等持院駅の方へ向かいました。駅と言ってもホームしかなく,電車を待つ人の姿が見えません。秋晴れの昼下がり,辺りは,歩く人の姿もなく,踏切の角に,古い木造の,錆びれた看板を軒下に掛けただけのたばこ屋が1軒あるだけでした。よく見ると,たばこ屋の引戸は傾いており,色あせたカーテンが引かれて閉められていました。おそらく,もう廃業したか,年老いた夫婦がひまに任せてやっているだけなのかもしれません。なぜか,そこだけ,放つ光が柔らかく,私は,青空の中に,遠い記憶となった風景を探していました。

電車は,狭軌のレールの上をゆらゆら揺れながら,民家の間を縫うようにして帷子ノ辻(かたびらのつじ)駅に到着しました。私達は,向かいのホームに移り,集合時間を気にしている高校1年生や3年生と一緒に後発の電車に乗り換えて嵐山に着きました。

 やはり,嵐山は古都の秋に浸りたい観光客や遠足にきている中高生でにぎわっていました。渡月橋まで連なる土産物屋はどこも制服を着た群れであふれかえっています。さっき等持院の駅で見た夢から瞬く間に引き戻されてしまいました。まして,肝心の紅葉は,朝夕の冷えがまだ足りないのか,まだ三分程度で,とても山燃ゆる所までは行きません。

 阪急嵐山駅前の広場では,見学や買い物を終えた各校の生徒が思い思いに集合し,担任の先生から点呼を受けていました。中には,シャツだしの男子高校生,超ミニスカートの女子高生等々,制服も違えば,態度も様々です。

 後ろから,「こちらは高校ですか?」と声をかけられました。振り向くと,形の崩れた野球帽をかぶり,70歳を遙かに超えていると思われる御老人と目が合いました。軽く返事を返すと,
「そうですか,高校ですか。えっ,私立?やっぱりきっちりしてはりますわ。先生とこは親の躾がええんでっしゃろなぁ。」
 退職後,ボランティアとして,毎日駅周辺の見回りや清掃をしているのだそうです。
「いやぁ,カッコ見たらわかります,ほんま。先生とこはよろしいけど,ガッコの先生も大変でっしゃろ?段々子供が悪うなってやりにくうなってんのとちゃいますか?」

「私もここで長いこと見てますけど,昔は中学生の方が悪かったです。ここの駅のあすこで,ようさんたむろして,バイク乗ったり,花火したり,そりゃ,ほんま,夜半中騒いでましたわ。あんまりうるさいんで,近所から迷惑やぁ言われましてな,それでたまたま帰ってきていたヤクザの兄ちゃんに頼んだことがありましてん。」

「そしたら,ヤクザっちゅうのはえらいでっせ,ずかずか出て行って,『こらっ,何さわいどんじゃおまえら!中学生やろ,勉強するのがおまえらの仕事や。遊んどらんと帰れ!』ちゅうて,中にいた中学生の首根っこ捕まえてビビらっしょったんですわ。そりゃ,怖いですわな。一遍に来んようなってしまいましたわ。」

tabacco3_1.jpg 話は,昔の嵐山に移ります。
「そりゃぁ,エライきれいになってしもうて・・・・。川かて,いま,いつもだいたいいっしょでっしゃろ?あれ,上の方にダムができてからですわ。雨が少ないときはちょろちょろ流しよるし,大雨降って多いときは止めてますねんな。昔は,雨降ったら橋なんかよう流されたりしてましたわ。ようなったけど,その代わり,アユがあんまり捕れんようになりました。」

「ここらへんですか?へぇ,いまはいっぱい建ってますけど,昔はススキだらけで,家なんて1軒もあらしまへん。私ら,小さい頃,ここでよう遊んだもんですわ。」
「昔はサルがよう降りてきて悪さしてましたわ。人の持ってるもん盗ったり,ここで喧嘩したりしよるんですわ。サルの中でもボスの言うこと聞かんやつおりますねんな。そしたら,ボスが怒って,懲らしめよるんですわ。サルもえらいもんですわ。で,サルがいなくなったなぁと思たら,今度は人間が悪さしよる。サルの次は人間かいと思いましたわ。あっ,ハトでもそういうハトいますな。よう見てたら,ひとり,ちゃう,1羽だけ別に動いてるハトがおりますのや。カラスかてそういうのいますな。」

「女の子? そうですなぁ,この頃は女の子の方がだらしないでんなぁ。ほんま,服から身ぃ,放り出してますがな。ありゃぁ,あきまへんで。」

「この前なんか,ここから見てたら,あすこら辺に集まってた女の子の中から,2人がたばこを出して吹かしよったんですわ。」
「こりゃ言わなあかんわ思うて,前に行って『あんた未成年やろ,吸うたらあかん!』って言うたんですけど,聞けしまへん。そしたら,どない言うてきた思います?『おっちゃん,ウチのことなんやから放っといて!おっちゃんには関係あらへん!』でっせ。ほんま,腹立ちまっせ。」

「それで,毎日朝と夕方巡回してる警察に,ワシ,言うたんですわ。パトカー,すぐきて,そこの女の子みな調べてましたわ。そしたら,その中の女の子の6人からたばこが見つかったんです。で,警察,カンカンに怒りよるもんさかい,ワシ,『もうようわかったみたいやから,許したってぇな。』って警察に頼んだんですけど,『警察が許したらどないなんねんな!警察やから許されへんのやないか!』って言われましたわ(笑)。」

 本当は,この他にも,書ききれないほどたくさんの話を聞かせていただきました。そこには,この御老人が子供をまっとうに育てようとする気持ちが溢れていて,それを「勇気」と表してしまうと本当の意味が削ぎ落とされ軽くなってしまいますが,心底敬服しました。 それに比べれば,私ら50代はまだまだ赤子です。”古都の秋”は深かった・・・・・・・・。

2006年10月27日

ちょっとぶらぶら古都の秋

maple.jpgtitle20061027.jpg

ritsu1.jpg今日,合格祈願に北野天満宮へ行ったことは高3のブログに任すとして,そのあと,私達(中西先生と私)は立命館大学衣笠キャンパスへと向かいました。
 天神さんから洛星高校前を通り,住宅街の中にわずかにある学生街を抜けて15分,校門に着きました。構内は,関学同様,各学部棟が近接していて,やや手狭な感じがします。しかも,真四角な建物が多いのであまり変化がありません。増設しようにも,周りは住宅街なので,これ以上,拡げるのは難しいでしょう。ただ,大学案内などでよく見かける法学部棟の前だけは広いスペースがあり,芝生が植えられていました。でも,さっきから気になっていたのですが,学生の姿がまばらでいやに静かです。なぜ?と思っていたら,教室から講義をしている先生の声が聞こえ,授業が行われていることに気づきました。そうか,まだ昼休みじゃなかったんだ。それでなんだ・・・・・。
 ひとり納得して食堂を探してウロウロしていると,向こうから,白カッターに紺のズボン,どこかでみたような制服の高校生が歩いてくるので,よく見ればウチの生徒1年生。そう,1年生も今日は京都市内の大学を巡っています。テレビのドラマみたいですが,ちょうど入試課前の掲示板に「雲雀丘学園高等学校1年生の皆さん ようこそ」と手作りのプレートが貼られているのが目に入り,さらに納得しました(因みに,神戸六甲アイランド高校のもありました。こちらは,入試課の方か大学生かわかりませんが,20~30人ほど連れて案内してました)。
 高3の女生徒のグループにも出会い,やはり食堂を探してウロウロしていたそうで,ならば,勇気を出して学生さんに訊いてみたらと誘って,ちょうど向こうから歩いてきた女子学生に場所を尋ね,やっと,最近新装オープンになった食堂で昼食をとることができました。ランチにアイスコーヒーを付けて500円ポッキリ。私のようなおじさんが現役の大学生に混じって食べるのはちと場違いのようで恥ずかしいですが,学食はいい所です。

 食事を終え外に出ると,各テラスは学生でいっぱい。賑やかに楽しそうに食事をしています。やっぱり大学はこういう活気がないといけません。
 さて,2度目の不思議発見。構内に設置された各スピーカーからBGMが流れていました。多分,放送同好会がやってる番組なんでしょう,DJも聞こえます。えっ?大学でお昼の放送・・・・・・?これははじめてですね。他の大学でも行われているのでしょうか?
 とにかく,オープンキャンパスや休業中の時とは違った,普段の大学の様子を窺い知ることが出来,多くの収穫を得ることができました。(つづく)

2006年10月26日

ちょっと気になるニュース(2)

title20061026_2.jpgtitle20061026.jpg

 睡眠時間が7~9時間より長くても短くても,子どもの精神状態が悪くなる傾向のあることが、日本大医学部の兼板佳孝講師(公衆衛生学)ら,厚生労働省の研究班による10万人規模の調査で分かった。
 調査は,04年12月~05年1月に,全国から無作為抽出した中学校131校、高校109校の在校生99,668人(回収分)を対象に,過去1カ月の睡眠状況や精神的健康度に関して行った。
 それによると,精神的に不健康だったのは全体の44%。不健康な子どもの割合は、睡眠時間が8~9時間で33.2%と最も低く、6~7時間で42.2%、5~6時間で50.9%、5時間未満で58.3%と、短くなるほど高くなった。逆に、9時間以上は40.8%で、7~9時間よりも不健康の割合が増した。
 兼板講師は「7~9時間が適切な睡眠時間だと示すデータ」と説明している。寝不足はもちろん,寝過ぎるのもダメで,適度な時間がいいということだ。
 それでは,実際どれくらい寝ているのかといえば,下のグラフが示すとおり,やはり16~19歳代はそれほど寝ていない。働き盛りの30代,40代とほぼ同じ時間だ。どちらかといえばやや寝不足気味のよう。成長期の子供にとってはよくない傾向といえる。

 ただし,「7~9時間」がすべての者にとって適切な長さかどうかは,疑問。4時間しか眠らなかったナポレオンやエジソンのようなショートスリーパーもおれば,9時間以上は必要だというアインシュタインのようなロングスリーパーもいる。,あくまでも,「7~9時間」は,80%の人に大方あてはまる時間であって,むしろ,朝スッキリ目覚める睡眠時間が「適切な時間」である。一度,自分の適切な睡眠時間を調べてみてはどうだろうか。(これも,体調など,コンディションにより異なる。あくまでも目安。)

zu2.gif

2006年10月25日

ちょっと気になるニュース

title20061025_2.jpgtitle20061025.jpgfig20061025.jpg

 大学工学部志望者がここ10年で半減し、下げ止まらないという(毎日新聞)。文部科学省の学校基本調査により,95年は57万4000人いた工学部志願者は、05年に33万2000人にまで減少し,逆に医・歯・薬学部は同23万9000人から28万5000人に,看護・医療・保健学部も5万人から11万人に倍増していることがわかったためだ。 実際,昨年,岩手大工学部では,電気電子工学科,建築環境工学科が共に1.0倍,応用化学科1.1倍になるなど,国公立大工学部中,最低倍率を記録した。他に長崎大,熊本大,新潟大など7校も2倍を切る倍率になっていた。

 確かに,岩手大の場合は,理科2科目に変更になったことが大きく影響したと考えられるが,それにしても,工学部の不人気は深刻だ。02年度と06年度に実施された国公立大工学系学部入試(前期日程)を比較すると,計約2万人の募集に対する志願者数は,約6万4000人から約5万3000人に減少,平均倍率は約3.3倍から2.7倍に低下している。この間,18歳人口9%減を見込んでもそれを上回る減少率だ。

 こうした不人気に対し,早稲田大は96年続いた理工学部を「基幹理工」「創造理工」「先進理工」の3学部に再編し,大学院との一貫教育を強めた。また,関西大は来春工学部の募集を停止し、「システム理工」「環境都市工」「化学生命工」の3学部に再編する予定だ。中身を分かり易くし,志願者減少に歯止めをかけようとする狙いもあるようだが,それだけで果たして人気復活なるかどうか。

 一体,どうしてここまで避けられてしまったのか。よく言われるのは,
(1)資格取得に直接結び付かない
(2)学問の内容が多岐にわたり,わかりにくい
(3)理科離れ
などであるが,私はこれら以上に,
(4)オタクを軽佻に扱う風潮
(5)大学院まで含めて考える修業年限の長さ
(6)研究・年齢に見合わない報酬
の方が重いと思う。
いくら,口で日本の産業の要と賛美しようが,社会全体が技術者に対してその努力に尊敬の念を払わず,経済的に不当に扱われている限り,決して受験者は戻らない。教育内容,組織改編などその方面も大事だが,ただ,学内改革だけに終わせず,メーカーも含めた産学一体の取り組みを構築していく必要があると思う。「プロジェクトX」じゃないけれど,技術は日本の宝なんだから。


2006年10月23日

企業最前線! 職業人インタビュー(4)

mic.jpgtitle20061022.jpg

平田 進也さん
(株)日本旅行 西日本営業本部部長

 ひらた・しんや●1957年,奈良県生まれ。京都外国語大学在学時から,テレビ番組『ラブアタック!』の名物“みじめアタッカー”として活躍。日本旅行入社後も,素人ながら奇抜なキャラクターを生かして『合コン!合宿!解放区』,『おはよう朝日です』,『探偵!ナイトスクープ』などのテレビ組に400回以上出演。豊富な旅行経験と巧みな話術やユニークな変身芸に熱烈なファンも多く,「浪速のカリスマ添乗員」の異名をとる。ファンクラブの会員は1万2800人を数える。大手旅行会社では異例だが,ツアーの企画から添乗まで一貫して担当し,「平田進也と行くツアー」は発売後,即売り切れに。著書に『出る杭も5億稼げば打たれない!』(小学館)がある。
--------------------------------------------------------------------
 ※インタビュー:2004年8月12日

 実は子どもの頃はごっつう恥ずかしがりやで、学級会とかでもよう手も挙げられなかったんです。6年生の学芸会のとき、舞台のそでで緞帳に隠れて全体に影響のないカスタネットを叩いてた(笑)。それを見に来ていた親父から、「男として存在価値がないようなのはダメや、何でもええからみんなの中で1番になるようなもの作れェ」言われたんです。それにショックを受けましてね。それで中学入って、すぐ学級委員の選挙があって、先生の「立候補するやつはおらんのか?」の言葉に、何や知らぬ間に自分で手ぇ挙げてたんです(笑)。そしたら他に誰も手を挙げへんかった。そしたら決まりやないですか。ところがクラスに校長の息子がおって、先生はそいつを学級委員にしたかったらしい。それで無理やり選挙にされて、みんなが票を入れて行って、最後の1票で13対12で勝ったんです。自分では「運命の1票」て思うてます(笑) 。それで人前でしゃべるようになれました。最初はできなくてムチャクチャでしたけど。で、あるとき、学級会で吉本のギャグを言うたらえらい大受けしたんです。みんなの笑いがこの一身に集まって、「こんな楽しいことはない、僕が探してたのはこれや!」って体が震える思いがしました。それ以来、テレビで吉本を見て、ノートつけながら必死にギャグを研究しましたねぇ 。

 ホームルームのときでも、シーンとしてたらうまく進まんのですが、そんなときに笑いを放り込むと、ぱっと和やかな雰囲気になって、みんなの本心からいい意見が出るようになるんです。それに気付いてから、笑いは素晴らしい、と思うようになりました。それから人を楽しますことを常に考えているようになったんです。みんなの状況はどうなっているのか、いつもキョロキョロ見回して様子をうかがうんです。雰囲気が悪いと、どうすれば和むか処方箋を考えている。それで、通信簿には決まって「落ち着きがない」と書かれました(笑)。で、気付いたら中学1年の終わりにはクラスで一番面白い存在になっていました。3年で全校一ですわ。天下取ったようなもん(笑) 。高校では、生徒総会のときに全校生徒1500人くらいが大講堂に集まって議論するんですが、そこでしゃべってどれだけ興味を持たれるか、真価を発揮するチャンスでした。そのとき、1年生の私の発言は、3年の落研の先輩より面白かった。それで実行委員として学園祭を仕切るようになり、しまいには自分の学校だけで満足できず、地元のFM番組に出たり、他の高校の文化祭にも出かけて「しゃべらせてくれ」と(笑)。「これでメシ食っていけたらええなぁ」と思うようになりましたね。

 バスで日帰りの花見大会があった日、雨が降ってきて弁当を食べられんようになったんです。それでバス1台、35人をウチに連れて帰ったことがある(笑)。出先からウチに電話して「おかあちゃん、友だち困ってんねぇ、連れて帰るでー」「そうか、かわいそうに!連れて帰りー」ってな具合で35人が家に入って行った(笑)。母親から「おまえ何人連れて帰ってきたんや!普通は2、3人やて思うやないか」って言われましたけど、全員に味噌汁を振る舞ってくれたんです。ああ、親あっての俺やなーって思いましたね。私ももてなすことが好きなんですね。そうやって一生の仕事が決まっていったと思います。

 学生時代からテレビ出演を始めました。『ラブアタック!』に応募したら、ディレクターから「キミおもろいなー、次からも出て」と言われまして。当時の“お笑いの甲子園”といった存在で、その番組に27回出ました。本当はテレビ局のディレクターになりたかったんです。で、朝日放送のディレクターに相談したら「学閥もあるしムツカシイかもしれへんで」って言われたんです。就職難の時代でしたけど、そんな学閥で無理やなんて、と愕然としました。一方、芸能プロダクションから「芸人になるか?」と誘われもしたんです。親に相談したら「お前をそんなんするために育てた覚えはない、もっと安定した職に就け」って反対されて、また愕然としました。それでまたディレクターのところに相談に行ったら、「あんたは人を相手にするサービス業しかない。旅行会社なんてええんとちゃうか。80キロで高速走ってるバスからお客さんは逃げられへんやろ。そこでガイドさんからマイク奪い取ってしゃべったらええんや。旅館に着いたら着いたで舞台もあるやないか」って言われて、なるほど、と思ったんです。それで日本旅行を受けました 。3000人受けて77人が合格、という難関。後で面接官から「キミが一番面白かった。旅行会社の社員は人を楽しませる必要がある。キミは我々面接官の清涼剤的存在やったね」と言われました。

 いま、「トムソーヤクラブ」で子どもに接していますが、一人ひとり人格が違うんですね。いろんな個性をいかにいい方向に引っ張っていけるかが大事だと思いますが、それには先生の一言が非常に大きいと思います。私が小学4年のとき、図工で先生が「独創的や」ってほめてくれ、オール3だったのが初めて図工で5をもらったんです。それで自分でもやれる、と思えて頑張れたと思います。その年に作文で、その先生のことを「大人になったら月に1000万円稼いでお礼がしたいです、待っててください」と書いたの、今でも覚えています(笑)。ウソでもいいから、人の存在を認めて良いところをほめ、波に乗せてあげることも必要だと思います。子どもはドロドロの溶岩状態で、どうバケるかわかりませんから、言葉を選んでプレゼントしてあげることが大事でしょうね。

 今の高校生は、なかなか立派だと思いますよ。「今どきの若者はなってない」なんて、順送りで言うものと違いますか。江戸時代の人から見れば、大人も子どもも変わらないでしょう。よく見ていると、義理人情とかを知っているし、そういうのもしっかり受け継いでくれていると思いますね。

『企業最前線!職業人インタビュー』(キャリアガイダンス@メール,リクルート社)より

2006年10月21日

企業最前線! 職業人インタビュー(3)

mic.jpgtitle20061021.jpg

平田 進也さん
(株)日本旅行 西日本営業本部部長

 ひらた・しんや●1957年,奈良県生まれ。京都外国語大学在学時から,テレビ番組『ラブアタック!』の名物“みじめアタッカー”として活躍。日本旅行入社後も,素人ながら奇抜なキャラクターを生かして『合コン!合宿!解放区』,『おはよう朝日です』,『探偵!ナイトスクープ』などのテレビ組に400回以上出演。豊富な旅行経験と巧みな話術やユニークな変身芸に熱烈なファンも多く,「浪速のカリスマ添乗員」の異名をとる。ファンクラブの会員は1万2800人を数える。大手旅行会社では異例だが,ツアーの企画から添乗まで一貫して担当し,「平田進也と行くツアー」は発売後,即売り切れに。著書に『出る杭も5億稼げば打たれない!』(小学館)がある。
--------------------------------------------------------------------
 ※インタビュー:2004年8月12日

日本一「うるさい」お客さまを徹底的に満足させたい

 私は,旅行会社の営業担当者が売り上げる平均の5倍,年間5億円を稼がせてもらっているところから,「浪速のカリスマ添乗員」と呼んでいただいています。普段は,日本旅行という会社で,西日本営業本部販売部の課長,JR西日本のシニア向け会員組織「ジパング倶楽部」の販売課長,当社の子ども向けの会員組織「トムソーヤクラブ」の関西の事務局長という3つの肩書きで縦横無尽に仕事をしています。というのも,いまは旅行市場が無尽蔵に広がっていて,それを取り込むため。それで,自由に動けるポジションにしてもらいました。添乗は仕事の一部分に過ぎません。旅行を売る仕事は、ツアーの企画から始まって、お客さんの募集、ツアーの添乗、精算まで一連の流れがあるんです。私はホンマはそれをすべて担当するビジネスマンなんです(笑)。添乗員としての姿が表に出やすいし、こうして「カリスマ添乗員」と言っていただいてるので、平田は添乗員やと思われているんですが。また、そう思われる背景には、旅行会社の分業化があると思います。大手の旅行会社ほど、効率化のために企画は企画だけ、添乗員は添乗だけ、という分業化が進んでいるんです。それで、私はいま、分業化のひずみが来てると思うてます。というのは、旅行も価格競争が行きつくところまで行って、分業化で作られた旅行がかえって流し込みの旅行になっている。料金で勝ち負けが決まる世界で、誰がトクするんでしょう。そらお客さんは安いほうがいいかもわかりませんが、ただ安いだけの流し込まれた旅行でホンマに満足するんでしょうか。逆にお客さんを裏切るだけやと私は思うてます。

私のツアーは違います。お客さまは,旅行に非日常を求めて来られるのです。「私たちを満足させてえな」という叫び声があり,そこに納得できたら金は出す,というお客さまはいくらでもいます。ところが,旅行は品物ではありませんので,行ってみないといいか悪いかわからない。「行って悪かった」ではお客さまはもうついて来ません。ですから,私はお客さまが絶対に納得し,満足してもらえるツアーにこだわっているんです。たとえば,イカの活き造りで有名な,佐賀県の呼子にイカを食べに行くツアーは,ただ現地のイカを食べるだけではありません。獲れたてのイカに,小樽からその日のために空輸した日本一のウニをまぜる。それもミョウバンに漬けたウニではなく,味を保つために海水に漬けて運びます。そこへ静岡から取り寄せた究極のワサビを,伊万里焼のワサビおろしですりおろし,1本3000円する,日本の醤油発祥の地である和歌山の湯浅醤油をかけるのです。

 そこまでこだわった演出をして,非日常を求めておられるお客さまに「これだけのものを味わうために,大切なお金と時間を私に預けてくれませんか」とご案内するのです。すると,賛同されたお客さまは「あんたの言った通りや。60年生きてきていろんなもん食べてきたけど,これ以上のモンはなかったわ。今死んでもええわー」と感動して,ついてきてくださる。ファンクラブ1万2800人は,その集大成,私の財産なのです。お金をかければできる,というわけでもありません。旅館に,よそからウニだワサビだと持ち込むのは普通は断られますが,あんたなら仕方ないと快く受け入れてもらっています。また,お客さまが集まるから大量仕入れができ,業者と交渉して安くしてもらいますが,品質は絶対に落としません。熟年世代のお客さまは方々に旅行していて,お客として見る,食べることのプロなんです。こっちは食べさせるほうのプロ。プロ同士の闘いなのです。

 私のツアーが食事中心のものが多いのは,自分自身、食べることと料理が趣味で、会社やめたら料理屋でも開こか思うてます(笑)。会社に入ってから25年間、日本はもとより世界各地のうまいもんを食べてきたんです。それでどこそこの何と何を掛け合わしたら何ができる、ということがひらめくんです。日本の名旅館といわれるところはたいてい泊まり歩いて、厨房まで見せてもろうてます。それで料理の出し方、そのタイミング、器まで見る。そんなところまで見てるの、私だけちゃいますか(笑)。それと、私のツアーは旅行サークルなんです。お客さん同士が仲ようなって顔見知りがたくさん集まる。宴会のときにお客さんの話聞いて回ると、熟年の人は淋しい毎日を送ってはる方も多くて、いろんなしがらみの中で生きておられるんです。それをこの旅行で発散してもらえるんですね。

 ツアーの宴会では,女装して「平田進子」と名乗っています。『大阪で世界一周』いうテレビ番組で「謎のイタリア人」として女装して化粧させらたんです。そんとき、鏡見て「こんな世界もあるんか!」ってハッとした(笑)。場を盛り上げるいうのと、おばちゃんに同性としてぶつかってみたらオモロいかもしれんとやり始めました。違う人格になって、言うことも変えることができるんです。ちょっとでも恥ずかしい思うたら、もうできまへん(笑)。

 私はお客さまの目線でしか考えていません。お客さまをちょっとでも欺いたら,しっぺ返しをくらいます。お客さまを幸せにしようと一生懸命にやると,後から利益は恐ろしいほどついてくる。それに気付いて以来,第一に利益を求めず,お客さまの喜ぶ姿を考えるようにしました。それに大阪のおばちゃんは日本一厳しい。群れると凶暴になる(笑)。悪かったら店の1軒なんて簡単に潰しますから(笑)。逆に、満足いただけたらこれだけ強い味方はおりません。旅行会社は集客がいちばんキツいんですが、お客さんのほうから「次ないの?」と聞いてきはります。野菜や米まで送ってくれる。嫁はんに言うんです、「自給自足できるな」って(笑) 。(後編に続く)

『企業最前線!職業人インタビュー』(キャリアガイダンス@メール,リクルート社)より

2006年10月20日

企業最前線! 職業人インタビュー(2)

mic.jpgtitle20061020.jpg

小菅正夫さん
旭川市旭山動物園 園長

 こすげ・まさお●1948年札幌市生まれ。73年に北海道大学獣医学部を卒業後、獣医師・飼育係として旭川市旭山動物園に入り、95年、園長に就任。研究分野は鳥類の染色体、猛禽類の野生復帰、野生動物医学。現在、日本動物園水族館協会 種保存委員会 猛禽類別調整者・環境猛禽類保護増殖専門員、日本野生動物医学界評議員を務める。「ものがたり絵本 だれも知らない動物園シリーズ3『動物園は雪のなか』」(農山漁村文化協会刊)の文を執筆(絵はあべ弘士氏)。
--------------------------------------------------------------------


※インタビュー:2004年7月5日

 高校時代は柔道をやっていて、部活ばかりの日々でした。北大に入ったのは、柔道部が強かったからなんです。勉強のことより、「北大柔道部へ入学する」ことが夢でしたね。事実、勉強なんかしているヒマはありませんでした。柔道部だけじゃなくて、レスリング部やラグビー部、応援団まで顔を出していた。力が強かったからか、応援団では野球の試合で旗持ちまでやりましたよ。そんなんで毎日大変でしたねぇ。

 入学のときは理類で入って、学部は2年のときに決めたと思うんですが、オリエンテーションのときに獣医学部の教授が馬の手術してくれてね、それがカッコよかった。それで獣医学部に入ってしばらくは、牛や馬の獣医になろうと思っていました。当時は、卒業すると役所に入って畜産行政に携わるか、地方で酪農などの獣医になるか、街で小動物の病院を開業するのが一般的な進路でしたから。

 それが、旭山動物園に入ったというのは、ちょっと悲惨なことがあったからなんです。牛や馬の獣医になるためには、いろいろな技術を身につけなければならないんですが、その中に繁殖させるための種付けがあるんです。メスの直腸に手を突っ込んで、卵巣や子宮を触って確かめるんですが、なんと僕は腕が太過ぎて入らなかった。4年の6月にもなって、それでは獣医は無理だと。どうしようかと思いましたが、公務員になるのはいやだし、ほかになりたい仕事もイメージできません。悶々とする日々の中、それでもなんとか柔道と勉強は必死にやっていました。そうしたら、3月の卒業間際になって、突然旭山動物園から求人が来たんです。教授から呼ばれて、開口一番「キミしかいない!」って言われまして。ほかの学生はみんな就職決まっていましたからね。

 結果的には大幸運でした。今では、旭山動物園は自分の人生そのものですから。動物園に入ったことで、好きな動物を科学的に見ることができるようになりました。獣医としても、オス・メスを分ける染色体の研究や、希少動物の繁殖などを研究してきました。また、動物園という場を使った教育活動についても研究を進めています。

 教育現場に対しては、ひとつだけ持論があるんです。勉強しない子どもに対して「何々の役に立つから勉強しろ」というのは間違っていると思います。勉強とは、役立つ・役立たないではなくて、自分を作るためにすることです。よく、サイン・コサインなど三角関数を勉強しても実生活で使ったことがない、役に立たないことを教える、と批判されることがありますよね。とんでもないと思いますよ。三角関数という積み木を1個持つことができれば、それだけ高い塔にすることができると思うんです。実生活に役立つ知識だけでは細い塔で終わる。無駄と思える雑学でも、それに支えられて太い塔に積みあげていけるんです。子ども時代にケガして覚えたこと、経験したスポーツ、ケンカしたイヤな奴、どれをとっても人間形成にムダなものは一つもないと思います。

 高校生の時期にしかできないことというのがたくさんあると思うんです。勉強よりもやりたいことがあれば、勉強なんてしなくてもいいぐらい。「点を取れないからしない」「受験に役立たないからしない」という理由でやらないのはもったいないと思いますね。私の知人は、大学受験で合格したらそれで親への義理は果たした、と言って入学せず、就職しました。それでやりたいことを見つけ、勉強し直したいと専門学校に通っているんです。そういう生き方でいいと思います。

 僕が大学4年の就職で悩んでいる頃、柔道部の先輩に「迷ったらじっくり考えると良い。人生は長い。焦る必要は全くない。しかし、人生は有限だよ」って言われたことがあるんです。それで自分らしく生きていこう、と前向きに考えられるようになりましたね。珠玉の一言です。

『企業最前線!職業人インタビュー』(キャリアガイダンス@メール,リクルート社)より

2006年10月19日

企業最前線! 職業人インタビュー(1)

mic.jpgtitle20061019.jpg

清宮克幸さん
早稲田大学ラグビー蹴球部 監督
サントリー株式会社 首都圏営業本部東京支社広域営業第一部 部長代理

 きよみや・かつゆき●1967年,大阪府生まれ。高校時代からラグビーを始め,高校日本代表の主将を務める。86年,早稲田大学入学。2年の時に社会人優勝チームの東芝府中を下し,日本一に。90年,卒業後サントリーに入社。2001年,現役引退と同時に早大ラグビー部監督に就任。2003年1月11日,大学選手権優勝。13年ぶりの大学日本一に導く。著書に「『荒ぶる』復活」講談社。
--------------------------------------------------------------------

 私は,中学2年からラグビーを始めました。当時はサッカー部に入っていたんですが,青春ドラマでラグビーを知り,面白そうだ,と思ったことがきっかけです。

 高校は,当時ラグビーの強豪だった大阪府立茨田高校に入りました。生徒の半分くらいが体育会系の部活に入っていたような,スポーツに熱心な学校でしたね。練習は朝,昼,夕方と1時間ずつぐらいです。あとは普通の高校生でしたよ。友だちとよく遊びにいきましたし,彼女もいましたし,パチンコもマージャンも学生服で平気でやってました。

 高校の3年間で,やりたいことは一通りやりました。普通の高校生プラスラグビー,かな。毎晩10時,11時に帰宅して,もうクッタクタです。余計なことなんか考えるヒマなんてなかったですね。

 しかし,あれだけ部活に熱心だった母校でも,最近は部活をやる生徒がグッと減っている,と聞きました。部活は,スポーツなどを通じて,目標を設定してチャレンジする素晴らしい機会だと思うんです。しかも,自分一人ではなく,仲間と一緒にやるところに意義がある。そういう意味で残念に思いますね。

 また,「いい大学なんて入らなくてもいいや」などと簡単に決めつけてしまう風潮があると聞いています。受験という目標にむけてがんばる,ということは,部活でがんばることと同じ。例えば,早稲田にはみんなもの凄く勉強して入ってくるわけです。そして初めて,早稲田で過ごすという,努力しただけの財産が持てると思うんです。

 大学を出てから40年は職場で働きますよね。それに比べれば,高校なんてたったの3年間です。何でもできる貴重な時間なのにもかかわらず,バイトとか,今から企業にいいように使われることばかりするな,と言いたいですね。

 先生ができることは,がんばれる対象や目標を見つけることを手助けすることだと思うんですよ。それは何でもいい。よくテレビでやる「30人31脚」とか,あるいは空き缶を持ってきて大きなオブジェでも作ってもいい。そういうことをやっていくうちに,進む道も見つかるのではないでしょうか。
 そんなふうに,先生は,生徒をいろんなところに導けると思うんです。アイデアはいくらでも出ると思います。要は実際にチャレンジするかどうかではないでしょうか。
 私自身は,優勝とか,日本一とか,いつも目標があります。

 とは言え,自分はこれまで,何か計算してやってきたということはありません。逆に行き当たりばったりです。その時その時に最大の努力をするというだけ。そうでないと,その後のことが生まれません。高校3年のときの日本代表も,早稲田やサントリーに入れたのもたまたまです。大学の監督も,なろうと思っていたわけではありませんし。

 今をしっかりやらず,先ばかり見ても仕方がないと思います。早稲田の監督は3年間の契約ですが,その間,会社員としての経験が他の人よりできない,などといった不安はありません。そんなこと考えていたら,何もできないと思います。

2003年5月26日掲載
『企業最前線!職業人インタビュー』(キャリアガイダンス@メール,リクルート社)より

2006年10月18日

国公立2次対策はこれでイコカ

title20061017.jpgtitle20061017_2.jpg


phy20061018.jpg
 国公立大では、力学のウェイトが高いので、力学で高得点をとることが合格への近道になる。また、国公立大では、奇をてらった問題は出ないので、典型問題を、繰り返し演習することで、確実に解けるようにしておくことが大切だ。
chem20061018.jpg
 国公立大個別試験では化学Ⅱの範囲の出題率が高い。問題演習を重ね、様々なパターンに慣れておく必要がある。電卓は使わずに手計算で行い、なおかつ有効数字の取り扱いにも注意する。
bio20061018.jpg
 国公立大の個別試験の特徴は論述問題だが、この形式の場合、「わかっているが文章にできない」ことと「わからない」ことが同じ扱いを受けることになる。問題演習を積む場合、他人が読んでわかる文章を書くようにしておくこと。
his20061018.jpg
 個別試験では論述問題を課す大学が多いので、教科書での基礎学習は、事件そのものの経緯だけでなく、その背景や意義などを意識しつつ進める。それと並行して自分で論述問題を解いてみること。数多くの論述問題に当たることで、字数についての勘を養い、何よりも文章を書くことに対する抵抗をなくしておくことが大切だ。自分の書いた答案を第三者の目で採点してもらって問題点を発見し、確実に得点に結びつく論述力を身につけておくこと。
geo20061018.jpg
 個別試験では、資料の特徴を読み取り、既存の知識と結び付けて理解し、コンパクトで説得力のある解答を論述できるかが試される。数多くの論述問題に当たり、問題を解いたら、時には第三者に添削してもらうことを勧める。

2006年10月17日

国公立2次対策はこれでイコカ

title20061017.jpgtitle20061017_2.jpg

国公立大の個別試験は記述力が勝負。にわかには身につかないこの力をつけるには,効率よくやらねばなるまい。本番前日まで辛抱強くやり続けるべし。
eng20061017.jpg
 国公立大の個別試験では記述問題が7~8割を占める。和訳・内容説明・要約・和文英訳・自由英作文など、大学によって問題形式は様々だが、いずれも読解力や表現力を試す問題だ。この二つはどちらも短期間で身につくものではないので、気長にやるしかない。読解力向上のためには、とにかくたくさん英文を読むことだ。読んだ後、段落ごとに要約してみると結構効果的だ。一方,表現力=記述力の対策は一人で学習するのが難しい。「ちゃんと書いたつもり」と自己満足に終わってしまいがちだからだ。自分の答を信頼できる第三者に見てもらうとよいだろう。最後に、試験が近くなってから、自由英作文が出題されることを知ってあわてるなんてことのないよう、志望校の過去問は早めにチェックしておくこと。
math20061017.jpg
 文系では数学Ⅱの微積分が頻出であり、理系では数学Ⅲ・Cが出題の中心といえる(つまり3年生の授業がとても大切だということ)。あとは比較的まんべんなく出ると覚悟した方がよい。個別試験では総合問題が中心なので、問題を解く力や計算力のほか、問題の分析力などもつけておかなければならない。そのためには良問を反復学習することが有効で、気に入った問題集・参考書(解答解説の詳しいものがよい)を別解を考えたりしながら理解が完全になるまで繰り返し解いていくのがよいだろう。
 また、個別試験は記述式が中心であり、答を求めることよりその過程が重視される。よって、採点者が読んで理解でき、得点のもらえる答案を書く力(答案作成力)が必要なのだ。ふだんから人に読んでもらうことを意識して答案を書くことを心がけてほしい。
jpn20061017.jpg
 国公立大の個別試験では、ほとんどの大学で記述式の問題が出題される。だから、言葉の知識や読解力といった基本的なことのほかに、要約力・表現力も身につける必要がある。そのためには、解説の詳しい問題集を利用して、自分の力で解答を作る練習をすることだ。この時、誰かに採点してもらうと効果的。他人に読んでもらって、不十分なところを指摘してもらうことで、的確な表現力が身につく。あとは、解説をよく読み、自分の考え方のどこが違ったのかを理解すること。これが読解力向上のポイントだ。
古・漢文では、間違えたところはそのつど調べ、苦手分野を残さないように。また、作文などの特徴的な出題がある大学を受験する場合は、その対策も重要だ。とくに作文は上達に時間がかかるので、早めにとりかかること。


2006年10月16日

私立大受験はこれでイコカ(2)

title20061015.jpg


phy20061015.jpg
 私立大でも、力学のウェイトが高いので、力学で高得点をとることが合格への近道になる。また、マーク式の問題が多いので、選択肢を確実に選ぶためにも、次元(単位と考えてもよい)の考え方をマスターすることを勧める。
chem20061015.jpg
 私立大では国公立大に比べて計算問題の比率が高いので、速く、そして正確に計算できるようにしておく。また、論述問題を課す大学をめざす場合は要領よく、簡潔な文章にまとめる練習も積んでおくこと。
bio20061015.jpg
 大学によって出題形式や設問内容がかなり異なるが、やはり基本は教科書レベルの用語を正確に覚えることだ。とりあえず知識問題対策から取りかかるという方針が無難といえる。
socio20061015.jpg
 私立大入試は、様々な形式やテーマで出題されるのが特徴。教科書に沿った学習を終わらせてしまい、それ以後はテーマ史の整理をしていく。日本史については「土地制度史」「地域史(沖縄・北海道)」、世界史については「中国の土地制度と税制」「イギリス立憲政治の発展」などをとくに押さえておきたいところだ。また、近・現代は詳細まで踏み込んだ学習が必要。早いうちに過去問をチェックして傾向をつかむこと。
geo20061015.jpg
 私立大入試では、詳細な知識や時事的知識が問われる。肝心なのは、知識の中核となる教科書レベルの基礎的な内容のマスターにある。それから徐々に「国勢図会」や地図帳の細かな統計数値や地名に気を配っていくこと。

2006年10月15日

私立大受験はこれでイコカ

title20061015.jpg

私立大入試でもマーク式が多くなったとはいえ,センター試験とは形式が同じでも,出題の難易,傾向は全く異なる。やはり,読解力と正確な知識が必要である。曖昧な知識では半分も点が取れない。
eng20061015.jpg
 私立大入試の最大の特徴は長文読解が多いこと。だから,私立大志望者の最重要課題は速読速解力の養成だといえる。読解のスピードアップのためには、できるだけ多くの英文を読むことが必要だ。とくに、非常に長い英文を出題する大学を志望する人や、長文問題の数が多い大学を志望する人は、毎日英文に接するように。しかし、ただ漫然と読むのではダメ。速読のためには、バラグラフリーディングや推測読みができなくてはならない。そこで,最初は辞書なしで一気に通読する。一文一文の意味を正確に理解する必要はない。文のテーマがわかれば十分だ。次にバラグラフごとの主旨を考えながら読む。知らない単語の意味は文脈から推測しながら読み下す。辞書を引くのは、それが終わってからだ。こういう地道な努力なしには速読速解力は身につかない。
mat20061015.jpg
まずは過去問を見てみよう。私立大では大学によって出題範囲や出題形式が異なるので、範囲や形式を確認することがかなり重要になる。中には与えられた試験時間に対して問題量の多いところもあるので、そういった点にも気を配っておくとよいだろう。頻出分野については基本的に国公立大とそれほど変わらない。そして、学習法も国公立大向けの学習法が、やはり効果的だ。つまり「解答解説の詳しい問題集・参考書を反復学習する」ことが大切だ。そのため、国公立大と併願する人は国公立大対策をしておけば十分といえる。ただし、大学によっては問題量が多いこともあるので十分な計算力を身につけるとともに、図形的に考えて答のあたりをつけるなど、要領よく処理できるようにしておくこと。
jpn20061015.jpg
私立大のほとんどが、選択式と抜き出し問題を中心にした客観式問題を出題する。また、制限時間が厳しい大学が多いのも特徴で、短時間で確実に正解を選ぶ方法を身につけることが大切だ。
 対策としては、解説の詳しい問題集を利用することだ。問題文を読む→設問の要求を理解する→答として必要な内容を問題文から探す→それを満たす選択肢を選ぶ、という作業ができるだけ短時間で行えるよう、何度も取り組むこと。わからない語が出てきたらそのつど調べて覚える。読解のスピードを上げるのに効果的だ。古文・漢文は基礎力重視の大学が多いので、完璧にマスターしておく。また、私立大は、大学ごとの出題傾向がはっきりしている。受験する大学の問題に早めに目を通しておくと、より効率的だ。

2006年10月14日

10月はこれでイコカ

here.jpg1ten.jpg

全国の私立大の実質倍率は平均すると,だいたい3.5倍前後で年々低下していっている。しかし、低下するとはいえ、志願者の多く集まる高人気の大学では、4~5倍前後の倍率になっている。いわゆる「狭き門」というのだが,これを具体的に証明しよう。すなわち,倍率が高くなると合否のボーダーライン付近では一体何人ぐらいが集中するのか、そういう観点で見てみたいと思う。ここでは日本大の法、医など7学部の実例を用いた。
 日本大では、学部によって全科目もしくは選択科目について標準化得点(偏差値)を利用し、得点を算出しているが、最終的に合否が決まった得点分布を下表に示した。配点は原則は各科目100点の300点満点。ただし、経済の英語120、医の理科は200点で、経済は320点、医は400点満点である。(注)
下表、左端の法学部では、合格最低点183.0点であり、上方の183.1~184.0点までに26人、下方の182.9~182.0点までに42人が分布する。一番右の薬学部では合格最低点229点を中心に1点きざみに10人前後がならんでいる。上方の10点幅に83人、下方に130人が分布している。この両学部とも下方の人数は上方の1.6倍になっている。
たった1点で,あるいは0.1、0.2、国立大のセンター利用入試では0.25、0.50といった得点差で「合格」と「不合格」に分かれてしまうのだ。これから夏休み以降本格化する志望校別の入試問題の演習の際に、ぜひこのことを意識しながら
やってほしい。自分の得意科目・不得意科目を十分に認識して、どうすればトータルで合格ラインに到達できるのか。今後の模擬試験の結果を踏まえて、適切な学習法を工夫してほしいと思う。そして、秋を迎えて11月頃の志望校の最終決定時期に、もう一度、自分の学力と合格ゾーンヘの距離(合格可能性)を見定めて、本番の入試にチャレンジしてほしい。
 現役は、浪人に比べると出題傾向の分析が甘く、理科・地歴の準備不足、数学の答案のツメの甘さが目立つといわれる。。この差はある程度仕方がないことではあるが,だからといって,大学は現役・浪人別に合否を決めているわけではない。浪人と勝負するには,“1点でも上げる”勉強,”1点にこだわる”勉強を始めることが合格につながる,と思っておいて欲しい。


border.jpg

2006年10月13日

Load to Victory(その2)

title2.jpgload.jpg

☆Fさん 「浪人してでも,立命に行きたい。」

立命館大学政策科学部(模試判定9月E)
立命A・経済× → 立命A・産社○ → 立命A・政策× → 成城大・経済○ → 青山学院大・経営×
 夏休み前の個人(3者)懇談で,Fさんのお母さんは,「女の子だし,指定校推薦でどこか行ける所でどうかしら。」とおっしゃったそうです。でもFさん本人は,浪人してでも立命に行きたいという気持ちを貫き通しました。受験勉強は,とにかく立命に向けてまっしぐら。青山学院大も,チャレンジ精神で上をねらって受験。その結果,合格を手に入れた上に,成績上位者に含まれ,奨学生枠に入ったという通知でした。

 ☆G君  「押さえはセンター利用で,あくまでも一般入試で勝負。」

神戸大学工学部(模試判定D) 〔推薦〕受験せず
関西大・センター前期・工○ → センター試験 → 阪大前期・工× → 大阪府大中期・工○ → 立命館センター利用・理工○ → 神戸大後期・工○
 Gさんは,中学まで運動部に所属していましたが,高校では入部しませんでした。しかし,趣味でオーケストラに所属するなど,心の豊かな面も持っていて,単なるガリ勉タイプではありません。むしろ,学習に専念できる習慣が無理なく身についている感じがしました。

 こうして一人ひとり見てみると,例え結果が「×」でも臆せずどんどん前向きに挑戦していったことがよくわかります。もちろん,不安になったり,悩んだりしたでしょう。だけど,彼等は(結果がよかったからそういうのじゃなくて),仮に浪人していたとしても,恐らく,後悔はしなかっただろうと思います。後悔するかしないかは,結果ではなく,いかに自分の希望,目標にこだわったかではないでしょうか。

2006年10月12日

Load to Victory(注: 阪神の話ではありません)

title2.jpgload.jpg

4月始まった頃,「大学入試? まだ先じゃん!」と呑気に構えていた人達も,願書を書き,出願準備の相談をしている光景を見かけるようになりました。いままさに,受験するという現実が自分自身に起こってきています。恐らく,心と頭の中は,後悔と不安と開き直りが日ごとに入れ替わっているのではと想像しますが,これは,皆さんの先輩達も皆平等に味わってきた気持ちです。
 そんな中,先輩達はいかにして栄光を勝ち取っていったのか,その受験例と,それに伴う進研模試の判定をいくつか挙げてみました。


☆A君 「自分は将来,警察官になりたいと思っています。」

同志社大学法学部(模試判定C)
関学F・法○ → 関学A・法○ → 関大A・商○ →関大S・法○ → 同志社・法○
  A君は,高1の時,理系クラスに在籍していました。入学当初から既に「警察官になりたい」という夢を語っていました。そして,高2に進級する際に,夢を現実のものへという想いがはっきりと見えてきたので文系へ。「努力」という言葉がピッタリだったA君。結果はこの通り,第1志望はもちろん,受験した大学すべてにパーフェクトで合格しました。


☆B君 「先生,僕勉強するから,まあ見てて。」

関西大学商学部(模試判定E)
近大推・経営○ → 関学F・商×→ 関学A・商× → 関大S・商○
私は今でも,「先生,僕勉強するから,まあ見てて」と言ったB君の顔が目に浮かびます。このセリフを言ったのは,高2の春,5月の半ば。確かに前期の中間は成果が出ていました。しかし,その後,あの言葉は何だったの?という生活ぶり…部活も辞めていたので,放課後は教室で遊んでばかり。案の定,その後の成績は奈落の底で,最終の評定は,なんと3.2。さすがにまずいと思ったらしく,高3になってからの放課後は,周りの友達は,相変わらず気が散っていても,彼は集中して勉強していました。最後の最後まで諦めずに努力すれば報われる,よい例だと思います。


☆Cさん 「引退まで,運動部で頑張りました。」

甲南大学法学部(模試判定9月E,10月B)
甲南大・経営○ → 甲南大・文× → 甲南大・法○ → 関大A・商×
 「毎日部活で,家に帰ったらくたくたで寝てばかり。自分では頑張ってるみたいなんですけど・・・・・・。」とお母さん。でも,Cさんは本気で部活をしていただけあって,引退後は勉強に集中したようです。国英の偏差値が,9月に46.5だったのが,10月では61.0。マークと記述の違いはあれ,実力は明らかに伸びてきました。


☆D君 「関学に行きたいんだ。」

関西学院大学経済学部(模試判定9月E,10月D)
京都外大・推薦○ → 関学F・法× → 関学A・経済○ → 関学A・法× → 関学A・総政×
 D君の将来の夢は,英語の教師になること。そのためには,英語の教員免許が取得できることが第1条件でした。しかも,関学に行きたい。D君は,推薦入試で京都外大を合格しても全く浮き足立つこともなく,自分の志望を貫き通しました。


☆Eさん 「推薦でkeep。一般で関関同立をねらえ~。」

立命館大学経営学部(模試判定D)
龍谷・推薦・法○ →関学F・経済× → 関学A・経済× → 立命A・経営× → 関学A・法× →関大B・法× →立命A・経営× → 立命3教科・経営× → 立命センター併用3科目×→ 立命・後期経営感性+セ○
Eさんは,高1の終わり頃から,法律の勉強がしたいと思うようになってきました。それで,推薦で龍谷大学・法学部を受験し,合格。これで産近甲龍keepした。しかし・・・・・・。そのうち,「法学部でなくても,関関同立のどこかに行きたい!」と思うようになり,与えられた機会・チャンスは逃すまいと,あらゆる方式で受験しました。すると,見事に,「経営学部で学ぶ感性+センター試験」方式で合格を得ることができました。

2006年10月11日

推薦・一般入試をどう乗り切るか。(その2)

title.jpg
caution2.jpg 一般入試は最後の最後まで自分を信じること

現役は「秋からが勝負だ」とも言われます。現在,勉強して吸収したことが,徐々に学力となって結実していくので,最後にグウッと伸びるのです。チャンスは必ず訪れます。最後まで,強い意志を持って,受験にのぞみましょう。
先輩たちも,最後までよくがんばりました。


【国公立編】

 三年前,国公立大に現役合格した36名の中で,9月の模試の5教科偏差値が50未満の人が8名いました。また,合格の時期を調べると,推薦(センター利用推薦含む)9名,前期16名,中期1名,後期10名でした。 いかに3月の最後までよくがんばったかわかると思います。


【私立編】
① 何が何でも第1志望校に・・・
○Case5-E君(第1志望-関大)
推薦受けず→関大・経済×・商×・社×→関大・法○

 E君は第1志望が関大でした。9月模試の偏差値は50未満でしたが,とにかく関大とねらいを決めて過去問を丁寧に学習しました。前期,関大の法・経済・商・社会と受験し,法学部に合格しました。関大以外は受験しませんでした。


○Case6-Fさん(第1志望-関学)
推薦受けず→近大・経営○→関大・商×→関学・文・経済・商×→関学・社会○

 Fさんは第1志望校が関学でした。9月模試の偏差値は52,E判定でした。前期試験は近畿大(経営)と関大(商)と関学(文・経済・商・社会)を受験し,近大と関学(社会)に合格し,関学生になりました。


② 3月入試までがんばったぞ・・・
○Case7-G君
推薦受けず→関大・工×→関学・理工×→甲南・理工×→近大・理工×→後期甲南・理工○

 G君は前期入試で関大(工)・関学(理工)・甲南(理工)・近大(理工)と受験しましたが,すべて不合格でした。9月の模試の偏差値は45以下でした。後期でリベンジをねらい,甲南を受験し,理工学部に合格しました。


○Case8-H君
推薦受けず→京産大・経×→関大・経・商・社×→後期京産大・経済○,関大・経済○

 H君は前期入試で,京都産大(経済),関大(経済・商・社会)と受験しましたが,すべて不合格でした。,友人の中には「3月入試はどうせ無理だ」と,早々と予備校を決める者もいました。9月の模試の偏差値は50未満で,自信はありませんでしたが,必死にやってきた受験勉強を3月まで続けようと思いました。結果,京産大(経済)と関大(経済)に合格し,関大生になりました。


○Case9-I君(第1志望-国公立大)
推薦受験せず→龍谷・法○→甲南・法○・経済×→関大・社×→後期関大・経済×・総合情報○

 I君は国公立をめざしていましたが,最後まで数学と理科が不得手で,センター試験の結果も思わしくありませんでした。浪人するのはいやだったので,国公立はあきらめて,私立で合格できそうな大学と考え,前期は龍谷大学の法学部と甲南大の法・経済と関大の社会を受験し,龍谷と甲南の法学部に合格しました。これで浪人することはないので,3月入試にも挑戦することにし,関大の経済・総合情報を受験し,総合情報に合格しました。


最後に,3年生のみなさんへ

 では,みなさんが今すべきことは何でしょうか。
 今一度,自分が進学したい大学・学部はどこなのかを確認することです。9月のマーク模試の結果も返却されて,志望大学の合格判定が気になり始めることでしょう。そうなると,ともすれば「進学したい大学」から「進学できそうな大学」に気持ちが揺れ始めます。これがもっともいけないことです。
 上記の先輩たちは,すべて3年の4月に自分自身で記した志望校リストの中の大学に見事に合格しています。つまり,どれだけ「志望校に進学するんだ」という強い意志と情熱を持続させることができるかが,合格への第一歩です。 
 人生の中で「ここだ」という踏ん張り所はそう何回もあるものではありません。まして,若さいっぱいのみなさんが,次のステップに達成感を得てのぼるのか,悔いを抱いてゆくのかは大きな岐路です。  
 3年生のみなさんのおおいなる踏ん張りに期待しています。


2006年10月10日

推薦・一般入試をどう乗り切るか(その1)

title.jpg

 指定校推薦入試受験者の決定,センター入試の出願,公募制推薦入試の出願と,高校3年生にとって,否応なしに大学が間近に迫ってきました。
 こういう時期には,つい自分を見失ってしまいがちになるものです。来年の4月,大学に通い始めて,後悔することのないように,自分自身の性格・自分の学力を考え合わせて,受験にのぞみましょう。


caution2.jpg 私立大学公募制推薦入試を受験する前に・・・

 
(1) 第1志望の大学(学部)で推薦入試が実施されるなら,受験することを考えましょう。
 ただし,その時に考慮しなければならないのは,募集人数と受験科目です。大学によって,募集人数の5割以上を推薦入試で募集している所もあれば,1割の所もあります。割合が低ければ,当然難しいわけです。この2~3年,受験人口の減少によって,どの大学も毎年のように募集方法が検討され,変更してきています。昨年に比べて,推薦入試の募集枠を広げている大学は,狙い目かもしれません。
 推薦入試の受験科目は,さまざまです。科目入試もあれば,小論文,芸術関係の学部では実技のみという場合もあります。高等学校での成績(評定平均値)やクラブ・生徒会活動などの評価の方法,また資格(英検・漢検)の点数化についても各大学独自に基準が設けられています。
 自分自身の評定平均値・得意科目・資格などすべてを考慮した上で,昨年度の推薦入試の合格最低点を見てみましょう。とどきそうなら,ぜひ,推薦入試から受けることを勧めます。


(2) 第2・第3志望の大学の推薦入試(併願)を受験しようと考えているみなさんに・・・
 まず,自分自身の性格を考えてみましょう。
 『合格』できたことで,安心して,第1志望を目指して猪突猛進できるタイプ?それとも,
 『合格』できたら,ホッとして,気が抜けてしまって,もうこの大学でいいと思うタイプ?


私たちがみている例では,後者の「ホッとしてしまうタイプ」の人が圧倒的に多いです。それと,『合格』すると,やはり入学手続きということになって学費を納めます。その大学に入学しない場合でも,入学金(30~40万円)だけは返却されないことが多いので,それもつらいところです。
 上記の二つのタイプについて,先輩たちの具体例をみましょう。


wildboar.jpg猪突猛進タイプ

○Case1-A君(第1志望-関学または関大・経済)
推薦・近畿大・経営2回○ → 龍谷・経済× → 甲南・経済× → 関大・経済○
  A君は,9月の模試の結果が7月の模試に比べて悪く,偏差値は50以下でした。第1志望の関学・関大ともにE判定でした。浪人はしたくなかったので,推薦入試で近畿大の経営を2学科受験し,1学科に合格しました。それからは,一般入試に向けて猪突猛進。関大の経済に合格しました。


lookatme.jpg ほっと安心タイプ
○Case2-Bさん(第1志望-関学・社)
推薦・同志社女子・学芸○ → 一般入試受験せず

Bさんは推薦入試(併願)で同志社女子大(学芸)を受験。その時点では,同女大は押さえのつもりで,第1志望は関 学(社)でした。9月の模試で関学の判定はC。でも,同女大に合格してしまうと気が抜けて,結局,一般入試はまったく受験しませんでした。同じように受験計画をたてていた友人が,9月の模試では,E判定だった関学に合格して,ちょっぴり後悔してます。

☆推薦入試で『不合格』・一般入試で『合格』の例
○Case3-Cさん(第1志望-関大)
推薦・同女・現代社会午前×・午後○ → 関大・文×・法○・商○

 Cさんは同志社女子大の推薦入試を2回受験しましたが,不合格でした。クラブ中心で夏まで全く勉強していなかったので,模試の偏差値も45以下で,大学の判定はオールEでした。一般入試で「必ずリベンジする」と誓い,がむしゃらに勉強しました。一般入試の結果は,同女大(現代社会)は2回受験で,合格1・不合格1。関大は法・商に合格,関大生になりました。

   
○Case4-D君(第1志望-関学)
推薦・近大・理工× → 近大・理工× → 大工大× → 関学・理工○

 D君は近畿大(理工)の推薦入試で不合格でした。元来からのんびりしていたので,不合格になってやっと,自分が受験生であるという現実を認識し,そこから猛烈な勢いで勉強しました。9月の模試の偏差値は45以下でした。一般前期で近大(理工)・大工大(工)・関学(理工)と受験して,関学に合格しました。(つづく)

2006年10月06日

シリーズ――オレの大学・ウチの学校(final)

books.jpguniv_int.jpg

caution.jpg神戸女学院大学(西宮市) 神戸・居留地に住み込んだ宣教師が,女子教育のために開いた女学校から始まった。明治24年,本格的な高等科を設け,「神戸女学院」と名乗った。明治政府は大学とは認めないが,彼女たちは「Kobe College」と言った。同時期,同様の女学校がつくられていたが,Schoolじゃない,それよりワンランク上だよとプライドが高かった。昭和8年に,今の岡田山に移転してきて,かのヴォーリズ氏(夫人は卒業生)設計によるスパニッシュ風の校舎が完成した。今でも,神戸女学院大学は,「ひと味違う」女子大学として一目置かれる。
caution.jpg関西学院大学理工学部生命科学科(三田市) あまり知られていないが,公募制推薦入試を行っている。英語と生物に強い文系の人も受験可能。
推薦入試
出願資格:専願であること。  出願期間:10月4日~10月11日
試 験 日:第1次選考 11月4日 小論文(日本語および英語の論文読解)審査
      第2次選考 11月25日 面接
◆兵庫医療大学(神戸市中央区港島) 兵庫医科大学がポートアイランドに来春開学を予定。ポートアイランドには市民病院があり,「神戸医療産業都市」構想に沿って,医療センターや研究センターを誘致しているその一貫。神戸学院大学も移転予定。すでに神戸女子大・神戸国際大があるので,西区の学園都市と同様の規模になる。そのうち,国立か公立か,他の私立大も移ってくるかも。まだ認可申請中なのに,もう推薦入試実施を発表している。
◆神戸海星女子学院大学(神戸市) 「海星Stella Maris」とは,マリア・ステラ・マリス,すなわち聖母マリアの異称。1951(昭和26)年に小・中・高校,1955年に短大,1965年に大学設置。東京にある聖母大学,福岡にある福岡海星女子学院高校も同じ「マリアの宣教者フランシスコ修道会」によるもの。シンガーソングライター・平松愛理の出身校。国際英語メディア学科はTOEIC700点以上を目指す。また、心理子ども学科では心理士以外に保育士・幼稚園教諭免許が取得可能。
◆姫路獨協大学(兵庫県姫路市) 来春薬学部開設。今年,医療保健学部を作り,また新たな学部の増設。外国語学部・法学部・経済情報学部など,それぞれのトレンドにあわせて学部を増やしている。
◆順心会看護医療大学(兵庫県淡路市) 兵庫・東播地区(加古川・加西など)を中心に病院・介護福祉施設を展開する順心会グループが淡路市との公私協力方式によって設立された看護職養成所。
◆奈良産業大学(奈良県生駒郡) JR大和路線三郷バス3分。JR環状線天王寺から約30分でいける,十分通える範囲。母体は奈良学園。奈良育英高校と同じ。来年,ビジネス学部をつくるらしい。経済学部と言うより現代社会学部に近い内容で,やっぱり,就職が目的となっている。ここも「専門学校」化している。全く関係ないことだけど,大学案にでてくる,カブトをかぶったキャラクター,これはいったい何なの?
◆就実大学(岡山市) 1904(明治37)年,堅実で社会に役立つ女子の教育を目指して岡山実科女学校がつくられ,戦後,中学校・高等学校・短大・大学へと発展してきた。高校部はマラソン・有森祐子の出身校。大学は,3年前に薬学部増設に伴い共学化,岡山の私立大の中ではノートルダム清心に続きナンバー2。難易的には薬学部をのぞいて近大の経営~神戸親和女子大学・文あたり。
caution.jpg山口東京理科大学(山口県山陽小野田市) 東京理科大学が1981年に地方における技術者養成を目指して山口に開学した短期大学が1995年に4年制に移項した。東京本学とは専用回線で結ばれ,遠隔授業が受けられる。当然,本学への編入制度があり,3年次に編入できる。また,東京本学の大学院へ特別推薦入学制度もあり,チョー難しい東京理科大学大学院に入学できる。そのとき,入学金や施設設備費が半額になる特典もある。一般入試の難易度40そこそこ,センター利用47%であることを考えると,かなり得な話です。さらに,A方式(センター利用)Ⅱ期,B方式Ⅱ期入試では,英・数・理から2教科を選択する方式なので,英語なしで受験することができる。
caution.jpg福岡大学(福岡市城南区) 一方,規模の上では近大と同じ福岡大学。宇・薬学部を持つ点でも同じ。ただし,難易度は全然違っていて,関大~立命クラス。ねぇ,わかるでしょう?首都圏と関西圏の大学が○で地方の大学は×かというとそうではなくて,中部には中部の,九州には九州の拠点校があり,むしろ優れている場合がある。大学を選ぶとき,はじめから「家から通えるところ」なんて固定的に考えないことです。
◆宮崎国際大学(宮崎県宮崎市) 外国人教員比率80%と,国際教養大学を抜いて全国トップを誇り,すべての科目を英語で学ぶ。リベラル・アーツ・カレッジ(Liveral Arts College)をモデルとして比較文化学を核に,20名程度の少人数で授業を行い,講義形式をとらず,自的な学習・研究を軸に進める。ま,2年次後期から16週間の海外研修 が義務づけられている。一般入試は英語・国語のみで,難易度は大阪女学院と同程度ながら,卒業後,海外の大学院へ進学する者も結構多いのは,授業制度の成果か。
◆長崎国際大学(長崎県佐世保市) 高校総体優勝など女子バレー強豪の九州文化学園系列の大学。人間社会福祉学部の中にある国際観光学科は,観光への本格的な取り組み事業の一つとして設立され,ハウステンボスで実際に実習を行っている。その他,本年,薬学部を創設するなど,急激に規模を拡大している。

2006年10月05日

シリーズ――オレの大学・ウチの学校(5)

books.jpguniv_int.jpg

◆藤田保健衛生大学(愛知県豊明市) 桶狭間の地に26万平方メートルの広大なキャンパスを構える。一日2000人の外来患者数と1505床もある日本最多の大学病院を持つ。一般入試のほか,推薦入試(英・数・小論文),センター利用入試(4教科6科目)も行っている。
◆名古屋学芸大学(愛知県日進市) 管理栄養学部・ヒューマンケア学部・メディア造形学部-栄養と保育と芸術という,ちょっと変わった組み合わせの大学。というより,今もっとも人気のある系統ばかり集めたため。推薦入試を含めて7種類の試験方式があるが,すべて2科目で受験できる。・・・・・・・ん~,こんなんでいいのかなぁ。
◆愛知淑徳大学(愛知県長久手町) 長久手町といえば,「愛知万博」会場だったところ。会場跡地にキャンパスが あるのかな?文・現代社会・コミュニケーション・ビジネス・文化創造・医療福祉学部からなる。学部増設して,昔小さな大学だったのがえらく大きくなった。ここも,来年,文学部教育学科新設。小学校の先生の需要があるからね。
◆正眼短期大学(岐阜県美濃加茂市) 「しょうげん」と読み,「禅」を学ぶためだけの学校。ふつうは「コース」か,「○○課程」で十分だと思うのですが,それが何で「短期大学」なのか,不思議です。それも定員わずか25名ですよ。しかも,推薦入試から一般入試,社会人入試,留学生入試,帰国生徒入試までちゃんとあるんです。うそだと思うでしょうが,指定校推薦入試もあるんです。えっ?一般入試に試験があるかって?ありますよ,「面接・小論文」ですけど。
caution.jpg同志社女子大学(京都府京田辺市) 学芸学部に国際教養学科新設する。その他主な変更点
推薦入試:薬学部が新たに実施。
一般入試(前期):
(1)人間生活学科 2教科入試→「英語」+「国・数・地歴・公民から1教科」に
(2)3教科入試→「英語」+「国語または数学」+「地歴または公民」に
(3)医療薬学科  化学の配点→200点に
「化学Ⅱ」「生物Ⅱ」の出題範囲→選択履修分野を出題範囲から除外し,「化学Ⅱ」では「化学Ⅱ(物質の構造と化学平衡」「生物Ⅱ(生物現象と物質」とする。
caution.jpg立命館大学(京都市北区,滋賀県草津市) 入試の主な変更点
①映像学部映像学科新設 映画・CGをプロデュースしたい人向き
②産業社会学部産業社会学科・人間福祉学科が現代社会学科5専攻に再編
現代社会・メディア社会・スポーツ社会(保健体育教員養成課程)・子ども社会(小学校教員養成課程)人間福祉各専攻に他学部でも聖徳学園大学の通信教育課程と併用すれば小学校免許取得が可能。よくよく考えれば,はじめから免許取得可能な大学に行った方が手っ取り早い。
③A方式(スタンダード3教科型)に指定科目重視型 文学部,政策学部,理工学部(物理・化学・化学工学)英語重視,リスニング重視,数学重視など。
④理工学部スタンダード3教科型(A方式)で2学科併願できる。
併願する学科の難易を検討しておく必要がある。
⑤映像学部 3教科受験2教科判定型 3教科受験して,英語+他の1科目で判定
caution.jpg大阪女学院大学(大阪市中央区) 明治初期,神戸・居留地に移り住んだ外国人宣教師によって現在の神戸女学院が開設されたのと同じように,大阪・川口居留地では米国長老教会外国宣教局(mission)によって2つのミッション・スクールがつくられた。1つが「ウヰルミナ女学校」,もう一つが「大阪一致女学校」といった。こうしたミッションスクールはこの時期,全国各地につくられている。その背景には,明治政府自身が教育の普及に力を注ぎ,特に欧米の教育に学ぶことに熱心であったためだが,人道主義を教えるキリスト教の普及には制限をかけ,宗教教育を行う学校には高等学校や帝国大学への入学資格を剥奪した。国粋思想・排外思想の中,ミッションスクールは入学者が激減し,廃校・統合に追い込まれた。「ウヰルミナ女学校」と「大阪一致女学校」も1904年合併し,「ウヰルミナ女学校」となった。昭和15年には,外国人名に由来する校名を強制的に変更され,「大阪女学院」となる。戦後,中学校・高校から始まり,1968年短大,2004年大学を開学し現在に至る。
いま,4つの校種が1つの敷地内にあり,他大学に比べると手狭で,しかも短大・大学の歴史は浅い。しかし,柱となる「平等と人権」の精神は頑固なまでにしっかりと受け継がれている。これは,他の大学・短大では学べない。大事にしたい点である。
caution.jpg大阪医科大学(大阪府高槻市) 本年度よりセンター利用入試を始めた。
◆大阪河崎リハビリテーション大学(大阪府貝塚市) 大学設置基準が変わったのか,技術・技能を習得し,資格取得を目的にした大学が増え,本来専門学校が担っていた機能と大差なくなった。服飾・ファッション・アニメ・観光・看護等々。そのうち,今は専門学校でしか教えてない分野も大学で教えるようになるかも。
◆大阪経済大学(大阪市東淀川区) 現場体験と社会への貢献を重視する。推測ですが,学生の意識高揚のためもあるでしょうね。昼夜開講制(夜間部と昼間部をまとめた)を採り,夜9時まで授業を行っている。朝方のバイトには好都合かも。特技(スポーツ)推薦入試があるが,県大会個人8位以内,団体4位以内の者に限る。
◆関西外国語大学(枚方市) 同じく特技入試。こちらもスポーツ系では近畿大会以上,野球・バスケ・バレー・硬式テニス(女子)に限って県大会個人8位以上。文化系でも全国大会・コンクール,県大会コンクール出場者以上の者。
caution.jpg武庫川女子大学(西宮市) 昨年,生活環境学部の中に建築学科をつくって,これで,英語から教育,心理,情報,栄養,音楽,薬学と大体の分野をそろえた。後は,芸術分野と医療関係だけか。そのうち,ひょっとしたら,その関係の学部をつくるかもしれない。その建築学科。女子大初の本格的学科というふれ込みで,注目されたが,よくよく考えれば,上新庄にある人間環境大学も実は2級建築士免許が取れ,大学院に進学すれば1級建築士受験資格が得られる。何のことはない,「女子大で」「初」だったことだけが違ってた。


2006年10月04日

シリーズ――オレの大学・ウチの学校(4)

books.jpguniv_int.jpg

caution.jpg国際基督教大学(東京都三鷹市) JR中央線武蔵境駅からバス12分。都心から離れた三鷹の雑木林の中に広さ62万㎡(学園の10倍の広さ)のキャンパスを持つ。真のリベラル・アーツ教育実践の場として1949年に創立。授業はすべて英語で行われ,活発なディスカッションが必須。アメリカのリベラル・アーツ教育認定機関から正式に認定を受けている日本で唯一の大学。国連など国際機関で働く日本人職員の中でICU卒業生が一番多い。一般入試科目は長文を読んでの記述解答など,かなり特殊なので,十分な対策を立てないと戸惑う。昨年からセンター利用試験を始めたが,6教科7科目と国公立大並み。また,得点率は90%以上。まさに東大・京大と同レベル。
caution.jpg明治大学農学部(神奈川県川崎市) 「え~っ農学部?明治で?」意外に思いますが,これが結構古い。「生物生産」とか名称変更されるなか,「農学」で押し通す明治はさすが。「農学」は「農学」であり,単なる「生物生産」だけではないのだ。ちなみに,世界的冒険家植村直己の出身校である。
推薦入試
出願資格:①評定平均4.3以上。②優れた課外での活動歴のある者で,3.5以上(農学・農業経済・生命科学),4.0以上(農芸化学科)
出願期間:11月1日~7日
試 験 日:第1次選考 11月17日(書類選考) 第2次選考 12月9日(小論文・面接)
参考に: 第1次 合格者34名/志願者50名  第2次 合格者19名/志願者33名 │
caution.jpg北里大学(神奈川県相模原市) 破傷風菌の純粋培養に成功し,ペスト菌を発見したことで有名な北里柴三郎を学祖とし,1962年に創設された。薬学・医学・看護学・医療衛生学の医療系学部に,理学・水産学部という妙な取り合わせ。来年,獣医学部ができ,「2級建築士」の資格が取れる(生物環境科学科のみ)。
caution.jpg東洋英和女学院大学(横浜市緑区) ここもフェリス女学院大学と同じ,外国人宣教師が開いた「英和女学校」から始まった。創立120余年の歴史を持つ。人間科学部(人間福祉学科・人間科学科保育子ども専攻・人間文化専攻)と国際社会学部がある。知ってる人は知ってる有名女子大学です。
推薦入試
出願資格:専願であること
①自己推薦型 課外活動をアピールできる,海外滞在経験1年以上
②スポーツ推薦型 評定平均3.4以上で,(a)テニスベスト16以内 (b)チアリーディング全日本Div.1
出願期間:11月1日~15日 │
試 験 日:11月26日 自己推薦型 小論文・面接 スポーツ推薦型 面接
caution.jpgフェリス女学院大学(横浜市中区) 明治3年,アメリカ人宣教師によって日本で最初につくられた女子校。文学部・国際交流学部・音楽学部があり,基本的に2教科(一般入試A)ないし1教科入試(一般入試B)で英語重視。ただし,音楽学部は実技がある。関係ないですけど,大学案内に載ってる学生がみんな目バッチリなのが気になった。有名な女子大なんだけど。
推薦入試
秋期特別入試(自己推薦)-文学部・国際交流学部のみ
出願期間:10月10日~31日    試 験 日:11月11日 授業レポート・面接
caution.jpg神奈川大学(横浜市神奈川区) 略して神大(じんだい)。「しんだい」は「神戸大」。昭和3年,夜間部だけの横浜学院から始まったこともあって,昭和8年から給費生制度を取り入れた。現在,各大学で行われている奨学生のはしりである。入学金以外,不要なので,私立でありながら国公立並みにやすく,私らの頃もよく併願で受けていた。
 今も12月に給費生試験が行われており,従来からの制度に加え,下宿生にはさらに全額60万円を支給している。もちろん,返還の義務がない。また,この試験で,給費生に採用されなくっても,ある程度(60%~70%ぐらい)の成績であれば,2月試験が免除され,合格となる。
給費生試験(経済・経営・法・外国語・人間科学・理・工学部)
出願期間:12月1日~13日 試 験 日:12月23日  合格発表:1月12日
◆カリタス女子短期大学(横浜市青葉区) カナダケベック・カリタス修道会により,中学・高校・幼稚園・小学校の後,1966年に開学。さすがに,英語専攻以外にフランス語専攻もある。卒業生の1/3は四年制大学3年次編入および専門学校に進学する。そのとき,指定校推薦で入学できる大学は,中央大,フェリス女学院大,京都外国語大,南山大,東洋英和女学院大,玉川大など。もちろん他大学に編入試験を受けて入学することができる。編入試験は大学入試ほど難しくはないので,大学を卒業するのにこういう方法も使える。
caution.jpg中京大学(名古屋市昭和区,豊田市) なかなかスマートで,凝った作りの大学案内。上手ですね。
 さて,中京大学といえば,フィギュアスケートの安藤を出すまでもなく,「体育」というのがまず先に来るが,それだけの大学から脱皮して「名古屋の立命」といわれるように,なかなかアクティブに活動しています。文・法・経済・経営・情報理工などの既定の学部以外に,国際英語・心理・総合政策・生命システム工・体育学部があり,来年新たに現代社会学部を新設予定で,11学部を有する大学は日大・東海大に次ぎ近大と同じ規模,在籍数13,071名のうち女子が4,404名,約3名に1名の割合で多い。就職のサポートもしっかりしていて,学内で専門学校の資格取得講座(公認会計士,行政書士,通関士,エアライン,宅地建物取引主任者,総合旅行業務取扱管理者等々32講座)を開いており,料金も一般の1/3~1/7程度で利用できるようになっている。入試方式も多種多様。
一般入試前期:3教科型・2教科型・センタープラス方式・全問マーク3教科型
一般入試後期:3教科型・2教科型
センター利用:3教科型・4教科型・5教科型
AO入試:総合政策学部・情報理工学部・生命システム工学部で実施
推薦入試:公募制・一芸一能入試・競技実績有資格者推薦(体育学部)・スポーツ推薦
caution.jpg南山大学(名古屋市東区) 中部唯一のミッション系。1932年,ドイツ人宣教師によって開かれた。現在,外国語・人文・経済・経営・法・政策・数理情報学部からなる。それぞれ,同志社・関学と同レベルかそれ以上に難しい。首都圏だけでなく,中部にもいい大学がある。
 一般入試は典型的な3教科入試(A方式)であるが,経済学部B方式,経営B方式,総合政策B方式は数学必須である。数学を重視している点,本道をいく,なかなか骨太の大学です。特に経済学部のB方式なんて,これはまるで理系です。さすが南山。なお,AO入試・推薦入試を行っていない。
caution.jpg豊田工業大学(名古屋市天白区) 1981(昭和56)年,トヨタ自動車の創始者豊田佐吉翁の長男・喜一郎により,日本で初めての社会人大学として豊田工業大学を開設した。1993(平成5)年から高卒者など一般学生の受け入れを開始した。さすがにトヨタ,①教員一人あたりの学生数が8.5人と国公立大平均(9.6人)より少ない。②学生1人あたりの大学支出額(636万円)が国公立の約3倍。ほとんどがトヨタ自動車の寄付金による。③社会人学生と一般学生が共に学ぶ全寮制 ④国立大学並みの学費(82万円。私立大平均の約半分) ⑤アメリカ・シカゴ校に大学院を持ち,最先端の授業を受けることができる。⑥学生全員が産業の最先端技術に触れる実習を行う ⑦就職率100%トヨタ自動車に優先的に入れるのかどうかはわからないが,なぜか,ライバルの日産自動車やホンダが多い。⑧第1次選考はセンターのみ(5教科7科目)。さすがに難易は高く,センター得点率86%。同志社・工より高く,東京工大,阪大・工とほぼ同レベル。


2006年10月03日

シリーズ――オレの大学・ウチの学校(3)

books.jpguniv_int.jpg

caution.jpg国際教養大学(秋田県秋田市) 秋田県が設立し,運営は法人が行う公立法人大学。「授業はすべて英語」「1年間の寮生活と海外留学を義務づけ」「図書館は24時間開館」「教員の大半が外国人」「留学生が多い」など,欧米の大学に似てユニークで,大学ランキング「注目の大学1位」「学長からの評価20位」「生徒に勧めたい大学25位」など,常に注目されている大学。
 入学試験もユニーク。公立大学法人であることを生かし,センター試験を受験しなければならないが,試験日を他の国公立大とずらし,独自日程を設定。しかも,他の国公立大と併願できる。私立大の”センター利用”と同様に考えればよい。
 なお,TOEIC750点以上,英検準1級以上,国連英検A級以上あれば,センター試験の英語を満点換算する。また,一般試験で不合格になっても,成績上位であれば,「特別科目等履修生」として,暫定的に入学でき,一定以上の単位を修得できたときに正規学生(2年次)になれる。
推薦入試─────────────────────────────────
出願資格:評定平均3.8以上かつTOEFL450点以上,英検準2級以上
試 験 日:英語小論文・面接(日本語および英語)
─────────────────────────────────────
caution.jpg女子栄養大学(埼玉県坂戸市) 昭和初期のころ,脚気(かっけ)が蔓延していた。昭和8年,創立者香川昇三・綾は,当時勤めていた東京帝国大学医学部島薗内科教室で胚芽米に多く含まれるビタミンB1が効果を上げたことに触発され,栄養指導による予防医学を広める目的で研究会を発足させた。昭和15年,女子栄養学園となり,短期大学を経て昭和36年四年制大学に移行した。現在も栄養学のメッカと言っていいでしょう。なお,今現在ふつうに使っている計量カップや計量スプーンは,香川綾のアイデアなんだそうです。管理栄養士受験資格,臨床検査技師受験資格のほか,栄養士,衛生検査技師,栄養教諭,養護教諭一種免許,「家庭」「保健」「看護」免許が取れる。
caution.jpg獨協大学(埼玉県草加市) 1881(明治14)年文明開化の頃,ドイツの文化と学問を学び取る目的で,獨逸(ドイツ)学協会が設立され,1883(明治16)年に獨逸学協会学校が開校された。初代校長は西周(にし・あまね)。明治法律学校(現・明治大学)、東京専門学校(現・早稲田大学)、英吉利法律学校(現・中央大学)などと並ぶ専門学校だった。
 獨協大学は,1964(昭和39)年,獨協学園創立80周年を記念して創立された。初代学長は,敗戦の前年,旧制甲南高校(現・甲南大学)校長だった天野貞祐氏。
 そんな経緯で,外国語学部は強い。関学・文学部や立命館・産業社会学部とほぼ同レベルの難易がある。来春,その外国語学部言語文化学科を国際教養学部として独立させる。環太平洋地域を見据えた諸地域(スペイン・ラテンアメリカ、中国、韓国および日本)の言語・文化・社会を教育・研究する。複数言語の習得に加え,各地域研究,日本語教育,多分化共生,国際交流等,さまざまな教養科目群を履修することにより,柔軟なコミュニケーション能力,国際社会に貢献するという意識,また幅広い基礎教養を単なる知識ではなく生き方を考える方法と捉え,それらを確実に身に付けた人材を養成することを目指す。今年,わざわざ埼玉から指定校推薦(国際科のみ)の依頼を受けた。
caution.jpg早稲田大学(東京都新宿区) 来年度から理工学部が3学部(基幹理工・創造理工・先進理工学部)に,また,第一文学部・第二文学部が,文化構想学部(昼夜開講制)・新生文学部に編成される。そして,教育学部学際コースが複合文化学科として,新たに設ける。関西大学が工学部を再編するのも,同志社女子大学に国際教養学科がつくられるのも,獨協大学に国際教養学部が誕生するのも,追手門大学が国際教養コースを設けたのも,実は早稲田が元なのです。これからも,英語学科,英文学科などは国際教養学科・コースに変わり,英語以外の第二外国語も取得させたり,英語の上に何かを付加する方向に進むのかもしれません。
caution.jpg青山学院大学国際政治経済学部(東京都) 名前から判断できるように,国際社会に貢献し,その第一線で働くエリートを育てる。いま,MLBホワイトソックスで活躍する井口選手もこの学部卒。わかる気がするなぁ。「国際」なんだから英語+第二外国語必修なのは当たり前で,その次の「政治」「経済」に比重をかけている。語学だけでごまかすような,そんな柔なちゃらちゃらした学部ではないのだ。だから,国連などの国際機関,大使館,入国管理局等々で責任ある地位で働きたい人はここを目指したらいい。
◆立正大学(東京都品川区) 「りっしょう」と読む。日蓮宗派の大学で,創立134年。1956年総理大臣に就任した石橋湛山も学長だった。心理・社会福祉・法・経営・経済・文・仏教・地球環境科学各学部を持つ。
◆東京女子体育大学(東京都国立市) オリンピック選手を毎回輩出する新体操,フェンシング,サッカー,ラクロス,野球,アイスホッケートライアスロン,水球,が強いんだそうな。体育大だからって,みんながみんな先生やインストラクターになるわけではなく,約4割が一般企業に,25%が教職員,25%がインストラクターとして働いている。
caution.jpg日本社会事業大学(東京都清瀬市) 全国の社会福祉系四大のうち,唯一厚生労働省から福祉専門員養成の委託を受けている。したがって,入学金や授業料は国立大学に同じ。また,福祉分野唯一の専門職大学院を設置している。
 社会福祉学部内に福祉計画学科と福祉援助学科があり,どちらも社会福祉士受験資格がえられ,また社会福祉主事・身体障害者福祉司・知的障害者福祉司・児童指導員などが任用資格として与えられる。定員がわずか150名,そのうち,一般・センター利用試験枠は100名程度しかなく,難易度はほぼ関学・総合政策か,関大・社会と同じくらいある。
caution.jpg白百合女子大学(東京都調布市) 新宿から京王線25分,仙川駅下車徒歩10分。都心から離れた緑多い敷地に,学園ドラマに出てくるような名前だけど,ホントにある。難易も同志社女子やフェリスと同じくらいで結構難しい。
 1881年,フランスシャルトル聖パウロ修道女会により東京・神田に設立。1965年,現在の調布市に移転し4年制となった。文学部だけを持ち,国語国文学科・フランス語フランス文学科・英語英文学科および児童文化学科がある。


2006年10月02日

シリーズ――オレの大学・ウチの学校(2)

books.jpguniv_int.jpg

caution.jpg島根大学(島根県松江市) 地域に根ざし,アジアをはじめとする国際交流と世界水準の研究を推進する,山陰でがんばっている国立大学。「え~っ,就職の時困るぅ~」っていうけど,教育学部・医学部はまず出身地は関係ないし,総合理工学部・生物資源科学部は大学院進学がふつうだから都心に帰ってくればいいし,法文学部にしたって,法科大学院に進学するか国家公務員になれば問題ない。地方大学だからって,何の損はないのだ。むしろ,理工系を中心に倍率が下がってきているので,チョ~穴場です。総合理工学部地球資源環境学科AO入試なんて,3名受験して3名合格ですよ(出願はもう締め切ってますが)。ほかに推薦入試Ⅰ・Ⅱがあり,学科によっては2倍を切るところもある。
caution.jpg国立波方海上技術短期大学校(愛媛県今治市) 国土交通省所管の大学校で,日本で最大の船員養成期間。2年で航海士・機関士になるための資格を取得できる。資格が得られれば,瀬戸内海などの平水区域ではトン数制限なく,日本沿岸では5000トンまでの船の操縦ができる。これって,かっこいいなぁ。しかも,国立だから経費も安い。なんと2年間で55万円弱(寮生の場合。食費別)。うちの1年分の授業料より安い。就職も,内航船乗船以外に,水産庁・気象庁・水上警察などの官庁船にも就職している。なお,推薦入試で定員の70%をとるので,これを利用するのが得策。
自己推薦入試───────────────────────────
出願資格:身体基準を満たす者。成績が中程度以上の者。
出願期間:9月1日~9月29日
試 験 日:10月7日 小論文・基礎学力検査・面接
─────────────────────────────────
推薦入試─────────────────────────────
出願資格:身体基準を満たす者。成績がC段階以上の者。
出願期間:10月1日~10月30日
試 験 日:11月4日 小論文・基礎学力検査・面接
─────────────────────────────────
一般入試─────────────────────────────
出願期間:前期10月1日~11月17日 後期12月18日~1月19日
試 験 日:前期11月25日 後期12月4日
試験科目:国語・数Ⅰ・英Ⅰ・/面接
─────────────────────────────────
caution.jpg愛媛大学(愛媛県松山市) 四国4県の中では結構大きな国立大学で,法文・教育・医・理・工・農学部を有する。その割に,一般入試では,最終倍率が2倍を切る学科も出てきており,設備などから考えても穴場的存在である。昨年度から,学部の枠を超えた「スーパーサイエンス特別コース(環境化学・地球惑星科学・生命科学工学コース」ができた。選抜はAO入試のみで,一般入試は行わない。また,学部は3年または3年半で終了し,大学院へ進学することができる。ちょっと変わった,新しい試みである。
caution.jpg高知女子大学(高知県高知市) 県立大学。昨年,社会福祉学部の倍率が国公立大学の中で最も高く,次に看護学部だった。なぜか?センター試験や個別試験の負担が私立大学並みに軽いから。しかも,センターの得点でほぼ決まる。たとえば,社会福祉学部は,センター試験が前期3教科3科目,後期1教科1科目で済み,個別試験も面接のみ。看護学部の方は,前期センター試験5教科5科目,後期3教科3科目,個別試験前期小論文・面接,後期面接のみ。その他,生活科学部,文化学部があるが,ここもセンター試験の科目数が少ないし,個別試験は総合問題か面接のみ。要は,どの学部も負担が軽いのだ。だから人気があり,倍率が高くなっている。ただし,辞退者が多いので,合格者もかなりの数出している。実質の倍率はそれほど高くない。
 看護学部は,約50年前に,看護養成系としては日本で初めてつくられた学部で,大学院課程も設置していて充実している。創立以来就職率ずっと100%だって。すごいね。
caution.jpg九州工業大学(福岡県北九州市・飯塚市) 工学部(機械知能工学・建設社会工学・電気・物質工学)・情報工学部(知能情報・電子情報・システム創成情報・機械情報・生命情報学科)。鳥人間コンテストやロボカップでおなじみ。歴史は古く,明治40年明治専門学校にまでさかのぼる。さすがに北九州,宇宙工学コースがある。いいなぁ。
推薦入試
工学部:①数学・理科が特に優秀 ②3.8以上 ③専願
情報工学科: ①現役 ②専願
出願期間 :11月1日~8日  試験日:11月28・29日  合格発表:12月5日
caution.jpg福岡教育大学(福岡県宗像市) 福岡第一師範,第二師範,青年師範の流れをくむ九州唯一の教員養成単科大学。附属小3校,附属中3校,附属幼稚園1園を持ち,学生数3300名。初等教育・中等教育・障害児教育各課程以外に,教員免許取得の義務づけられていない共生社会教育・環境情報教育・生涯スポーツ芸術各課程もある(履修単位を工夫すれば免許取得可能)。小学校教員が不足し,大都市圏で採用枠が拡大しているため,教員養成系は今人気上昇中。中学校,高校の採用状況はまだまだ厳しいが,4~5年先には緩和される見込み。

2006年10月01日

シリーズ――オレの大学・ウチの学校(1)

books.jpguniv_int.jpg

caution.jpg帯広畜産大学(北海道帯広市) 十勝平野の中央に位置し,国立大学で唯一の獣医・農畜産学系の単科大学。 「生物資源」とか「生物生産」とか名前が変わる中,「畜産」と謳っているのはもはやここだけになった。獣医学科・畜 産科学科および短期大学に相当する別科がある。センター得点率獣医学科87%,畜産科学科72%は平均的。
caution.jpg東北大学(宮城県仙台市) 1907年,東大・京大に次ぐ三番目の帝国大学として創立。かのアインシュタインも訪れ,その先進性に脅威を感じたという理学部や「ミスター半導体」西澤潤一氏,ノーベル化学賞を受賞した田中耕一氏を輩出した工学部等,決して東大・京大に見劣りしない。事実,理学部・工学部は阪大より難しい。地方にあるからといって軽んじてはいけない。大学ランキングでも,「進学して伸びた」大学全国1位にランキングされるほど,評価 は高い。杜の都・仙台にあって,帝国大学で初めて女子を受け入れた自由な気風をもつ,まさに「大学」らしい大学。資格がどうの,免許はこれこれとか,そんなことは宣伝しない。あくまでも研究の学徒に徹する大学である。
caution.jpg筑波大学(茨城県つくば市) 筑波大学については以前紹介したので,ここでは省略。一般入試は,文系学群では意外にセンター試験の受験教科数が少なく,5教科5科目,4教科4科目というところもある。その分,個別試験の比重が大きい。理系学群はその逆で,センター試験は大体5教科7科目,個別試験の比重は同等か低い。AO入試も行っているが,あまり熱心ではなく,むしろ推薦入試が盛ん。
推薦入試
出願資格:成績概評A段階の者。志望学類に優れた能力を持つ者。
出願期間:11月1日~7日
試 験 日:11月28・29日 小論文(英語の学力試験や専門試験を行う学類がある)・面接(口頭試問を含む)体育学群・芸術学群は実技があります。
caution.jpg電気通信大学(東京都調布市) 知っている人は知ってる,知らない人は知らない,その道では超有名な大学。「工学部」ではなくて「電気通信学部」という。名前の通り,ITからロボットまで研究している。就職率98%,国公立の中では一番よく,大学院卒者の就職率も99%を誇る。「入って安心,出ても安心」。
 案外知られていないが夜間主コースがある。難易は格段に易しい(大阪工大と同程度)。もちろん途中から昼間主に変わることはできないが,卒業するときは同じ扱い。しかも両コースとも前期だけでなく,後期,推薦入試(定員の10%)を行っている。その上,昼間主では個別試験のみの得点だけで合否を判定する仕組みがある(前期50名以内,後期25名以内)。夜間主コースでも,センターのみ,個別試験のみで選考する枠(前期5名以内,後期3名以内)がある。私立型の3教科に強い人は受けてみたらいい。
推薦入試(昼間主・夜間主コースとも同じ)
出願資格:評定平均4.0以上,または,数・理の評定平均4.5以上。数Ⅲ,物Ⅱ,化Ⅱを履修していること 出願期間:11月1日~7日
試 験 日:11月14・15日 小論文・面接・推薦書・志望理由書
caution.jpg都留文科大学(山梨県都留市) 小さな町が持つ公立大学なのに,割に全国的に名が通っていて,伝統的に教員養成に強い大学。推薦入試もあるが,前期日程は個別試験を課さない,センターの点数だけで合否を判定する方式。また,中期日程も行っていて,受験しやすい。大阪会場で受験できる。
caution.jpg名古屋大学経済学部(名古屋市千種区) トヨタの景気を背景に,いまもっとも活気がある中部地方の中心にあって,名古屋高商の流れをくむ伝統校。さすがに就職がいい。難関校の中で最も早く推薦入試を取り入れたことで注目された。
caution.jpg三重大学(三重県津市) 教育学部も強いが,元々農林学校から始まったこともあり,今でも医学部・生物資源学 部に象徴されるように理系中心の国立大学。大阪と名古屋の狭間にあって,ミエてないけれど(しゃれです)附属練習船を持つなど,なかなかの設備を誇っています。だけど,医学部・教育学部をのぞいてそんなに難しくなく,理系 諸君にとって工学部・生物資源学部はねらい目である。ただし,推薦入試は一般入試より難しい。三重は伊勢エビ・アワビ・カキの美味しいところ,高いけど松坂肉も美味しい。関係ないけど。
caution.jpg大阪大学理学部/工学部/基礎工学部(豊中市・吹田市) ここんとこ,ダーティーなニュースばっかり聞くけど,どないゆうても阪大は阪大や。この本で紹介していることは専門的で,高校の兄ちゃんらにはごっつう難し。簡単 に読まれへんやろな。ひょっとしたら,これぐらいわかっとかなあかんでってゆうてんのかもしれんわ。ま,いっぺん読んでみてみぃ。「Q&A」だけ読んでもおもろいで。(以上,大阪弁で書いてみました)
caution.jpg大阪外国語大学(箕面市) 大正10(1921)年,大阪の実業家・林蝶子女史が寄付した私財を元に,上本町に官立大阪外国語学校を設立したのが始まり。1979年に現在の地に移転。阪大と統合し,外国語学部となることはすでに聞いているでしょう。その結果,「阪大」狙いが増えるかもしれません。
caution.jpg神戸市看護大学(神戸市西区) 1996年,それまでの看護短大から四年制に移行した。もちろん男女共学だが,圧倒的に女子が多い。大学案内の写真から男子を見つけるのも「間違いさがし」ゲームに近い。
caution.jpg神戸市外国語大学(神戸市西区) 来年4月から独立法人化する。それに伴って,入試制度の変更がある。推薦入試も行っているが,神戸市在住者か神戸市内の高校に通学している者に限られ,しかも定員の5%だけ。
◆兵庫教育大学(兵庫県加東市) 京都教育大・大阪教育大・奈良教育大学と違い,明治初期の師範学校から始まった教育大ではないので,歴史がない。また,教員大学というイメージが強く,神戸からでもバスで1時間30分かかるところにあることも災いし,在学生の60%が地元兵庫県出身者であるところも他の教育大と異なる。
caution.jpg奈良県立大学(奈良市) 高3諸君にとっては「何言うてんの?」という感じで,意味がわからないでしょうが,夜間部(午後から授業を始める)しかなかった奈良県立大学が,ふつうに昼間部をひらく大学に変わる。しかも,定員が50名増え,推薦入試を2回行い,センター試験も3教科で受験できる。それも中期日程で!文系受験者にとってはもう1回チャンスが増えるので,相当,併願者が増えると思います。ただし,小論文の比率が高いので,その対策が必要でしょう。
推薦入試
第1回
出願資格:専願。  出願期間:11月1日~6日
試 験 日:11月29日・30日 口頭試験。センター試験を課さない。
第2回
出願資格:専願。  出願期間:1月4日~9日
試 験 日:1月23日 小論文・面接。センター試験を課さない。
◆岡山県立大学(岡山県総社市) 保健福祉学部(看護・栄養・保健福祉学科),情報工学部(情報通信・情報システム・スポーツシステム工学科),デザイン学部(デザイン工学・造形デザイン学科)がある。推薦(岡山県内の高校のみ)・帰国子女・一般入試を行う。
caution.jpg水産大学校(山口県下関市) 農林水産省管轄の大学校。前身は,1941(昭和16)年朝鮮総督府によって創立された釜山高等水産学校。昭和20年の敗戦に伴い,引き揚げ学生を受け入れるため,昭和21年に水産講習所(現東京海洋大学)下関分所を開設,昭和38年水産大学校と改称して現在に至る。水産情報経営学科・海洋生産管理学科・海洋機械工学科・食品科学科・生物生産学科よりなる。卒業後は,漁業関係だけでなく,一般食品会社も。
 なお,海洋機械工学科を卒業後続いて専攻科に進学すると,船舶機関士の資格が取得できる。また,どの学科も,他大学大学院への進学も多い。 この点を考えると,水産大学校もいいかもしれない。水産=海しかない!と固定的に思わないことです。
推薦入試
(1)現役または浪人生で,食品科学・生物生産学科は3.7以上,その他は3.5以上。
(2)基礎学力試験(英語Ⅰ,数学ⅠA程度)・面接により選考する。
(3)出願:10月26日~11月2日  試験日:11月18日 一般試験(センター試験は受けなくてよい)
出願:1月10日~26日  試験日:2月11日(代々木ゼミナール大阪校)
試験科目:
水産情報経営学科-数学ⅠⅡAB,物理ⅠⅡ・化学Ⅰ・生物Ⅰ・国語総合の中から1科目,英語ⅠⅡ
その他の学科- 数学ⅠⅡAB,物理ⅠⅡ・化学Ⅰ・生物Ⅰの中から1科目,英語ⅠⅡ
参考までに: 一般入試 合格者343名/受験者626名  推薦入試 合格者67名/受験者143名

「国際教養」って,何?

liberal.jpg
 来年4月,同志社女子大学学芸学部に「国際教養学科」が新設されます。また,追手門学院大学や獨協大学にも「国際教養学部」が予定されています。こう続くと,何かブームの予感がするのですが,どうも,一昨年,2004年に早稲田大学が「国際教養学部」を開設し,昨年2006年には上智大学が比較文化学部を国際教養学部に改組したことが発端のようです。さらに遡れば,秋田市にある国際教養大学が2003年に設置認可されたあたりから火がつきだしたような気がします。「何で今頃?」「国際?教養?関係ないね」って思いますよね。一体,「国際教養」って,何する所なんでしょう?
menu2.jpg
「国際」ってつけば「英語」,だから,「英語が話せるようになって,世界のことを勉強するんだろう」と推測してしまうでしょうが,実は全然違います。そもそも 「リベラル・アーツLiberal Arts」を「国際教養」というふうに無理に訳してしまうからいけないんで,日本語では本来の意図が失われてしまっています。
 とにかく,「リベラル・アーツ」を「国際教養」と言い換えたとして話を進めましょう。じゃぁ,「リベラル・アーツ」ってなんなんでしょう?
 一般に,「リベラル・アーツ」は「一般教養」と訳されていますが,一般教養と聞けば,大学の専門課程に入る前の1,2回生時に習う一般教養科目を指すと思う人が多いようです。しかし,本来の意味はそうではなく,「国境を越え,地球市民として,国際社会に活躍できる知識と学問を身につけ,主体的に行動できる力を養うための教育」と理解すべきものです。ただ英語がしゃべれて,世界のことを勉強して知識を蓄えておればそれでよいわけではなく,実際に行動することを要求しています。
menu3.jpg
 本来,リベラル・アーツは,欧米で発達し行われている大学教育で,その起源は古代ギリシャ・ローマ時代にまで遡り,都市国家の命運を担う人物としての自由市民がもつべき素養について哲学者プラトンやアリストテレスが述べています。要するに,リーダーとしての素養を問うているのでしょう。それが,中世ヨーロッパでは自由7科(文法学,修辞学,論理学あるいは弁証法,算術,音楽,幾何,天文)として,これらを身につけた後に専門の学部に進むことが許されたと言われています。いいですか,算術,音楽,幾何,天文・・・・・・今風に直せば,「数学・理科・芸術」ですよ。
 要するに,リベラル・アーツは,なりたい職業のために資格を身につけさせるとか,そう言う実利の教育ではなく,あくまでも,それが面白いからとか,もっと勉強してみたいとか,そういった根本的な動機を非常に大切にしています。考えてみれば,高度な大学専門課程に入る前にはそういう志は絶対に必要でしょうね。いまでも,ヨーロッパでは大学前の課程で行われており,アメリカでは学部(学士課程)で行われてきました。
menu4.jpg
 ハーバード大学やコロンビア大学,イェール大学など,有名な多くの総合大学の学部教育はリベラル・アーツ教育が中心として行われています。実は,これらの大学は,元々はリベラル・アーツ・カレッジだったところで,将来アメリカを支えていく人材を育てるための教育が行われ,幅広い知識や教養を身につけ,バランス感覚に優れたリーダーを養成する使命を持っていた学校だったわけです。それが長い歴史の中で大きくなって総合大学へと変わっていきました。
 今でも,リベラル・アーツ・カレッジとよばれる小規模な大学がアメリカに点在します。そのほとんどが全寮制で,都会の享楽的な刺激のない大自然に囲まれたところにキャンパスがあります。学生数も500人~3000人くらいで,90%が私立大学です。少人数制のクラスで,教授自らが教え,大学全体がアットホームな雰囲気になっています。最近では,著名人を輩出していることから注目を浴びています。例えば,以下の人達はすべてリベラル・アーツ・カレッジ出身者で,その後,様々な大学の大学院へ進んでいます。
 Walter P.Mondale,Macalester College(モンデール前副大統領)
 Coretta Scott King,Antioch College(キング牧師夫人)
 Rutherford B.Hayes,Kenyon College(ヘイズ元国務長官)
 Kofi Annan,Macalester College(アナン国連事務総長)
 Harrison Ford,Ripon College(俳優。ハリソン・フォード)
 Hillary R.Clinton,Wellesley College(ヒラリー・クリントン上院議員)
menu5.jpg
 さて,日本で最初にリベラル・アーツ教育を始めたのは,国際基督教大学(ICU)のようです。1949年,「民主的思想に基づく人生哲学と実践力を持ち,様々な問題を正しく批判し,解決できる知性の持ち主」を育むことを目的として,日本で最初の教養学部として開学しました。当初から英語による講義,課題,試験を行い,英語による討議が普通に行われ,ICUはアメリカンスクールだと言われていました。実際,国連など国際機関で働く日本人職員の中で,ICU卒業生が一番多いのだそうですね。
 だからなのかどうかはわかりませんが,最近開設した,或いは開設しようとする,いわゆる「国際教養」学部・学科は,このスタイルが多いように思えます。早稲田・国際教養にしても,上智・国際教養にしても,英語が普段の授業の中に普通に取り入れられているし(留学生が30~50%もいる),来春開設予定の同志社女子大・国際教養学科も英語で授業をすると言ってます。また,早稲田・国際教養学部や同志社女子大・国際教養学科は,1年間海外留学することになっています。
 でも,ここまでだったら,外国語学部とそう変わりませんが,違うのは履修科目の広さと批判的思考能力を身につけること。数理統計や情報処理もやるし,ディスカッションが多いから黙ってうなずいてたらダメなんですよ。幅広く知識を吸収し,自分の意見を組み立て,人に伝えることができなきゃだめなんです。それも英語で。そうでなきゃ,本当に海外で働けないじゃないですか。だから「国際」「教養」なんですよ。そして,もっと深く知りたくなったら,もっと専門的にやりたくなったら,それは大学院で学ぶ。リベラル・アーツはあくまで学部教養で終わり,専門は大学院に任されているんです。
 ただし,「国際教養」と言いながら,実態は,語学の習得に偏っているところもあります。それは真の「国際教養」ではありません。それだったら,外語系に行った方が絶対にいいでしょう。あくまでも「国際教養」は,英語は道具でしかなく,ポイントは次の知識の習得にあるのですから。
国際教養学部・学科,教養学部をもつ主な大学
早稲田大学・国際教養学部
上智大学・国際教養学部
国際教養大学・国際教養学部
宮崎国際大学・国際教養学部
東京大学・教養学部
国際基督教大学・教養学部
横浜市立大学・国際総合科学部
仙台白百合女子大学・人間学部・国際教養学科
同志社女子大学・学芸学部・国際教養学科
東京女学館大学・国際教養学部